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紫耀side
七月に入り、来週の週末に行われる学園祭の準備に我が校の学生たちはいつもより気合いが入っていた。
俺と海人のクラスは演劇をやるんだ。俺は出し物で使うなかなか重い小物の材料を持ちながら渡り廊下を歩いていた。
外では今のうちに降っておこうというふうに雨が降っている。
すると前から同級生の女子が歩いてきた。名前は紀原姫花。俺が去年から密かに思いを寄せている相手だ。
海人たちには未だ話していない。
「あー紫耀くんだ〜!荷物半分持とうか?」
姫花が優しく声をかけてくれる。これぐらい持ちますよ、男なんで!!
「ふふふ。紫耀はかっこいいね、じゃ!」そう言って姫花は行ってしまった。
揺れる長い髪がこれはまた美しかった。
海人side
手先が器用な俺は女子たちに誘われ、他に数人の地味に裁縫とかできる女子力高めの男子と一緒に女子たちと輪になって小物を作っていた。
女子の一人が言った。
「紀原姫花って知ってる??あの紫耀くんとそこそこ仲良い子!」
え、いや、姫花さんは知っているけど、紫耀と仲が良いのは知らなかった…。
もう一人の女子が「あの人次は絶対紫耀くん狙ってるよねー!紫耀くんも噂では気があるみたいでしょ?」
「え、そうなの!?」
俺はつい、驚いて言ってしまった。
女子たちは俺と同じぐらい驚く。
「え、紫耀くん言ってなかったの!?意外だなぁ。」
「でもあんな奴彼女にしないほうがいいって!付き合ってはDVしてフッてを繰り返しているんだよ!?そんな奴、彼女にしない方が良いって!!」
「でも綺麗だから許しちゃうってフラれた男子たちは言ってるみたいだよー」
女子たちが口々に言う。俺は無意識に手が止まってしまう。紫耀に好きな人がいる……。廉の時とは違う、真実なんだろう。
外では雨脚が急に強くなった気がした。
放課後。
俺は紫耀にさっきの話を聞いた。
「紫耀って好きな人、いるの?」
紫耀は驚いて俺の方を見る。
「女子の間では有名みたいだよ。ねぇ、ほんとにいるの……??」
早く答えて。俺は本当のことが聞きたい。
紫耀は口を開く。
「本当だよ。今まで黙ってて、ごめん。」
なんで言ってくれなかったの……俺の方が先に紫耀を好きになったのに…!!
そう言いたかったけど、言えなかった。
俺は、紫耀に好きな人ができたらそれを精一杯応援しようと心に決めていたのだ。ずっとずっと前から。
「ううん。良いよ。頑張ってね。」
そう言って、会話は途切れた。
家に帰り、廉が以前作った『ジン、海、廉』のグループLINEを開く。作ったものの、会話は一切していなかった。
海人『紫耀に好きな人がいるの、知ってた??』
一番先に連絡が来たのは廉だった。
廉 『え、知らんかった…そんな素振り一切してなかったやん!』
勇太『知らなかった…誰なの?相手は』
海人『紀原姫花って子。わかる?』
廉 『知ってる。俺三回告られたもん。ひどいって噂立ってたし、俺は岸さんが好きだったからフったんやけどな。』
勇太『流石、十五人を一斉にフッたフリ王子w』
廉 『ジン、なんか言った…??(圧)』
