テラーノベル
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能研・訓練室。
広い空間。
静まり返っている。
「……もう一度」
燕が言う。
ソウヤは頷く。
ゆっくりと手を上げる。
空気が歪む。
ピシッ
“線”が見える。
壊れる境界。
「……ここだ」
集中する。
「止めろ」
ギリギリで——
ピタッ
空間が止まる。
「……」
沈黙。
「安定してきたわね」
柚季が言う。
「でもまだ危うい」
「いや十分すごくね?」
タジが感心する。
「昨日まで全部消してたやつだぞ?」
そのとき。
「精度は上がってる」
イレイダの声。
壁際に立っている。
いつの間にか、そこにいる。
「でも」
一歩、近づく。
「構造は変わってない」
「構造……?」
「あなたの能力」
ソウヤを見る。
「普通じゃない」
「それは知ってる」
「違う」
首を振る。
「“能力の形”をしてない」
空気が一瞬止まる。
「……どういう意味だよ」
イレイダは少しだけ考えてから言う。
「能力は、本来“内側から外に出るもの”」
「でもあなたは違う」
一拍。
「“外側を削ってる”」
「……は?」
「世界に干渉してるんじゃない」
目が細くなる。
「“世界そのものを欠損させてる”」
タジが固まる。
「いやそれチートとかそういう次元じゃなくね……?」
柚季も黙る。
結衣だけがソウヤを見る。
「……大丈夫だよ」
その言葉。
少しだけ救われる。
「もう一つ」
イレイダが続ける。
「あなたの中に“もう一つの意思”がある」
心臓が跳ねる。
「……何言ってんだ」
「自覚は?」
「……ない」
嘘。
あの声。
(やれ)
思い出す。
そのとき。
「へぇ」
新しい声。
入口の方。
一人の小さな少女が立っている。
金色の髪。
透き通るような肌。
人形みたいな整った顔。
「面白いね、それ」
にこっと笑う。
「壊してるんだ、“世界”を」
「……誰だよ」
「アリス。寿 亜璃子(ことぶき ありす)。」
軽く名乗る。
「ここの常連」
「常連ってなんだよ」
タジがツッコむ。
「よく遊びに来てるだけ」
軽い。
でも。
空気が違う。
柚季が小さく呟く。
「……厄介なの来たわね」
「ひどいなぁ」
アリスは笑う。
「私、平和主義だよ?」
そう言いながら。
ソウヤに近づく。
じっと見る。
「ねえ」
「もう一人いるでしょ」
一瞬、 空気が凍る。
「……っ」
「中に」
指をソウヤの胸に向ける。
「別の“何か”」
完全に見抜いている。
「……なんで分かる」
アリスは少しだけ笑う。
「似てるから」
「私と」
沈黙。
イレイダが初めて反応する。
「……アリス」
少しだけ低い声。
「余計なことは言わないで」
「えー?」
「だって事実じゃん」
二人の間に、見えない緊張。
ソウヤは理解し始める。
(俺だけじゃない)
(“こういうやつ”がいる)
アリスが笑う。
「ねえソウヤ」
「壊すの、楽しい?」
その問い。
答えられない。
コメント
1件
うわ、この展開は……。イレイダの「世界そのものを欠損させてる」って台詞、めちゃくちゃ重いですね。ソウヤの能力が普通の“発現”じゃなくて“欠損”だって気づき、しかももう一つの意思まで見抜かれてる。そしてアリスの登場で一気に空気が変わった。彼女自身も“何か”を抱えてるっぽいですね。「壊すの、楽しい?」って問いかけ、答えられないソウヤの心情が痛いほど伝わってきました。設定の敷き方が巧いなあ。
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柘榴とAI

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麗太
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