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🌹はなみせ🍏
「……ねぇ、若井。今の見た?」
「見た。っていうか、見せつけられたね、涼ちゃん」
スタジオの片隅で、僕たちは機材の影に隠れるようにして、元貴の「限界ギリギリ」な様子を観察していた。
スタッフが全員掃けて、残ったのは元貴とらんちゃんだけ。あからさまに「二人きりになりたいオーラ」を出していた元貴の作戦勝ちだ。
「『もうすぐ成人だね』だってさ。どの口が言ってるんだろうね」
「本当だよ。この3年、らんちゃんに近づく男性を、元貴がどれだけ音速でブロックしてきたか……僕たちは知ってるのに」
元貴の独占欲は、この数年でさらに磨きがかかっている。
らんちゃんが他のスタッフと楽しそうに話していれば、さりげなく間に割って入り、彼女が難しい機材で困っていれば、誰よりも早く駆けつける。
もはや「過保護なプロデューサー」という枠を完全に踏み越えているのに、本人は「教育の一環だから」という顔を崩さない。
「あと数ヶ月で、らんちゃんも二十歳か……。元貴、たぶんカウントダウンアプリとか入れてるんじゃない?」
「やりそう! 『あと〇〇日で解禁』みたいな。……でも、らんちゃん本人は相変わらず仕事一筋だよね」
そう。皮肉なことに、元貴が手塩にかけて育てたらんちゃんは、元貴の期待以上に「プロのスタッフ」として完成されてしまった。
元貴がどんなに熱い視線を送っても、彼女は「次の現場の資料、確認しました!」と爽やかな笑顔で返してしまう。
「元貴、あのまま告白できずに、らんちゃんの『一番信頼できる上司』で終わったらどうするんだろう」
「それはそれで、元貴が拗ねて曲が書けなくなりそうだから困るよ」
僕たちの視線の先で、元貴はまだ「大人かぁ」なんて呟くらんちゃんの隣で、もどかしそうに自分の前髪をいじっている。
「頑張れよ、元貴。僕たちがどれだけフォローしてきたと思ってるんだ」
自分たちの苦労を思い出しながら、僕たちはそっとスタジオを後にした。
数ヶ月後、このスタジオにどんな「爆弾発言」が響き渡るのか。
その日が来るのを、僕たちは誰よりも——ある意味、元貴本人よりも楽しみにしていた。
コメント…そんなの気にしない!ウン、キニシナイ
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コメント
1件
待ってました♡♡♡ 続き楽しみにしてます✨