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やっと昨日透子にすべての気持ちを、すべての真実を伝えられた。
隠さなくてもいい日常、想いを伝えられる幸せ。
それがようやく叶えられた昨日は、ずっと幸せすぎて、透子が愛しすぎて、ずっと離れたくなくて、正直そのまま透子を家にも帰したくなかった。
オレ的にはそのままホテルにまた泊まって一晩中イチャイチャして、一緒に朝会社に出勤してもいいかと思ってたくらいなのに、透子は一度着替えに戻りたいからと相変わらず素っ気なく泊まりもせずに帰すハメになった。
まぁそりゃあんな格好のままだとそうなるのは当然なワケだけど。
でも、一秒でも一緒にいたいと思うオレの気持ちと透子の気持ちは、まだ少し違う気がして。
あんなにも気持ちを確かめ合ったのに、まだオレは変わらず透子を追いかけ続けている気持ちになる。
現に今日久々にこうやって会社に出勤してることでさえ透子は知らない。
ずっと会えなくて寂しかったのはオレだけ?
昨日別れたのにもうオレは会いたくて、気付けば透子が何しているのかとか、さり気なくメッセージ入れたフリして確認してしまう。
透子から会いたいだなんて、相変わらず言ってくれないのはわかってる。
だけど、オレは一瞬でも会いたくて、ランチで食堂にいると返事が返って来たのを確認して、結局オレはためらいもなく透子に会いに来てしまう。
だけど久々に会社に顔を出したら出したで、昨日の今日だからか、さすがにいつも以上に声をかけられたり騒がれているのは少し面倒だけれど。
そしてオレはそんな状況の中でも、やっぱりすぐ透子の姿を見つけだす。
「どうも。隣座っていい?」
三輪さんと話している透子のすぐ隣に立って声をかける。
「あっ、うん。どうぞ」
オレが声をかけて、ようやくオレの存在に気付いて少し驚いた反応をする。
いや、少しはオレの存在意識してよ。
「ちょっ・・・こんな空席あるのにわざわざ隣来なくてもさぁ」
しかも、透子はそんな迷惑そうな反応まで示す。
[なんで? 別に良くない? ここ空いてるし、一緒にいれるなら傍にいたいって思うの普通でしょ」
オレはこんなにも透子に会いたかったのに、透子はそうじゃないの?
「いや・・・それは、そうなんだけどさぁ。ってか今日会社来てたんだね?」
「あ~。さっきお昼食堂で食べるって連絡くれたから会いに来た」
「へっ!?」
ホントは今日会社来る用事なんてなかった。
別に今日でも明日でもいつでもよかったし、向こうの会社でやることもあったんだけど。
でもまだ透子との時間を優先したくて、少しでも会える時間を作りたくて、今日は元の部署での仕事の引継ぎを確認しに来ることにした。
だけど透子があまりにもいつも通りなのが少し寂しくて。
透子を少し困らせたくなった。
「いや・・ちょっと、ここ会社・・!」
「わーお。ごちそうさまです~」
案の定照れて困る透子と、それを見てからかう三輪さん。
「あっ、どうも~。お疲れ様です」
そして同じテーブルへ遅れて連れの高杉もやって来る。
「あっ、お疲れ様です」
すると、透子は助かったと言わんばかりの表情をしながら高杉へ挨拶を返す。
それで逃げられたつもり?
「オレは気にしないけど」
だけど、オレは気にせず、また透子を見つめながら呟く。
「いや、だから、もういいってその話・・」
なのに透子はあからさまに、まだ困った素振りを見せる。
「別にもう隠す必要ないでしょ」
まだ頑なにオレ達の仲を隠そうとする透子が気になる。
「いや・・・だって・・・」
オレがこうやってじっと見つめて熱い視線を送っても、いつものように誤魔化しながら目さえも合わせない。
オレ達あんな愛を誓い合ったのに、なんで透子はまだそんな感じなのかがわからない。
もう堂々としてくれたらいいのに。
世間的にももうそういう存在がいるって昨日の発表でわかったはずだし。
今のオレの立場でも、もう隠す必要もないし、もう隠したくない。
あんなに堂々と透子の気持ちも宣言して認めた今では、もう隠しておくことが意味ないことに思えて。
今のこの状況でさえ、もうもどかしく感じてしまう。
「えっ?どしたの? 何二人でコソコソして隠し事?(笑)」
するとそんなオレ達の様子を見て高杉が冗談半分に声をかけてくる。
おぉ、高杉ナイスアシスト。
「そっ。今までオレたち秘密の関係だったんだけどさ~。そろそろもうオレがこれ以上隠してるの我慢出来なくなってきて」
オレは冗談で言ったその高杉の言葉に上手く乗っかることにした。
「おいおい、早瀬。さすがに望月さん相手にその冗談言えるとかすげーわ」
だけど、透子のことはオレの周りには誰にも言ってないだけに、当然高杉もこんな反応。
そして隣の透子へ視線を移動させると、案の定透子もバラそうとしているオレの様子に驚いた反応をしてる。
何? まだ透子はバラしてほしくない感じ?
オレは意味ありげに透子だけにわかるように微笑みながら・・・
「これでも信じない?」
ゆっくり立ち上がって透子の後ろへ周り背中から抱き締めた。
「はっ!? 早瀬、お前何してんの!? えっ、マジでホントに二人そういう関係なの!? お前の相手って、まさかの望月さん!?」
するとようやく高杉も現状を把握して、それと同時にさっき以上に驚いた反応をする。
そりゃオレらにとったら、透子はずっと高嶺の花的な存在で、実際ならこんな風に手の届くような相手じゃないんだから。
そりゃ高杉も驚くよな。
そしてその高杉のデカすぎる声も当然食堂に響き渡って、周りにも気付かれ始める。
「そっ。ホントはずっとこうやって皆に見せつけたかった」
だけど、それもオレにとっちゃ好都合。
無駄な説明も省けるし、これで誰が見てももうわかるでしょ。