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「 とりあえず、ふわっちと黛さんに御札渡しにいくぞ 」
『 へいへ〜〜い、本当剣持って真面目ちゃんなんやから〜〜 』
「 真面目で結構、僕はそれを売りにして今までやってきたんで 。 」
なんて喋りながらまずはこっから比較的近い不破宅へと向かう。ふわっちの家は…東京某所のタワマン。さすがナンバーワンホストと言ったところか…。 ふわっちの家はある意味そう気軽に家に押し掛けることができない。なんというか…圧がすごいのだ。タワマンってだけでも既に圧があるというのに…
「 … うわ、入りずれぇ〜〜〜 … 」
『 なんでやねん、はよ行くぞ。 』
「 逆になんでそんなにズカズカ行けんの、!?? 」
タワマンに歩みを進めていく椎名を見て、今まで彼女に尊敬した極々少ない数の一つのうちに仲間入りを果たした。神経が図太い所が出ているなとつくづく思う。
フロントの人に呼び止められたり、エレベーターのボタンの数に驚愕したりしている内に、いつの間にかふわっちの部屋の前へと着いていた。
チャイムを押し、暫くすると聞き馴染みのある人の声がチャイム越しに聞こえてきた。
〘 あ〜い、今出ま〜す…ってもちさんとしぃしぃ、!?どしたん、俺になんか用かい?? 〙
「 あ〜、後で説明するからとりあえず玄関出てくれる?? 」
〘 おけっすおけっす、少々お待ちを 〙
ぷつっ、と切れる音が聞こえ、その数十秒後にオフ姿の不破湊が姿を現した。
『 はぁ〜い、でどしたん?一旦中入ってゆっくりお茶でも飲んでく?? 』
『 え、良いんかぁ〜 っ!??じゃあ是非 んグッ、 』
「 いやいいよ、悪いし。それにこの後別の所にも用事があるからさ。 」
欲望丸出しだった椎名の言葉を遮り、口を塞いだ。そう告げると、ふわっちは “ 大変そうっスねぇ ” なんてから笑い気味にそう言った。
『 っはぁ…はぁ…せっかくゆっくりできる上に高級そうな茶菓子食えると思ったんに… 』
一方の椎名はほっぺを膨らまし、やや不満げにそう呟いていた。
「 別に今はいいだろ、本来の目的忘れる前にお札渡せ 早く 」
『 んぁ、そうやった!! 』
そう言って一枚のお札を取り出す。
『 お、なんかプレゼントッスか〜? 』
と顔を覗き込むふわっち。
『 まぁある意味プレゼントではあるな w 不破、この札ちょっと持っててくれや 』
『 え〜、御札って俺なんか憑いてる感じ 、?w 』
笑い半分、苦笑い半分。態度には躊躇に出てはいないが、多少動揺している雰囲気はあった。まぁそりゃそうだよな、とは思う。前説明も無しに急に御札を渡されるなんて恐怖でしかないだろう。
「 まぁ〜、今は事情は話せないけど…時間が経ったら御札の意味教えてあげますよ 。 」
『 あてぃしらちょっと今忙しいもんで、それに不破に事情話したら無闇に突っ込んでいきそうやなぁ〜っていう不安もあるしな 』
ふわっちの頭には疑問符ばかり浮かんでいた。まるでスペースキャットの様にピタリと動かない。
『 んま、この後まゆゆのとこ行くから、また今度な〜 』
ひら、と手を振りながらそう告げる椎名。すると、” まゆゆ “ という言葉に反応したのか、さっきまで意識が宇宙空間に行っていた男の意識が戻ってきた様だった。
『 あ、ま〜ゆなら今俺の家おるで 』
「 … え? 」
『 アキナとまゆと俺でオフで集まってゲームやろ〜って前々から約束してたんよ 』
『 … それホンマか!? 』
移動する手間が省けたのか、途端に目が輝き出す。僕も胸が踊った。
『 そうさ〜? やけどアキナが中々来んくてさ、連絡飛ばしても既読すら付かんのよ 』
そう言うふわっちは心配そうな顔をし、携帯の画面を眺め始めた。
『 … 剣持 、 』
そう囁き声で呼ばれぐぃ、っと袖が引っ張られる。耳打ちをしたいのだろうか、とある程度察すれば少し背を屈め、耳を傾けた。
『 これ、アッキーナの事言うべきちゃうか、? 』
「 え〜、…でも… 」
少し頭を悩ませた。
「 …うん、まぁ、言うか。 … 」
『 そう来なくっちゃな 〜 w んじゃ、まゆゆとふわっちに伝えるかぁ〜 ! 元々警告として猫又の事は言うつもりやったしなw 』
言う事を決意し、中に入れて貰い、説明をする事にした。
「 …ふわっち、ごめんやっぱお邪魔していい?御札の事についても説明するから。 」
『 んぇ、全然いいッスよ〜?どうぞ中に入ってもらって ! 』
『 邪魔すんで〜 』
『 邪魔すんなら帰って〜 』
『 あいよぉ〜 』
「って待て待て待て待て帰んな帰んな 」
『 そういう関西ノリやんかぁ〜w 』
『 もちさんもしかしてそういうの分からん感じっスか?? 』
「 … くだらねぇ〜… ! 」