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2話目になります!
※ご本人様とは一切関係ありません。
※勝手ながら設定を加えている部分があります。ご了承ください。
akn→『』
fw→「」
で、進んでいきます。
どーぞ!
とりあえず、なにか話さなきゃ。
『あ…えっ…と、いや…あの倒れてたので…』
「あー、俺倒れてたんや!起こしてくれてありがとうな!」
そう言ってひょいと立ち上がった。
え、なんでこの人こんな元気なの?
さっきまで倒れてたやん。
『いや全然…。じゃあ俺はこれで、』
「待って待って!俺全然記憶ないんやけど、ここどこ!?」
『……は?』
この人ただの酔っぱらい?
「俺、多分自分の店にいたと思ったんやけど…」
あー、この人ホストか。
格好とかよく見てみるとこの辺ではあまり見ないような高そうなスーツを着てて、確かにホストみたいだった。
髪の毛で隠れていた顔もしっかり見えて、更に納得した。
多少の化粧崩れはあるけど、それでも分かるくらい異様に整っていて、男の俺が見てもイケメンだと思った。
『えっと、ここは歌舞伎町ではないです』
「やな?」
『…はい』
嫌な予感しかせーへんわ。
「君、名前なんて言うん?」
『三枝っす』
「下の名前は?」
『明那です』
「三枝明那かー!いい名前やな」
『ありがとうございます…』
陽キャってこの人のこと言うんだ。
「じゃあさ、明那」
『へ?』
「俺の事歌舞伎町まで連れてってよ」
『…は?』
「俺今スマホも財布も持ってへんくて、お願い〜」
いや、やば。この人。
今日会ったばっかりなのに下の名前で呼ぶんだ。図々しいにも程があるだろ。
あぁ…この人ホストだった。そんなの日常茶飯事か。
てか、嫌な予感見事に的中。
『嫌です』
「そう言わんで〜!俺この後仕事なんよ〜!」
知るかっ!!!って言いたくなったけど我慢する。
てか、なんでそもそもこんなとこにいるんだよ。
歌舞伎町なんて結構離れてるのに。
気になったので、聞くことにした。
『ていうか、なんでこんな所にいたんですか?』
「え、知らん。俺も教えて欲しい」
『…はぁ』
「ちょ!ため息!やめて!」
思わず出てしまった。
なんかここまでポンコツだと、さすがに心配になってくる。財布とスマホ無くなっても平気そうだし。まじで謎が多すぎる。
でももう無いんだったらしょうがないかぁ…。
俺には関係ないけど、ホストとかって仕事に遅れたら大変そうだし。
……なんかこの人、助けてあげたいし。
小さく息を吐いて返事をした。
『…分かりました。』
「うわー!まじか!?さすが明那や!ほんまにありがとう!」
さすが明那って。俺の事何も知らないだろ!
本当になんなんこいつ。
『駅あっちなんで』
「ありがとうな〜」
それから、行く途中で色々なことを話した。
実際話してみると最初に抱いていた印象とはかけ離れていて、とてもいい人だった。
名前は不破湊と言って、みんなからはふわっちって呼ばれているらしい。
俺も呼んでいい?なんてふざけて言ってみたら、もちろん!って。
歳は24歳で、なんとなく分かってたけど俺より年上だった。
「そっかぁ。明那大学生なんや〜」
『うん。ここから近いとこだよ』
「あぇ!?あそこって頭ええとこやったよな!?、すごいな明那!」
『うん、まぁ。でも俺は全然だけどね、』
なんて言って自嘲的に笑っていたら、
「そんなことないで?入れるだけですごいんよ」
ってふわっちが優しく笑いかけてきた。
なんか、胸ら辺がギューって苦しくなって思わず顔を逸らしてしまった。
でもふわっちは気にしていないかの様に普通に話を続けてくれて正直助かった。
心の中で『ありがとう。ふわっち』って感謝してみたり。
その後は別に胸がギュッて苦しくなったりとかは全然なくて、ただただ楽しかった。
ふわっちと話してて思ったのは、とても話しやすくて一緒にいて居心地が良いこと。それが年上だからなのか、それともホストだからなのかは分からない。
それにふわっちは聞き上手でもあって、俺が話す度にうんうんって相槌を打って聞いてくれた。
笑ってくれたり、楽しそうに聞いてくれるのを見て俺も自然と笑顔になってた。
今ならホストにハマる女性の気持ちが理解出来る。
ホストがみんなこうなのかは知らないけど。
そんなこんなで、いつの間にか目的の駅に着いてしまっていた。
早いなぁ、もう少し話したかった。
…連絡先聞きたいな…。聞いたら迷惑かな…。
「ここからはもう大丈夫や!ほんまにありがとうな!明那!」
『うん、』
「…? どしたん?元気ない?電車酔った?」
やばい、あからさまに態度に出てた。
てか、こういう風に不意に相手を気遣える所も大人みたいでかっこええなぁ。
『全然全然!大丈夫!』
「ほんまに?」
『うん!ほんとほんと!』
ふわっちに余計な心配させちゃったよ、、。
「そ?ならええんやけど。あ!てか明那!連絡先交換せぇへん?」
『…え?』
「今日借りたお金返したいからさ!嫌だったら無理にとは言わないんやけ…」
『するする!したい!』
あ、、。やっちゃった。
お金なんてどうでもいいけど、連絡先を交換できるチャンスだと思ったら嬉しくてつい食い気味になってしまった。
目の前のふわっちはそんな俺を見て、驚いた顔をした。
あ…これ絶対引かれた…。
「にゃはは!可愛ええなぁ明那」
『!?』
びっくりして、恥ずかしくて思わず下を向いてしまった。
俺は比較的身長も小さい方だし、小柄だから可愛いなんて言葉は言われ慣れてるはずなのに、なんかふわっちに言われると、めっちゃ恥ずい!
別に、そこに特別な意味なんて無いことは分かってる。
ふわっちはホストやから言い慣れてるんやろうな。
「じゃあ明那、スマホ貸して〜」
『…は、い』
「ありがとう〜」
その間も、また胸ら辺がザワザワしてて全然落ち着かない。
…なんだこれ。
「できたできた!俺の電話番号からLINE追加しといたで〜」
『ありがとう、ふわっち』
「ええんよ全然。俺の方こそありがとう。ほんとに助かった」
『…お、俺もふわっちの力になれてよかった…!』
そんな俺の言葉を聞いてふわっちが笑ってる。
「じゃあまたね、明那」
そう言って改札を通って行ってしまうふわっち。
『…うん!またねふわっち!行ってらっしゃい…!』
またふわっちは驚いた顔をして笑いながら、
「行ってきます」
と返してくれた。
遠ざかっていくふわっちの背中を見つめる。
俺はこの日、不破湊に恋をした。