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画像︰篭原 霧亜
ここは芽田ノ町にある芽田ノ高校ーーの一年C組。もうすぐ六限目も終わるところである。
チャイムの音が鳴り、窓際に席を置く長い黒髪をポニーテールにした人物がモゾリと動く。
少し袖の長いブレザーとスラックスは真新しく、まだ彼女が高校一年生だということがよく分かる。ちなみに彼女は、この六限目の後半三十分間は居眠りをしてしまっていた。科学のおじいちゃん先生の話は長いのだ。
……なんか変な夢見たな……
「きりあー!帰ろ!」
「いや、部活……」
「今日は水曜日!休みでしょ!
さ、どこ行く!?カラオケでもいいしー、隣町のカフェでもいいよ!!」
「にしても、会ってまだ二ヶ月ちょいなのに、よくこんなに喋れるなー、水永さん」
「もー!話逸らさないで!あと、名前で呼んでよ!」
「え、ヤダ」
「何でー!?ほら、ありすって!!」
黒髪ポニーテールの人物の名前は篭原 霧亜。
そして彼女に話しかけているのは、霧亜の席の前に座っている、少しクセのある茶髪を一つに結んでいる女子、水永 ありすである。
高校初日に仲良くなり、一週間前の席替えで前後の席になったので、ありすはずっとはしゃいでいるのだ。
ちなみに何故、霧亜がありすの名前を呼びたがらないかというと、某作品の主人公を思い出すからという、非常にしょうもない考えがあるからだ。
……まあ、名前が”ありす”で無くても、彼女を見れば、「不思議の国のア◯ス」を誰もが連想させることだろう。
「わかったわかった。行くから、少し待ってて。あと、その肩に乗ってるのは戻しなさい」
「はーい」
ありすは渋々と両肩に乗せていた、二体のアニマルを床に降ろし、「またあとでねー」といってパチンと指を鳴らす。途端に、その二体の動物……時計を首から下げた白ウサギと、怪しい笑みをニタニタと浮かべた赤紫の毛の猫を輪が包み込んで消し去る。
〚水永 ありす 能力︰アリス〛
両親が”ありす”と名付けたから能力も”アリス”になった……何ともおかしな話である。いや、この場合は「不思議な」がいいかもしれない。
「カフェには連れてけないからな」
「じゃあ、猫カフェとかは!?」
「この辺には無いし」
「ちぇー。まあいいや。早く行かないと、夜になっちゃうよ!霧亜!」
そう言ってありすが霧亜の肩を掴む……が、途端にフッと掠めてしまった。
「あぁ、もう!!能力はずるいよ〜」
「ごめんごめん(笑)」
〚篭原 霧亜 能力︰霧化〛
自身や物体を一時的に霧のように変化させる能力。日常生活に実用的では無いので、こうして適当な使い方をしている。感情が大きく変化したときなどに無意識に発動してしまうこともあるので、あまり誇れる能力ではない。
ピロン♪
「あ、みんなもう集合してるって!ほら、早く行こ!」
「はぁ!?他のヤツ呼ぶとか聞いてないんだけど!!」
ブワッと霧亜の体の所々が薄曇色の霧になる。
「いいから!待たせるのも悪いでしょ!」
「話を聞けー!!」
能力者しか居ない、この世界での高校生活は、まだ始まったばかり……
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