廉は去年、バレンタインに女子十五人から同時告白され、全員フッたという大学の中でも超有名なバレンタイン事件を起こした張本人でもあるのです。それから『フリ方がカッコいい』と謎な理由でファンになる人が続出し、付いた通り名は『国宝級イケメンフリ王子』。今でもしょっちゅう廉は学校内を追いかけ回されてるのをよく見る。
本人は呆れ気味……いや、大変呆れてる。
勇太『なんでもありません、永瀬廉様。』
廉 『よろしい、今度なんか言ったら捌くで……???』
勇太『ハハーッ!!』
何ごっこしてるんだ君たちは。
廉 『それより勇太も大丈夫なん?玄樹は俺のことが好きみたいやで?まー、ちゃんとフってフりまくるから安心しとき。』
フっちゃ…わないと浮気になっちゃうもんね。しかも好きでもないのに付き合わなきゃいけないわけだし。
海人『それより来週末まででしょ。岸くんと玄樹くんの『廉争奪バトル』。大丈夫なの?』
『廉争奪バトル』は俺が勝手につけた名前なんだけどね。
廉 『今岸さん優勢。っていうか岸さんを勝たせる気しかないから、玄樹がどれだけ頑張っても無理。』
勇太『でも、最終日に告白するっていう話なんでしょ?そこでは勝敗が決まるみたいな。フるつもりなの?』
ジン、結構心配してるなぁ。普段はこういうの、気にしないんだけどねー。
廉 『もちろん、そうしないと、ジンの恋も叶わないやろ。』
勇太『そう……え、いつ気づいたの!?』
あちゃー。廉やっちゃった。
廉 『え!?あ、もう、結構前から……』
ああ!ダメだって!それを言っちゃったらジンが……
勇太『国民的彼氏の異名をもつ俺がこんな簡単に恋心がバレるとか…いや、そんなわけは……!!そもそも、海人の恋を応援するんじゃなかったのか、俺!何勝手に自分の方優先してんだ、国民的彼氏だぞ!』
あー。壊れた。
廉 『その称号、もらうで⭐︎』
ノリッノリの廉。ジンがぶっ壊れるのはレアだから良いけどさ。
勇太『それだけはー!!』
もう、ほっとこ。
一週間後の週末。
ついに学園祭の日がやってきた。
昨日の夜、紫耀から姫花さんに学園祭が終わったあと話そうと言われたとメールがきたので多分告白されるんだろうな。紫耀もその気があるから付き合うだろうし……。
紫耀には良いことなのかもしれないけど、俺的にはちょっと心配しているし、もっと言うと……恨みがある…訳じゃないけど…と複雑な気持ちでいっぱいだった。
俺はブルーな気持ちのまま、学園祭に行った。
学園祭はいつもの五人で回ろうと約束していた。…ハズが玄樹くんまでついてきた。まあ、今日がバトル最終日なんだから気合が入る気持ちはわかるけど……
「廉先輩!一緒にお化け屋敷にでも…あ、クレープでも良いですよ!」ぐいぐいと玄樹が廉に近づく。
もちろん廉は嫌がる。
「あー!玄樹、しつこいねんっ!!もうちょっと離れろっ!!」
廉もちょっとイライラ(?)しているようだった。まあ、岸くんといちゃいちゃしたいのに邪魔者が入ったからかなー。
岸くんが「まあまあ、廉、ちょっと落ち着こ?」と言えばしゅんと落ち着くから大喧嘩みたいなことは起こらないけど。
やっぱ岸くんのパワー凄いなぁ。俺も見習おっと。
そのとき、ジンが遂に動いた。
「玄樹くん。俺が一緒に行ってあげるからさ。それでも良い?」
ジンがチャンス到来とでもいうように玄樹くんを誘う。
玄樹くんは躊躇うことも、考えることもなく「え!良いんですか!」と即答。
……あれ?廉と行きたかったんじゃないの…??
