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見事に仕上がった日本庭園が広がる景色の中、畳には二つの影があった
一つはゆったりとした動作で手紙を読む影
もう一つは正座したまま全く微動せず、ただ一つの影を見つめていた
「、なるほど。日輪刀無しで鬼と戦った少女ね」
「はい。少女の姿を見た女性の証言では、まるで侍のような格好で笠を被り、木刀を持っていたと」
ジャラリと小さな宝石が飾られた額当てが揺れ、それはまるで男の心を表しているようだった
「その子は、君が探し求めていた子かい?天元」
天元と呼ばれた男は、その問いかけに対しニヤリと笑みを浮かべ
「はい。俺の四人目の嫁です」
「ふふっ。なら、君に一つ任務を与えよう。
その子を探して、ここへ連れてきてもらえないかい?」
「御意」
________
「オロロロ!!」
とある薄暗い路地裏にて、私は吐瀉物をぶちまけていた
「うぇ気持ち悪っ、流石に飲み過ぎたか、」
あの場を去った後、私は行く当てが無かったので、とりあえず居酒屋に入った
そこでしこたま酒を飲み、その後の記憶はない、
気が付けばここの路地で座り込んでおり、そして今の状況という訳だ
「頭痛ぇ、まじ気持ちっオロロロ!!」
自分ながらにバカだとは思うが、酒に溺れていないとやってられないのだ
いやだってさ、これから自分の技次第で誰かの命が奪われるか決められる訳でしょ?
酒でも呑まなきゃプレッシャーに押し潰されてペチャンコになっちゃうよ?
吐き気が治ってきた頃、突然近くから怒号が飛んできた
「この女、何しやがる!!」
「、あ?」
口端に垂れる胃液を手の甲で拭い、怒号に耳を澄ませた
「っ、何度も申し上げます!このお金は貴方方にお渡ししません!」
どうやら、女性とここら辺のチンピラが揉めているようだった
うっわ、なんか巻き込まれねぇうちに退散退散っと、
私がその場から立ち去ろうとした瞬間
「やめてください!母ちゃんを虐めないで下さい!」
ふと幼い子供の声が聞こえ、私の足が止まった
、なんか、 このまま逃げたら私めっちゃ薄情な奴だよな
いやでも、私今二日酔いだし、病人ですし、
いやでも、
ぐるぐると回る負の思考に苛立ちを募らせ、限界を超えた私は後頭部を掻きむしり
「っぐぁぁぁ!!わぁったよ助けりゃあ良いんだろめんどくせぇな!」
私は自身の良心に負け、声のする方へ歩みを進めた
________
禰󠄀豆子の世話を炭十郎さんに任せ、私は炭治郎と共に町へ炭を売りにきた
炭治郎が元気良く声かけを行ってくれたおかげで、いつもより沢山の炭を売る事が出来た
帰りに買い物をして、荷車を引いて帰ろうとした瞬間
「そこのねぇちゃんよぉ、今俺達金持ってなくてな?それ貸してくれよ」
突然目の前に現れたガラの悪い男二人に立ちはだかれ、私は咄嗟に炭治郎を後ろへやった
男が指を指したのは懐にある財布、しかしこれは数少ない生活費
これを奪われてしまえば、私達は生活出来なくなってしまう
「、お断りします。娘と夫が待っておりますので、失礼します」
私は男達を避け、そのまま去ろうとするが
「おいおいツレねぇじゃねぇか?ちょっとぐれぇ分けてくれよ」
「っ、離して下さい!」
「っ!この女、何しやがる!!」
一人の男が私の手首を掴み、私はそれを思い切り振り払った
「っ、何度も申し上げます!このお金は、貴方方には差し上げません!」
私がそう言うと、今まで後ろにいた炭治郎が私の前で両腕を広げた
「やめてください!母ちゃんを虐めないで下さい!」
「炭治郎、」
勇敢に立ち向かう炭治郎に、いつの間にこんな立派になったと感動していると
「うるせぇこのクソガキ!そこをどけ!!」
「っ!炭治郎!!」
男が左拳を上げ、私は炭治郎を抱え男に背を向けた
その瞬間
「退くのはテメェだろうが。歩行の邪魔だ」
「なっ、!?」
「、?」
トスンという着地音と共に、そんな冷静な声が聞こえた
恐る恐る後ろを振り向くと、そこには黒い着物に身を包み、笠を被った後ろ姿があった
その人物は男の左拳を掌で受け止めていた
「な、なんだテメェ!いきなり上から現れやがって、舐めんじゃねぇぞクソ女ァ!」
「っ!危ない!」
男の右拳が上がり、私がそう咄嗟に声を上げると
「女とガキには手ェ上げるなって教わらなかったか?」
「ぬあっ!?」
しかし、それもいとも反対の掌で容易く受け止めた
「それぐれぇも分かんねぇバカ男なら、母ちゃんの卵子からやり直しやがれ!!」
人物は男の両拳を離し、男の胸倉を掴むと
そのまま反対の拳を男の腹に打ち込んだ
「ガハッ!!」
「れ、れんちゃーん!!」
拳を打ち込んだ瞬間男は吹っ飛ばされ、もう一人の男が駆け寄っていた
「て、テメェ、覚えてろよ!!」
「、、、」
男はそう言うと、もう一人を肩で支えながら去っていった
「あ、あの!ありがとうございます、おかげで助かりました」
私は立ち上がり、後ろ姿の人物にそう礼を言うと
「オロロロ!!」
「?!」
いきなりしゃがみ込み、嘔吐し始めたのだ