テラーノベル
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パーティー結成から数日後、二人は最初の依頼をうけるため
ギルドの掲示板には、
討伐依頼がずらりと並んでいた。
「これ……どう?私たちでもできそう…」
彼女が指差したのは、
“渋谷・旧地下街に出没する《スモッグラット》の討伐”。
報酬は 5万円。
E級にしては悪くない。
「弱い魔物だし、初任務にはちょうどいいわよね」
「うん。やってみよう!!」
そう言って受注した。
だが、後で思えば、これが地獄の始まりだった。
ギルドをでて、旧地下街にむかう。
旧地下街は、湿った空気と錆びた匂いが漂っていた。
「……暗いね なんかでそう(笑)」
「大丈夫。私、光魔法も少し使えるから」
彼女が手をかざすと、
淡い光が周囲を照らした。
その瞬間、
カサッ……カサカサッ……!
「来た!構えて!!」
壁の隙間から、黒い影が飛び出す。
スモッグラット。
E級の中でも最弱クラスの魔物。
「いっくよー!!」
その瞬間、
奥の闇が“うねった”。
「……え?」
次の瞬間、
大量のスモッグラットが一斉に飛び出してきた。
「まって!?なにこれ…ちょっ数多くない!?」
「E級ってこんなに群れるの!?」
ギルドの情報とは明らかに違う。
これは“異常発生”だ。
「凛、下がって!」
彼女が防御魔法を展開し、
僕の前に光の壁が広がる。
だが――
数が多すぎる。
壁が軋む音がした。
「まずい……!」
「凛、召喚できる!?」
「わからない、でも、わずかな希望にかけてやるしかない!防御は頼んだよ!」
僕は深呼吸し、詠唱を始めた。
胸の奥で、魔力が脈打つ。
「世界の残滓よ……
崩れし境界より、我が呼び声に応えろ」
足元の空気が震え、光が地面を走る。
「形なき魂よ、
未完のままでも構わない。
ただ――我が影として顕現せよ」
青白い紋様が地面を描き、
幾何学模様が立体的に浮かび上がる。
「契約は未だ途上。
ならばその名を伏せたまま、
我が手に宿れ――」
光が弾ける。
「式神召喚!」
召喚陣がうめき、
影が揺らめき、
今度は――
狐のような輪郭を持つ影が形を結んだ。
影の狐は、
スモッグラットに向かって飛びかかる。
不完全な式神でも、
E級相手なら十分戦える。
「凛、すごい……!」
「まだ不安定だけど……いける!」
だが――
奥の闇が再び揺れた。
ズズ……ッ。
「……え?」
巨大な影が姿を現した。
キングスモッグラットだ。
本来なら D級相当 の危険個体。
「嘘でしょ……なんでこんなのが……!」
「凛、式神が押されてる!」
影の狐が弾き飛ばされ、
召喚陣が揺らぐ。
「くそ……!」
「凛、手を!」
僕は死に物狂いで手を差し出す。
彼女が僕の手を握った瞬間、
魔力が混ざり合い、
召喚陣が再び脈打つ。
影の狐の輪郭が強く輝いた。
「いけ……!頼む!!」
狐が親玉に飛びかかり、
光の尾を引きながら噛みつく。
親玉が悲鳴を上げ、
やがて崩れ落ちた。
静寂。
「……終わった?」
「うん……なんとか」
式神は霧のように消え、
僕はその場に座り込んだ。
「凛、大丈夫?」
「…死ぬがどおもったぁ」
彼女は微笑んだ。
「これからもっと強くなれるわ。がんばろう。」
僕も笑った。
「うん!!」
ギルドに戻った。
ギルドに戻ると、受付の女性が僕たちを見るなり目を丸くした。
「えっ……二人とも無事だったの?」
「はい。なんとか」
「旧地下街、異常発生してたって聞いたけど……本当なの?」
僕たちは頷いた。
「スモッグラットが群れてて……
奥にはD級相当のキングスモッグラットまでいました」
受付の女性は青ざめた。
「そんな……E級依頼のはずなのに……」
奥からギルド職員が数人出てきて、
僕たちの話を詳しく聞き始めた。
やがて、職員の一人が深く頭を下げた。
「本当にありがとう。
あのまま放置していたら、
渋谷の地上にまで被害が出ていた可能性がある」
「そんな……僕たちは依頼をこなしただけで」
「いや、これは“依頼以上の働き”だ」
職員は書類を取り出し、受付に渡した。
「E級依頼の報酬は5万円だが……
今回はギルド判断で 特別報酬を追加 する」
受付の女性が封筒を差し出す。
「D級討伐報酬を加えて、合計――15万円 です。討伐、ありがとうございました!!」
「えっ……!」
「そんな……いいんですか?」
「当然よ。
あなたたちがいなかったら、
もっと大きな被害が出ていたもの」
彼女は僕の袖をつまんで、小さく囁いた。
「凛……15万円よ……!
私、こんな金額もらったの初めて……!」
「僕も……」
二人で顔を見合わせて笑った。
ギルドを出た帰り道。
夕暮れの渋谷は、いつもより少しだけ明るく見えた。
「ねぇ凛」
「ん?」
「今日……怖かったけど、楽しかった」
「僕も。
二人なら、もっと強くなれる気がする」
彼女は微笑んだ。
「じゃあ……次の依頼も、一緒に行こうね」
「もちろん」
こうして――
初任務は危機的状況だったが、
二人の絆は確かに深まり、
報酬は 15万円 に跳ね上がった。
それは、
“パーティーとしての第一歩”にふさわしい成果だった。
コメント
2件
やはり書くのが上手いな…うん