「じゃあ、こっから別行動やな。じゃ、また後でなー」
岸くんのといちゃいちゃタイムがようやくきたというように廉はそう言って岸くんと速攻でジンと玄樹くんを置いて先に行ってしまった。
「あー!廉、岸くん早いー!」と紫耀はパタパタと廉と岸くんを追いかける。
俺も置いて行かれたジンと玄樹に一言言って三人を追いかけた。
玄樹side
廉先輩達と別れた後。神宮寺先輩と遂に二人っきりに。
どうやら僕はいつのまにか僕は廉先輩ではなく、神宮寺先輩を好きになってしまっていたみたいだ。廉先輩への憧れは今でも変わらないけど。
でも、岸先輩との勝負は勝負。勝てば憧れの廉先輩と付き合えることになるはずなんだけど……正直、告白として呼んでしまったけど、ここは本当のことを話そうかと思っている。
ちなみにさっきのは僕の恋心に変化があったことを周りの先輩に気づかれないようにするための、ある意味一種の戦略だった。
「どこから行こっか。ここからだと一番近いのはお化け屋敷だけど……」
神宮寺先輩が学園祭のパンフレットを見ながら言う。
「行きましょう!お化け屋敷!」
今は神宮寺先輩とのプチデートを楽しまなくちゃ!
雲一つない快晴だった空がより明るくみえた。
廉side
やっと玄樹からの猛アタックから逃れたー。
岸さんとのいちゃいちゃタイムが無くなっちゃうねん!!
「岸さん、なんか食いに行こー!」
岸さんと手を繋ぎ、聞いてみる。
岸さんは即答で「じゃあ、蕎麦食べよー」……大喜利ちゃうねん。これは。
たしかに蕎麦屋はあるんやけどさ。まあ、今日はいいか。
「ええで〜海人と紫耀はどうするー?」
嫌というならこっからまた分かれて行動すれば良いから、どっちでもええんやけどな。
海人が少し考えてから「じゃあ、俺らは他のところ回るよー。じゃぁねー!」と紫耀を連れて他のお店の方まで行った。
海人、紫耀とデートする気だな。ちゃんといつものあざといのやれよーと心の中で応援してから岸さんと蕎麦屋まで行く。
……俺は食べんけど。
ずるっずるっと蕎麦を啜る音が教室中に響く。前には黙々と蕎麦食べ続ける岸さん。それを見ながら俺は道中で買った学祭あるあるのカッチカチのアイスを必死に食べていた。
長持ちさせるためにこんなにカッチカチにしとんるんやろうけど、流石に固すぎて歯が折れそう……。奥歯で無理やり噛み砕いて食べていると岸さんの蕎麦が空になった。その時間約五分。食べるの早いなぁ。
俺は半分ほどしか食べられていない残りのアイスを一口で食べ終える。急に大量に冷たいものを食べたせいで頭がキーンと痛くなる。
「次どこ行くー?あ、廉食べ終わってからで良いよ!?」
俺が頭をいたそう痛そうにしているのを見たのか、岸さんが心配してくれる。ホント、良い男やわ。
頭の痛みが引き、俺は言った。
「そーやなぁ。次はアミューズメント系回ろうやー」
「あ…あみゅ…」
岸さんが首を傾げながらつぶやく。
あ、そうやった。岸さんはこうゆう『ムズカシー日本語』が苦手なんやった。
前も『アドバンテージ』で躓いてたもんな。なんで大学入れたんやろ。この人。
「ゲームとか遊び系ってこと。お化け屋敷と輪投げぐらいしかないけどな。どこが良い?」
岸さんは少し考えてから「じゃあ、お化け屋敷で」と俺が一番行きたくなかったところを選択した。
しかもこの学校のとある先生が本気を出して作るおそらく世界で一番怖いお化け屋敷。去年も酷かったらしいねんけど…人口で作られたものやし、大丈夫やろ!
