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むかしむかし
ちきゅうには ニンゲンと モンスターという
2つのしゅぞくが いました。
ところが あるとき 2つのしゅぞくの あいだに
せんそうが おきました。
そして ながい たたかいのすえ
ニンゲンが しょうりしました。
ニンゲンは まほうのちからで
モンスターたちを ちかに とじこめました。
それから さらに ながい ときが ながれ………
イビト山
それは 「のぼったものは にどと もどらない」
といわれる でんせつの山でしたーーー。
吹き荒れる風、山の天候は変わり易いと言うが、本当にこれはそんな話で片付けてしまって良いのだろうか。空は暗く澱み、今にも雨粒が突き刺さってきそうな湿った重い具合が肺を満たす。
みんなが、僕が生まれた時から話していた、あのイビト山の伝説。僕は今、そのイビト山に登っている。何かに呼ばれた気がした。足がひとりでに山道へと出向いていた。明確な理由はない。ただふと、行かなければならないと思った。まるでそれが、ずっと前から確定されていた事柄かのように。
歩き疲れた。年齢が10にも満たない僕のような幼稚な体には、この道の傾斜は厳しいものがあった。膝に手をつき、呼吸を整える。すると目の端に大きな洞穴が映った。ちょうど良い、あそこで休息をとろう。と考えた僕は暗く広いその巣窟へと足を運んだ。
目を疑った。鼓動が高鳴った。
洞穴の中には、見た事も無い大穴が空いていた。不思議な事に底は見えない。山は中腹ほどなのだろうが、底が見えないのだから、きっと地表よりも深い地下までこの穴は続いているのだろう。普通ならば足がすくむほどの迫力のある大穴だが、僕は何故かそれに、安心感と懐かしさを感じていた。その暖かさに触れたくて、
戻りたくて
落ちて
…落ちて?
あぁ、僕は落ちていた。
足を滑らせ大穴の中に。
次第に意識は遠のいていった。