テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
jpの両親に受け入れてもらえただけで充分だった。
それでも過去にケリをつけたかったし、東京で自立している自分をもしかしたら認めてくれるかもしれない。
笑ってくれるかもしれない。
大きな緊張と少しの期待を抱いて大阪にやってきた。
就職と同時に家を飛び出して以来だ。
街の中心地から少し離れたアパートが並ぶ下町。
夏真っ盛りの道路はジリジリと熱く、蜃気楼が浮かび上がる。
ゆらめく景色の先に、目的の木造アパートが見えた。
「ここやで」
軋む階段を登り一室の前に立つ。
ttは眼帯を外すと丁寧に畳み、シャツの胸ポケットにしまった。
その様子を見ていたjpが手を握ると、汗で濡れているにも関わらずひんやりと冷たかった。
「…大丈夫?」
「…ごめん、無理言ったけど、難しいならやめよう」
「…ええよ、俺が決めた事やろ」
意を決してチャイムを鳴らすと、しばらく経って無言でドアが開いた。
顔を出したのは40代くらいの女性。
下手すれば30代にも見えるその人もとても綺麗だったけど、ttとはあまり似ていなかった。
何も言わないその人は、訝しむというよりも射すくめるような目つきでこちらを見ていた。
「…」
「…久しぶり、母さん」
通された部屋は6畳ほどの狭いリビングだった。
ttの横に正座したjpは流れる汗をぬぐった。
冷房がついていたが、古いエアコンはうるさい音を出している。
ttの母親は、黙ったまま気怠そうに前髪をかき上げ、こちらを見もせずに話しだした。
「突然なんなん」
「…急にごめん」
「今、東京で働いてる」
「んで?」
お前は誰だ、とでもいうように横目に見られたjpはピクリと背を伸ばす。
「は、はじめまして!僕、、、!」
「あんたわざわざ東京から友達紹介しにきたん?」
遮るように言った母親は、めんどくさいという気持ちを包み隠さず表情と声に出した。
無意識なのかわざとなのかわからない、その攻撃的な態度に圧倒されたjpは何も言えなくなった。
「…友達やない、俺の一番大切な人。将来を約束しとる人や。母さんに挨拶したいて言ってくれたし、俺もケジメつけたかったから来たんやけど…」
「迷惑だったみたいやな」
表情ひとつ変えず、でも少し震えた声で言ったttは、これお土産、と紙袋を脇に置くと立ち上がり、部屋を出ようとした。
jpも慌ててリュックを掴んだ時、母親は顔を引き攣らせて蔑むような目で言った。
「あんたらそういう関係てこと?ごめんけどその辺理解ないし正直キツいわ。…ほんま迷惑。あんた産んでほんま無駄やったな。」
「あの時死んだら良かったのに」
母親の言葉とは思えないそれに、じゃぱぱは絶句した。
「…は、何、言ってるんですか…。…それでも…」
「あんたには関係ないやろ。なあtty、そこから落ちた時死んどけば良かったんや。頭打って血ぃダラダラ流してたのに、結局目が見えんくなっただけやったな」
「…目?」
「あ、知らんの?tty、こっちの目見えへんのやで。自分で窓から……」
続ける母の言葉が耳に入らない。
目を見開いたjpはttに視線を向ける。
ttは背を向けたままピクリともしなかったが、握りしめていた手を緩めるとポツリと言った。
「…無駄な俺を育ててくれてありがとう」
「ほんまに…お世話になりました」
ttらしくない、小さくか細い声だった。
コメント
3件
うわ…うわぁ……なんか⚡️さんの少し慣れてる感が余計くる……😭うわぁぁ、、、、