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ワンちゃんと喧嘩になるかと思った…ほっ。
この嘘みたいな本当の話をマネージャーさんには共有した。
信じてくれて、救われる思いだった。
現場にうまく言ってもらいながら、休憩や空き時間に手の空いた人が交代で様子を見に行き、今日の収録を何とか乗り切った。
俺が行けそうな時は、みんなが『行って来てあげたら』と言ってくれた。
阿部ちゃんの荷物にあったブランケットで猫を包んで、隠して連れ帰る。
自分の荷物の前に座り、自分からブランケットに潜り込み、包まれた時から一鳴きもしないで身を潜める様子に、やはりこの子は阿部ちゃんなんだろうなと思わされる。
猫慣れしてるのは佐久間くんだけど、既にいる猫ちゃんたちがどういう反応をするかわからないと言うので猫用のフードだけ分けてもらって俺が連れて帰る事になった。
部屋を暖かくし、床に降ろすとソファに直行して丸くなる。
猫は新しい場所が苦手だというが、この子は俺の部屋に対しても慣れたものだ。
🖤「ほんとに阿部ちゃんなんだ」
背中を撫でる。
もう便宜上この子は 阿部ちゃんと呼ぶとして、そこから色々な考えが巡る。
元に戻る日が来るのか、方法はあるのか、俺は阿部ちゃんに猫のご飯を食べさせないといけないのか?
不安で涙が滲む。
透き通った丸い目がこちらを見て、身体をよじ登ってきた。
慣れない手つきながら抱っこすると、顔を擦り寄せてくる。
🖤「ごめんね、阿部ちゃんも不安だよね」
そう。
きっと猫になってしまった方も不安は同じ、むしろ人間でなくなった事で俺より不安は大きいはずだ。
就寝が近づくに連れ、阿部ちゃんがよく鳴き始める。調べたら精神的ストレスも一因とある。
お風呂に入りに行ったらついてきて、ドアの外でずっと鳴きながら待っている。
とにかく俺について歩き、呼びかけるような鳴き声が止まらない。
🖤「1人にしないよ、一緒に寝よう」
ベッドに入ると自分から顔を埋めて密着してくる仕草が阿部ちゃんそっくりで、そう思ったら急に眠くなった。