青視点
青「おはよう、、、」
桃「おはようまろ、なんか元気ないね。 どうかした?」
週明けの月曜日、俺は抜け殻のような状態やった。言葉には気がなく、顔もいつもと違い無表情や。どうして俺がこうなったか、それは土曜日にりうらとほとけの学校の文化祭に行ったことが関係しとる。
青「いや、文化祭が楽し過ぎてその分学校が辛くて…」
桃「なるほどね、まぁ正直俺もそうだよ、、、」
大好きなほとけといっぱい話せて、それに一緒に写真まで撮れて…あんな幸せ初めてやった。恋をしただけでこんなに世界が鮮やかになるなんて思わんかった。
ほとけを見るだけで活力が湧いてきて、また今日も頑張ろうって思える。ほとけのためならどんだけ悩んだって構わない。人に対して関心がなかった俺がここまで変わるなんて少し前は思いもせんかった。
恋は盲目、とはよく言ったものでほとけに1日でも会えへんかったらと考えるだけでおかしくなりそうや。他の人に取られたくない、俺だけを見て欲しい…なんて付き合ってもないのに独占欲まで出てくる始末。
俺はこんな女々しい人間やったんかと驚く。これでは少女漫画のヒロインと同じやないか。なんて現実は少女漫画のようにうまくいかんこともわかっとるのに夢を見てしまう。 恋煩いとはこのことか、なんて心の中におる妙に冷静な自分が俯瞰して考える。
この恋が叶う可能性が低いことぐらいわかっとる。男同士の恋がそう簡単に実らへん事ぐらい重々承知や。それでも好きで好きで堪らないんや。諦めようとしても諦めきれへん。友達という形でも隣に居られればそれでいい。これ以上を望みたくなる自分をぐっと堪える。
桃「まろ、?」
青「あ、ごめん考え事しとった…」
桃「そっか、」
桃「そろそろ席戻りな?チャイムなっちゃうよ?」
青「あ、わかった!」
俺は急いで席に戻った。それと同時にチャイムが鳴り響いた。
青「ふわぁ〜…」
昼休みになった瞬間、俺は欠伸をこぼした。授業はつまらんわけやないけど、ぽかぽかとした日差しの中では睡魔に抗えきれへん。周りもほとんど寝とるから多めに見てほしいところや。
桃「まろ〜、眠そうだね」
青「まぁな、実際さっきの授業寝かけとったからなw」
桃「あれ、優等生さん?w」
青「んははw」
日常のたわいもない会話。それが心地よくて楽しい。この事実はきっと変わることはない。ないこは俺の恋を肯定し、応援してくれとる。その事実が嬉しくて仕方がない。彼に否定されとったらこの恋を諦めとったかもしれん。叶うなんて確証はない。それでもその一縷の可能性に賭けたいんや。
青「今日はどこで食べる?」
桃「うーん…」
二人で今日の昼食を食べる場所を考える。
青「今日は屋上で食べようや」
桃「おっ!いいね!そうしよ〜」
俺たちは屋上へ向かった。その途中でたくさんの女子に声をかけられた。
「いふくん、ないこくん!一緒にお昼食べない?」
青「ごめんね、今日はないこと二人で食べるって決めてるんだ」
桃「本当にごめんね〜…」
何とか相手が傷つかないように気をつけながら断る。いつもはよっぽどのことがなかったら断らへんけど、今日は特別や。
今日は文化祭の時の話を二人でするって決めとったんや。周りに聞かれると変な誤解を生みかねんからな。それにほとけに嫉妬した誰かのせいで被害が及ぶかもしれへん。そんなことは絶対に避けたい。 りうらもその可能性があるから二人っきりの時以外は名前を出さへんように気をつけとる。少しめんどくさいけど、しゃーないことや。
全ては俺らに好意を抱いて、誰かに危害を加えるまでいく奴や。別に好意を向けられるんは嫌な気はせぇへんけど、周りの人間に危害が及ぶのは流石に嫌や。やから俺はないこ以外に友人を作らへんようにしとる。ないこが理由やったら納得してくれるからや。それはないこも同じらしい。
ガチャ
青「おぉ、涼しいな…」
桃「ね〜」
屋上の扉を開けた瞬間、そよ風が俺らの周りを包み込んだ。少し暑さを感じとった俺らにふわりと涼しさを与えてくれる。おかげで過ごしやすい環境に嬉しく思う。
桃「食べよっか! 」
青「そうやな!」
桃と青「「いただきます!」」
手を合わせたのち、弁当の蓋を開ける。そこには色とりどりのおかず。俺は少食やからおかずの量も少なく弁当の大きさもかなり小さい。ないこは大食いやからがっつりとした二段弁当や。成長期の男子やったらないこの方が一般的やと思う。
