「お前は」
駅に併設している書店は、サイン会を待つ人が入口から外まで列をなしていた。
関係者以外が入れないようロープが張られ、その奥にあるはずのサイン会場は、パーテーションで仕切られていて、見ることも近づくこともできない。
やっぱり簡単に覗けないか、と諦めて書店を出ようとした時、列に並んでいる人の中に知った顔を見つけた。
(藤木(ふじき))
花音(かのん)から聞いてはいたけど、本当に並んでいるのには驚いた。
藤木は電話中で、なにやら深刻な表情をしている。
ロープの外にいる俺には気づいておらず、藤木が通話を終えたのを見て、その場から声をかけた。
「藤木」と呼ぶと、藤木は驚いたようにこちらを見る。
「日比野(ひびの)」
目を見開き、その後一瞬迷うような仕草をしたが、藤木は近くにいたスタッフに声をかけて列から抜けてきた。
「え、いいの?てかお前、本当に整理券のために朝並んだ**********************
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