…案の定、想定していたものより遥かに怖かった。
後ろからゾンビが追いかけてくるし、前からガイコツが脅かしてくるし、そして何よりメチャメチャ長い。学校の二階半分と三階半分を使ったそれはそれは大きなお化け屋敷だったから余計。もう二度と行きたくないわ……。蕎麦食べなくてよかったわ。絶対、吐いちゃうもん。
ところが岸さんはちょっと楽しかったよう。岸さんが「廉、もうそろそろお目当ての紫耀と海人の劇の時間だから行こー!」とわくわく顔で言った。時間は二時過ぎ。
紫耀のところは二時半スタートでそっから一時間後の三時半から四時半までの舞台系ラストスパートを海人のクラスがやる予定だった。今から行ってちょうど良いぐらいの時間。
「そうやな。もうそろそろ行った方がええかもな。」
勇太side
その頃。
俺は玄樹とたもく多目的ホールに行く途中だった。
「神宮寺先輩。先輩って好きな人いるんですか。」
唐突に玄樹くんが聞いてきた。どうしよう、周りに女子がいなければ『いる』って言っても良いんだろうけど……と玄樹くんにバレないように辺りを見渡すと近くに女子のグループが無数にあった。ダメだ。言えない。
「いいや。いないよ。」
結局、俺が選んだ選択肢は『半分嘘、半分ホント』だ。女子の中にはいないけど同性ならいる…みたいな。
「そうなんですか。」
玄樹くんがもの寂しそうに言う。なんで俺に聞いて寂しがっているんだろう……。
紫耀side
もうすぐ俺たちのクラスの発表だ。
題目は大学生にしては幼稚過ぎる『シンデレラ』。
とはいえ大幅にリメイクしたオリジナルなんだけどね。
俺は王子様役を演じる。主演は姫花さんだ。
控室で姿見を見て衣装を直していると、コンコンとノックし、姫花さんが「おつかれ」と言って入ってきた。
衣装は今はボロ服だけれど。魔法にかかった後の衣装はびっくりするほど綺麗だ。
「おつかれ。もうそろそろ開演だからスタンバイしておいた方がいいんじゃないの…?」
時計は二時十五分。もうそろそろ行かないと間に合わない。ところが姫花さんはとんでもないことを口にした。
「私と付き合ってください」
……はい?えーっと。
「演技の方…だよね…?」
そう言い終わる前に姫花さんは
「何言ってるの、リアルの方だよ!!」
と少し照れながら言った。
俺はつい「え…はい。」と言ってしまった。
いや、言いたかったけど…まさか相思相愛とは思っていなかった。
姫花さんは喜んで「じゃあ、私のリアル王子様だね!お互い頑張ろ!」とウィンクをして去っていった……。
え?学祭が終わったらって言ってなかったっけ……??
俺はぽかーんと口を開けたまま立ち尽くした。
海人side
紫耀からメールが来たのは紫耀のクラスの発表が開演する二分前。
紫耀の出番まではまだ先だった。
メールには『姫花さんに告白された』とのことだった……俺は絶望した。
でもわかっていた事だった。目頭が熱くなる。でも今は泣いてはいけない。周りには一緒に出演する仲間がいるからだ。
紫耀には『そっか。よかったね!』と返し、共演する友達に一言言ってからトイレに逃げ込む。
逃げ入った瞬間、涙がポロポロ流れてきた。
頭の中はいろんな感情でぐちゃぐちゃ。
でも誰かに相談したかった。開演する前だから誰かは出てくれるだろうとなんとなく廉に電話することにした。
プルルル…
ニコール目で出てくれた。
『海人?どうしたん?』
落ち着いた、優しい声。俺は言葉を選びながら言った。
「紫耀が、姫花さんと付き合っちゃった。」
廉は黙っている。おそらく、俺に返す言葉を考えているんだろう。
「知ってたよ、今日こういう時が来るって。知ってた。分かってた。ずっと笑っていようって決めてた。だけど……実際にこういうことが起きると……」
俺はつい黙ってしまう。涙がポロポロ流れて止まらない。
『海人…』
