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「三郎!待ってよ!」
後ろから聞こえる声に、三郎は足を止めた。
「雷蔵‥‥。」
「なんの計画もなしに行っても駄目だよ!八左ヱ門を助けるんでしょ?!」
そういう雷蔵はとても辛そうな顔をしていた。
その後ろにいる勘右衛門も兵助も。
「あぁ。」
「学園長先生が先生方に八の事を調べるようにおっしゃった。救出は僕達に任せるって。」
「急がないとね。はっちゃんは行動が早いから。」
「そうだな。行こう!」
三郎達は森の中へと消えていった。
「ぎゃぁ!」
「たったすけ‥‥‥うわァァァ!」
広場を歩いている八左ヱ門は、響き渡る兵の声を聞きながら頬についた血を拭った。
「‥‥‥思ったより時間かかっちゃったな。」
広場を見渡した八左ヱ門は、足元に来たオオカミの頭を撫でた。そしてしゃがみ込み、己の額を狼の鼻先に当てた。
「ありがとな。こんなところまでついてきてくれて。帰っていいよ。」
「クゥーン」
「大丈夫。また後で会おうな。」
あぁ、オオカミにまでこの笑みを浮かべないといけないなんて。
「行きな。」
去っていくオオカミを見送った八左ヱ門は、ゆっくりと立ち上がり血塗れになった微塵を拾い上げた。
顔を上げた先には城の忍びたちが100人以上。
高い実力を持った無傷の忍びと、傷だらけのたった一人の自分。結果は明らかだろう。
でも今はそんな事関係ない。
任務遂行のため、排除する。
「竹谷。参る。」
八左ヱ門は、獣のような目で忍びを見て、突っ込んで行った。