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猫の好奇心

9 - 第1章 赤く光ったあのひとみ 第8話

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2024年12月12日

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不破宅___リビングにて


一言で言えば、オシャレな空間だった。良い匂いに包まれ、広く、見渡せばどれも高そうなものばかり。ガラス張りのところからは街全体を見下ろせて、ここがどれくらい高いのかが伺える。


『 不破くんおかえり… って 。 』

『 ま〜ゆ〜!!ただいまぁ、来客さん達でぇす ! 』


じゃ〜んっ、と横にはけ、僕らを引き立たせる様にキラキラ〜感を体全体で表した。


『 椎名に剣持さん…どうしたの? 』

『 なんか俺らに話したいことあるらしいで? 』

『 俺らに? 』


首を傾げ、僕と椎名を交互に見詰める。


「 えっとぉ、… そうですね。話したい事が。その前に椎名、黛さんに御札を渡して 」

『 へいへい、 』


椎名は黛さんに御札を一枚渡し、僕の元へ帰ってきた。黛さんは受け取った御札をまじまじと見つめて、ふわっちのと見比べた。

その後にふわっちの顔を見ては一緒に首を傾げていた。


『 …? 』

「 その御札について今から説明するので、ほら椎名。  」

『 えぇ〜 ! めんどくさぁ、 あてぃしが説明するん!?剣持やなくて!??? 』


いいからはよしろ、と肘で突っついた。顔を顰め、明らかに嫌という顔をしていたが無視し、話し出すまで沈黙を貫いた。

だが…..


『 … どっちが話すん?? 』


なんて僕も椎名も頑なに話さないものだから、部屋中に無言が漂っていた。静かにどちらかが話すのを律儀に待ってくれていたふわっちがそう話を切り出す。


「 椎名。 」

『 剣持。 』


なんでこういう時は息ピッタリなんだよ!!!ってくらいには綺麗にハモっていた。

ふわっちは僕らの様子を見ていつものにゃはは笑いを零し、黛さんはやれやれ、と呆れている様子を見せた。


『 にゃはw まぁ〜 、 じゃあ一旦こちらから幾つか質問するんで、それに答えてくれたら良いっすよ 〜? 』

『 まゆ、なんか質問したい事あるんよな ? 』


そう言いこちらに気を遣ってくれた。僕らにも、だし黛さんにも。

改めて周りを見ていないようでしっかり見ているなと感じる。


『 …まぁ本当は話をしてもらってから質問しようと思ってたけど… 』


と、そう言い、机の上にあったお茶を一口含み、机にゆっくり置いた。


『 まぁ二人のあの様子じゃこちらから質問しないと話は進まなさそうだし、 質問させてもらうよ。 』


そう言われると僕ら互いにガキみたいな…と思ったが実際目の前のホストとハッカーに比べてはガキだし、さっきはガキ丸出しの行動ではあったなと返って冷静になった。

いつの間にか僕らの後ろに回っていたふわっちは、背中を押しソファに誘導してきた。肩に手を置かれ、半ば強制的にソファに腰掛ける。


『 単刀直入に聞こうか。 』


僕ら二人を見据え、逃がさないという様な真っ直ぐな眼差し。緊迫感が漂い、僕も椎名も自然と背筋が伸びていた。


『 明那と、関係ある? 』


そう言い終えた頃にはふわっちは黛さんの隣に腰かけていた。

あまりにも的を得た質問で静かに頷く事しか出来なかった。


『 やっぱり、… だから来ないのか、連絡もつかないし。 』


ふわっちは目を見開いた。


『 じゃあ、あきな、は…? 』


明らか動揺している。それもそうだろう、心友である三枝明那の危機を改めて知る事になってしまったから。


『 アッキーナはそのぉ… 』


もじもじと顔を逸らす椎名。言いずらそうにしていた。無理は無い、僕も言いずらいから。


「 はは、… 」

『 まぁ、なぁ、?? 』

「 うん… 」


ちょっと気まずいどころの話では無い。かなり気まずい。こうなる未来は見えていたはずだが…。

話そう、と切り出した椎名でさえも顔を逸らし言いずらそうにごにょごにょと口を動かしていた。


『 あきな、大丈夫なん、? 』


切実に心配する声がとても痛ましく思う。

大丈夫か、と言われたらすぐ答えられない。


「 いや… 、 」


わかんない… そう言いかけた時、椎名が口を挟んだ。


『 あ〜 、 おん。 それは大丈夫、… きっとあてぃしらが明那に憑いている猫又を祓ってみせる。 』


そうハッキリと言い切ってしまった。

絶対、という保証は無いのに。何故こんなにも自信満々に言い切れるのか不思議でやまない。


『 …明那は大丈夫そうだね。 』


ふふ、と微かに口角を上げた。僕らのどの様子を見て大丈夫だと思ったのかまっったく分からない。が、茶化すとか、そういう訳では無くちゃんと信頼を置いてくれているようだ。


『 まぁ、俺らから聞きたい事はあと御札だけだね。明那の安否も知れたし 、 』

「 え、三枝くんは… 」

『 戻ってくる、 そうでしょ? 』


と、そう言った。

あ〜もうなんで…と思ったが、同時になんで僕はこんな弱気になっているのか、と思った。


「 … そうですね、帰ってきます、必ず帰らせますよ。 」


表情には出していないものの、黛さんは明らかに満足気にしている様子を見せていた。

こんなに僕らに信頼を置いてくれているのだ、…祓わなければ。


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