廉が心配してくれているのが分かる。
『海人は頑張ったと思うで。何年も片思いだったのに、全然諦めへんかった。』
「違う…!俺が紫耀を好きになっちゃったから…!!ちゃんと俺が異性を好きになってたら…!!」
こんなに悲しまずに済んだのに。少なくとも、紫耀のことで。
『海人、いいから聞け!!…俺は紫耀がなんでモテるのに誰とも付き合わんのかずっと気になってた。でも今なら分かる。それは海人がいるからや。紫耀が誰かと付き合ったりしたら海人が一人になっちゃう、そう思ったから誰とも付き合わんかったんやと俺は思うで。』
紫耀が…俺のために………
『今は俺たちがいる。だから紫耀にも少しゆとりができたんとちゃうかな。紫耀が誰かと付き合ったりしても、海人は一人にならないから。』
俺は紫耀に言われた言葉を思い出す。それは俺が紫耀に思いを寄せるキッカケになった言葉だった。何度も何度も、紫耀には迷惑をかけていなんだな。
そう思っているとまた涙が溢れる。こんなぐちゃぐちゃな顔じゃあ、みんなのところに戻れないや。
「でも俺、やっぱり紫耀が好き。でも紫耀にはもう彼女がいる…。どうしたらいいの……」
もしこういうことが起きた日には紫耀の恋を最後まで応援する。そう決めていた。でも全然ダメだ。
頭の中はもうゴミ屋敷のようにぐっちゃぐちゃ。思考回路は停止状態。
『相手が…まだいい方かもな…』
廉が俺にギリギリ聞こえるぐらいの声で言うので半分推測。どういう意味だろう。
そう考えていると遠くから紫耀の声がした。とうとう紫耀の出番が来たんだろうな。
紫耀は何をしてもカッコよかった。俺の中では紫耀に叶うような人は一人もいなかった。ずっとずっと、俺の憧れで、そして大好きな人で……でも結局、気持ちが伝わることはなかった。
「廉、俺、もうそろそろ行かなきゃ……」
時計を見ると三時。そろそろ行かないと集合に間に合わないかもしれない。
『じゃあ、午後七時にテレビ電話な。ジンにも言っとく。今は何も考えずに楽しんで。俺は海人の笑った顔が見たいねん。』
電話越しに廉が笑ってくれたのが分かる。
「うん。ありがとう。」
そう言って電話を切った。廉にかけて正解だったかもしれない。俺は急いでトイレを出た。
案の定、戻ってきた俺の顔を見て友達に「どうしたの!?海人!」と心配されたのだが、うまく誤魔化した。
発表は無事、大成功に終わった。
廉side
「ってことで、午後七時テレビ電話な。んじゃー」
学祭が終わった午後五時。俺は玄樹との待ち合わせ場所に岸さんと一緒に来ていた。とはいえ、玄樹には気づかせてあげないといけないこともあるからなぁ。まあ、本人が気づいていればええけどな。
「廉先輩、岸先輩あの……」
ともじもじする玄樹。さっさと終わらせちゃお。
「ジンが好きなんやろ?告白せんの?」
岸さんは鈍感だから驚き、玄樹はどこで気づいたの!?と驚く。わかりやすい人たちが多いなぁ。
「でも、僕、心の準備が……」
「俺は言える時に言った方がええと思うで。言いたくても言えなかった人を見てきたから。」
もちろんその人は海人のことなんやけどな。
玄樹は少し考えてから「わかりました、僕、やります!!」と気合を出した。
その後は皆さんの予想通り、告白は見事成功し、二人はラブラブカップルになりましたとさ。
めでたしめでたし。
……て他人事のように終わらせたくないのでちゃんとやります。
「神宮寺先輩、僕…と付き合ってください!!」
その声を俺と岸さんは裏門の陰から聞いていた。ジンを裏門で待たせておいて正解だった。まさか本当に言うとは。相思相愛だから海人みたいに焦らなくてもええんやけどな。
「俺も…玄樹く…いや、玄樹のこと、好きだよ。」
玄樹がこちらを見てニコッと笑う。それを見ると俺も自然と顔が緩んだ。
ジンの恋も実った。
後は………海人やな。