前回の話をまだ見ていない方はそちらから見ることをおすすめします
⋯
「⋯ふぅ〜、ごちそうさま!」
かちゃんとカトラリーの音を立て、フォークを皿に置く。
トマトとツナを和えて、パスタと絡め、レタスを敷いた皿に盛り付けて、細かく切った
サーモンを上に載せる。我ながら完璧だったと思う。
一方猫はというと、こちらも細かく切ったサーモンを小さな皿に盛った。
生憎、キャットフードがないもんで、贅沢思考にならないといいけど。
「美味しい?」
しゃがんで一生懸命に口に含む姿にそう問えば、返事の代わりにむしゃむしゃと食べる音が響く。
その姿に安心して、食器を片そうと思い切り立ち上がった。
「あれ⋯猫ちゃーん⋯?」
食器を洗い終わって居間に戻れば、猫の姿がないことに気づく。
どこへいったのだろうか。
ベランダは開けていない。
風呂場も開けていない。
僕の部屋にもいない。
居間をくまなくさがしてもいない。
必死こいて探して、やっと見つけたのは猫に開けていた空き部屋の布団の上。
そっと撫でていれば、僕の手にすりっと擦り寄ってくる。
「⋯」
『ぶるーくの手、大きくてあったかいんだよね。』
『何、なんか付いてる?』
その姿は、まるで。
突然姿を消した、僕の恋人のようで。
「スマイル⋯」
死期を悟った猫は、静かに人の前から姿を消すらしい。
うたた寝していたのか、日が沈んで窓の外はすっかり暗くなっていた。
猫が寝ていた布団は、たしかにそこにあった布団の凹み。
ふとそこに触れると、ひんやりとしており、温もりは消え去っていた。
家の中を探しても、猫はどこにも見当たらなかった。
「⋯スマイル、」
ピンポーン
突然、空気を読まないインターホンが、家中に軽快な音を響かせた。
猫【🍖×?】end?