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渋谷
日夜関係無く人が賑わう大都会
そんな渋谷の6/9の20:38
普段なら真っ暗で少し藍色の空
普段なら阿鼻叫喚の路地裏
普段なら賑わっているはずの駅前
普段なら夜勤で明るい街並み
今其処には人が居らず
空は赤色で
街の明かりは一つしかついていない
そして、私は今そんな渋谷で
黒い影と追いかけっこをしております。
それは、いつもの事でした
いつも通り補習をし
いつも通り川辺を走り
いつも通り学校を抜け出す
帰る頃にはすっかり暗くなっていました
不審者などには十二分に気を付けて帰る
そんな最中、電車を乗り継ぎ、渋谷に到着
そう言えばそこからおかしかった気がする
普段は満員電車なのにやけに空いていた
そして、やけに金切声のような甲高い駅員の声
初めは風邪でも引いているのかと思ったのです。
駅を降り、空を見上げ、その異様さに気付いたのです。
「空が赤い…」
申し遅れました。
私の名前は白神 雪庵
名前の由来は雪が積もった日に生まれたからだそうです。
まぁ、割と気に入っています。はい
身長186㎝体重(測っていないので)0g
最近は肩が重くなってきたのが悩みです。
あ、因みに男です
男子高校生です
金欠です
……とまぁこんな感じの自己紹介をうろちょろしていた黒い影にしてみます
『ゔぁぁぁぁぁ゛っ!!!』
低い唸り声をあげ、今にも取り憑こうとしてくる黒い影
これは話が通じる相手では無い
そう思った頃には
手が出ていました
4つ音が鳴りました
一つ 《どが》と言う、濁点たっぷりで表現されるべき、鈍い音
二つ 黒い影の短い悲鳴
三つ 回し蹴りに入った足が風を切る音
四つ 黒い影の倒れる音
その音が鳴り、数秒経って我に帰る
「大丈夫ですか!?!?」
大丈夫なわけが無いが、必死で声をかける
『ゔぁぁぁっ゛!!!!!」
完全に怒らせた
そして振り出しに戻る
どうしたものか
物理で勝てそうな雰囲気はあるのだが、もしあの黒い影が生きている人間だったら困る
慰謝料が払えない、先程も言ったが、私は金欠だ
そんなこんなを考えていると、一つだけ、ビルに明かりが見えた
シャッターが少し開いている
「あそこだ!!!!」
私はシャッターを無理やりこじ開け、 そのビルに転がり込んだ