駅前の人通りが多い帰り道。
今日の晩ご飯はカレーかなぁ♪
私、米沢 菜摘 はルンルンで帰路につく。
今日調理室の近くでカレーの匂いを嗅いでからすっかり私はカレーの口になっていた。
お願いお母さん!今夜カレー作って!
今日学校から飛ばしたテレパシーは母に届いただろうか。
ところで言っておくが、今の私はルンルンは心の中にだけ留めて、 きちんと冷静を装って歩いている。変人ではない。
それからカレーのことを考えるのをやめて、
私はチラチラ視界にうつる月に目を向けた。
今日は満月で心なしか月が大きく見える。
満月といえば、ロマンチックなものだ。
運命的な出会いとか?
例えば、運命の人とぶつかるとか…
柄にもないことを考えながら、
空を見上げ、ぼーっと歩いていた 私は
思いっきり誰かにぶつかってしまった。
地面に尻もちをついた 衝撃に思わず私は声を上げる。
「いったぁ!?」
こんなに痛いのか!?地面!!
「大丈夫ですか?」
すると上から声を投げかけられた。
は、早く謝らないと!
私は慌てて立って、顔をあげた。
目の前にいたのは 顔が整った青年…
ではなく、
白くまの着ぐるみを着た、 ティッシュ配りの人だった。 お店の宣伝中らしい。
運命的な出会い!?
と思ったら白くま!?
そんなことを心の中で叫び、
すぐに我に返った私は頭を下げて謝る。
「ごめんなさい!前を見ていなくて…」
白くまさんは とんでもないです、
と言わんばかりに片手をブンブン振り、
もう片手にあるティッシュを一個くれた。
ありがたくティッシュをいただいて
白くまさんに別れを告げ、また私は歩きだす。
今度はちゃんとずっと前を見て歩いた。
数分歩いたところで住宅街に差し掛かった。
そこの角を曲ればもう家だ!
カレーが、私を呼んでいる!
小走りで角を曲がると、
「うわっ」
またもや人とぶつかった。
コメント
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初めまして!m(*_ _)m すごく面白いです!!!! 続き楽しみにしてます🎶