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◻︎意外な味方



_____ここからは、ニシちゃん(真島裕美の旧姓のニックネームで、貴君の奥さん)の視点になります。





ひまわり食堂をあとにして、侑斗を駅まで送る。


「すみません、お手数をおかけしました」

「こちらこそ、痛い思いをさせてごめんなさい。病院に行くことになったら、治療費は私が払いますから請求してください」

「いえ、もうホントに大丈夫ですから。それよりも本気なんですか?家出するって…」

「うん、家出というか、1人になって考えてみようと思ったから」

「実家に帰るんですか?」

「ううん、実家はもうないのよ、お母さんも少し前に亡くなって、弟は仕事先の寮に入ったから家は処分したの」

「そうでしたか…。あの、もしも何かで困ったら、僕に連絡してくださいね、なんなりとお手伝いしますんで」

「…ありがとう。じゃあまた、営農の相談にのってくださいね」

「それはもちろん、じゃあ…」



財布とスマホがあれば、だいたいのことはできる。

だから、簡単に家出すると宣言してみたものの…これからどこへ行こうか?

時刻は16時を過ぎたところだ。

ふと、親しい友達を思い浮かべてみたけど、こんな時に頼れるほどの友達はいないことに気づいた。


___私、友達少なかったんだ…


思い出してみれば、高校時代からの友達はいたけどお母さんが体調を崩してからは、ずっと働いてて友達からの誘いも断ってばかりだった。

結婚してからも、アルバイトは続けてたし、その後はすぐに子育てだし。


___そりゃ、友達も減るよね


お義母さんに預けてきた樹のことは気にかかるけど、正直、今は1人になれてホッとしている。

おばあちゃんっ子になってくれてて、よかったかもしれない。


これからのことを考えるために、とりあえず入った喫茶店。

恋人と待ち合わせてる風な女の子が目に入る。

チラチラと窓の外を見ていて、あ、手を振った、どうやら彼が来たようだ。

うれしそうに見つめ合う2人からは、仲睦まじい気配が漂ってくる。


___あんなふうに、普通に恋愛するべきだったのかなぁ?


お見合い結婚でも、きっとうまくいくと思っていたのに、なんでこんなに行き詰まるんだろう。


ふと窓の外の看板に、ウィークリーマンションがあった。


___しばらくひとりになって考えてみようかな


スマホの電源を切って、看板にあるウィークリーマンションへ向かった。




ウィークリーマンションはすぐに借りることができた。

とりあえずは1週間の契約。


着替えと少しの日用品を買った。

それからビールとおつまみ、缶チューハイにハイボール。

お酒は強くないけど、こんな時は呑んで酔っ払って寝るほうがいい、と思ったから。



ベッドに寝転がってテレビをつけたら、バラエティ番組で俳優が映画の宣伝をしていた。


___映画かぁ…もう何年も見ていないなぁ


内容はベタなものだった。

恋にやぶれた残念な女が、イケメン資産家と出会い磨かれて、素敵な女になっていく的なやつ。


___そんなうまい話があるわけない、だから映画にもなるんだろうけど…


慣れないお酒のせいか、いつのまにか寝てしまっていた。


アラームに起こされることもなく、のんびりとした朝。

今日は何をしようかな?と考える。

その前に、一応、お義母さんには連絡をしておくことにする、樹のことも気になるし。


「もしもし?お義母さんですか?」

『はいはい、裕美さん、気分はどう?』

「あ、ちょっと頭冷やしました。でも…」

『樹?ちょっとかわるわね…ほら、お母さんだよ…』

「樹?たっくん?」

『ママ?おしごと?』

「そう、ごめんね、しばらくおばあちゃんといてね」

『うん、だいじょうぶ。がんばってね』

「いい子にしててね」

『もしもし?樹はいい子にしてるから大丈夫よ。おじいちゃんもいるし』

「すみません、私のわがままで…」


見えるわけがなくても、頭を下げてしまう。


『いいのよ、それより、貴?あの子はダメね。裕美さんが帰ってこないことも、侑斗君のせいだと言ってるし樹のことも私に任せっぱなしで気にもしてないのよ』

「なんで、侑斗さんのせいになるんですかね?」

『ごめんね、私の育て方が悪かったわ。だからというわけでもないけど、裕美さん、気の済むまで1人の時間を過ごしていいからね』

「え?」


思いもかけないお義母さんの言葉だった。


『思い出したのよ、私もね30年くらい前にそんなことがあって家を飛び出したことがあったのよ。だからね…』

「お義父さんと何かあったんですか?」

『理由はもうハッキリ思い出せないけど。とにかくお父さんに頭にきて、書置きを残して夜中に家を出たのよ』

「知らなかった…」

『だからね、今回のことは私はあなたの味方よ。樹には、お母さんはお仕事だと言ってあるから。でも、貴には、あなたとは連絡がつかないと言っておくからね、あの子もちょっと思い知ればいいのよ』


お義母さんもなんだか怒っている。


___そういえばあの人《貴》からの電話もLINEも届いてない…


「お母さん、しばらくお願いします!」

『大丈夫よ、樹のことは。バカ息子のことはほっとくからね』


よし。

せっかくの1人時間をもらったから、羽を伸ばすぞっ!

そしてまたスマホの電源は落とした。



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