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ゆゆゆゆ
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ゆゆゆゆ
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昼下がり。
FORSAKENの館。
ノスフェラトゥは廊下を歩いていた。
ただ歩いていただけだった。
少なくとも本人はそのつもりだった。
カツ。
カツ。
優雅な足取り。
完璧な姿勢。
翻る黒いマント。
ここまでは普通。
問題は。
二階のバルコニーだった。
スペクター。
いる。
コーヒー片手。
なんとなく下を見ている。
そして。
視線が合った。
その瞬間。
ノスフェラトゥの身体が反応した。
すっ。
顎が上がる。
胸が張られる。
肩が開く。
「!!」
まずい。
来た。
始まった。
カツ。
パシッ。
カツ。
パシッ。
歩幅が二割増し。
腰のひねり三割増し。
マントの翻り五割増し。
(やめろ!!)
(普通に歩け!!)
(なぜ急にランウェイになる!!)
しかし止まらない。
肉体が勝手に
「見てください」
モードへ移行している。
二階。
スペクター。
コーヒーを飲む。
「……?」
不思議そう。
特に何も考えていない。
その頃。
廊下の反対側。
アズール。
遭遇。
「何やってるの」
ノスフェラトゥ。
キャットウォーク中。
「違う」
「何が」
「違う」
「いや違わないだろ」
カツ。
パシッ。
無駄に決まっている。
アズール。
笑いを堪える。
「その歩き方どうした」
「身体が」
「うん」
「勝手に」
「重症だな」
さらに最悪なことが起きた。
曲がり角。
ノスフェラトゥ。
無意識。
壁に手をつく。
すっ。
首を斜め45度に傾ける。
前髪を払う。
この世の終わりほど物憂げな横顔。
妖艶な視線。
完璧。
雑誌の表紙。
ポスター。
広告。
全部いける。
本人だけが苦しんでいる。
(誰か助けろ!!!)
ホスフォラス到着。
五秒沈黙。
そして。
「ぶはっ」
耐えられなかった。
「何そのポーズ!」
「違う!」
「めちゃくちゃ決まってる!」
「違う!」
「写真撮る?」
「撮るな!!」
二階。
スペクター。
ようやく声をかける。
「ノスフェラトゥ」
「は、はい!」
即反応。
さらに姿勢が良くなる。
「元気だね」
沈黙。
アズール。
吹き出す。
ホスフォラス。
床を叩く。
「元気だねだって!」
「全部見られてた!」
ノスフェラトゥ。
絶望。
「私は元気ではない」
「そう?」
「全然」
「でも楽しそうだったよ」
「違う」
「そうかな」
「違う」
スペクター。
少し考える。
そして微笑む。
「まあ」
「?」
「綺麗だったからいいんじゃないかな」
沈黙。
ノスフェラトゥ。
停止。
アズール。
察する。
ホスフォラス。
察する。
三。
二。
一。
ノスフェラトゥ。
再起動。
カツ。
パシッ。
カツ。
パシッ。
さっきの二倍になった。
「褒めるな!!」
とアズールが叫び、
「燃料投下しちゃった!」
とホスフォラスが爆笑する中、
ノスフェラトゥは館の廊下を、
過去最高のキレを持つキャットウォークで去っていった。
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