佐倉から貰ったジュースを片手に、駅までゆっくり歩いた。
「今日26日かー、もう夏休み終わるね」
「うん、早いね」
「部活あと2日行ったら終わりだ、宇治は?」
「あと明後日だけ」
「、、ちなみに最終日暇?」
「え?」
「俺が振られたこととかもろもろ松浦と安井に話したら、花火行かないなら遊ぼって、宇治も誘ってさって話になって。31日どの部活もオフだし、久しぶりに」
1年のときの4人組だ。
「、、ごめん、行きたいけど予定ある」
「え、そうなの」
そっかー残念、と佐倉はつぶやいた。
「え、もしかして花火行くの?」
「、、、ああ、うん」
「誰と?女の子?」
花火じゃない、と言えばよかった。
「誰でもいいでしょ」
「いやいや待って、いいの?」
いいのって、またそれだ。
「幡中さんは何?」
「、、、幡中幡中って、佐倉この前まで好きだったんでしょ。未練とかないの」
「、、ないって言ったら嘘になるけど、それと宇治がはっきりしないのとは別だよ」
佐倉はいい奴だから、
だから厄介だ。
「はっきりしたら、佐倉は俺のこと応援するの」
「するよ」
自分で聞いておきながら、やはり厄介だと心底思った。
「人が良いんだね」
「友達だから」
「でも今更」
「、、、花火は?誘われた?」
「うん」
「断らなかったの?」
「断ったよ、でも幡中が行ってあげてって」
「、、幡中さんが?なんで」
知らないよ。
「知らない、紳士だからじゃないの」
あまり考えないようにしていた。
だから余計なことはしたくなかったし、期待もしたくなかった。
「相手間違えたよ」
身の程を弁えろということだ。
「俺は紳士じゃないから」
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