テラーノベル
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言いたいけど言えないそういう気持ちに
なったことはありますか?
うまく言葉にできなかったこと。
本当は助けたかったのに
勇気が出なかったこと。
誰かの小さな変化に気づいたのに
気のせいかもしれないって胸にしまったこと。
そんな経験、きっと誰にでもある。
そして______
その小さなすれ違いが
ときどき心の距離が変わってしまうことも。
この物語は
そんな言えなかった気持ちを抱えた4人の
ほんの少しだけ勇気を出すお話
放課後の教室は、いつもより静かだった。
ぺいんとは、窓際の席でプリントを
まとめながらふと後ろの方へ視線を向けた。
しにがみは机に突っ伏して、スマホを
いじりながら笑っていた。
けれど、声はいつもより小さかった。
クロノアはノートを閉じ
誰にも気づかれないように
ため息をひとつこぼした。
トラゾーは元気そうに話していたけれど
その笑顔がどこかぎこちなかった。
______みんなちょっと変だ
そう感じたのは、ぺいんとだけだった。
でも気づいてしまったからと言って
「どうしたの?」なんて軽く声に出せるほど
ぺいんとは器用じゃない。
トラゾー『おーい、ぺいんと。今日一緒に
帰ろうぜ』
いつもと変わらない調子のはずなのに
その裏にどこか無理をしている音が
混じっていた。
ぺいんと『いいよ。みんなで行こうよ。』
そう言ったあと、
胸の奥が少しざわついた。
みんなの状態がわからなかったから
でも、言えなかった。
その日、小さなすれ違いは
静かに始まっていた。
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