いつも入っとるだし巻き玉子を一つ口に入れる。冷えても美味しいように調整されたその味は、安心と小さな喜びを与えてくれる。好物のハンバーグを口に入れ、白米も同時に味わう。
やはり母さんの作るハンバーグは美味い。しっかり目の味付けが米をどんどん進ませる。お茶を途中で飲み、きんぴらごぼうと五目豆で口直しをしながら食べ進めていく。
桃「まろっていつも幸せそうに弁当食べるよね」
青「そうか?まぁ実際美味いからな」
俺が弁当の半分を食べ終えた頃、ないこも同じく半分に達しとった。全体の量で言えば俺の3倍近くを食っとると思う。ホンマにあのほっそい体のどこにあんだけ入るんだか、、、なんて思いながら箸を動かし続ける。
桃と青「「ごちそうさまでした!」」
青「ふぅ…」
一息つくと少し心が落ち着く。食後故の血糖値の上昇を感じながら深呼吸で息を整える。
ピコンッ
青「ん?」
桃「誰かからライン?」
青「かなぁ?見てみるわ」
スマホのロックを解除し、ラインを開く。
青「え、ほとけ!?」
桃「ほとけっちからライン!?」
震える手でなんとか文面を開く。
青「えっと、『もしよかったら日曜日遊びに行かない?』…!?」
桃「え、デートの誘い!?」
青「で、デート!?」
デートという言葉に照れてしまう。そんな、付き合ってもないのに、、、
桃「これはほとけっちを惚れさせるチャンスでしょ!」
青「そう、なんかな、?」
桃「ほら!とりあえず返信しな!」
青「あ、うん…」
急いで返信内容を考える。「予定空いてるから、行きたいな!」とかで、ええかな、?ちょっと普通すぎるか…?まぁ、ええか。送信、っと!
青「よし、送ったで…」
桃「おぉ!いいね〜!」
青「あ、返信きた…」
桃「どんな内容? 」
青「『やった〜!ありがとう!』…やって!」
桃「よかったじゃん!」
ほとけと二人きりで遊びに行ける…こんな幸せなことがあってええんやろうか?大好きな人と一緒に出かけれるってだけで嬉しすぎて夢なんやないかって疑ってまう。でも確かに現実で、それが一番嬉しくて仕方ない。どんな服を着ようか、どんな髪型にしようか、なんて夢を膨らませる。
青「あ、」
桃「どうしたの?」
俺は重要なことを思い出した。
青「どうしようないこ!?俺ロクな服持ってへん!?」
桃「えぇ!?やばいじゃん!」
青「ホンマにどうしよう…」
俺が持っとる服といえばシンプルなTシャツとデニムのズボンぐらいや。あとパーカーとか…?
少なくともオシャレとは言えへんラインナップや。俺は基本家に引き篭もっとるし、あんまり身だしなみに関心がないから母親に買ってきてもらった服しかない。やからシンプルすぎるもんしか持ってへんのや。
桃「じゃあ土曜日に俺と一緒に買いに行こうよ!」
青「ええん…?」
桃「もちろん!親友のためだからね!」
青「ないこ…!」
眩しい笑顔で当たり前のようにそう言うないこに嬉しさを感じる。俺の恋をサポートしてくれてホンマに感謝しかない。俺はないこと親友になれてよかった、と心から思った。
桃「どういう系統にしよっか?」
青「やっぱ動きやすくてかっこええんがええよな」
桃「確かに買い物するなら動きやすい方がいいか…」
二人でどんどん計画を立てていく。こういうん楽しいな…
青「ふふっ」
桃「どうしたの、まろ?急に笑い出して…」
青「なんか恋ってええなぁって思ってさ!」
桃「そうだよ〜、恋は人を変えるんだから! 人は恋すると可愛くなったりかっこよくなったりするって言うじゃん!」
青「確かにせやな!」
恋をするとそれまで以上に見た目を気にし出す。それはちょっとでも振り向いて欲しいから。ほとけに私服で会うんは初めてやから、幻滅されへんようにせんと…でも、ファッションセンスがええないこに選んでもらうんやし、大丈夫やんな!ないこお墨付きならきっと安心や!
俺はそれからの授業、土曜日と日曜日のことで頭がいっぱいであんまり集中できへんかった。
コメント
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🐱💙くん🦊💎くんの絡みてぇてぇのに、🐱💙くんと🐶🩷くんの絡みもてぇてぇから、小説がてぇてぇすぎて口角どっかいきそうです、! 本当小説の書き方上手ですね!次も楽しみにしてます!頑張ってください!