テラーノベル
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三話の戦いから、一か月が経った。
あの日を境に、僕と“もう一人の凛”は
いくつもの依頼をこなし、
気づけば――
パーティーランクはDランク
まで上がっていた。
「ねぇ凛、見て。
正式に“Dランクパーティー”よ!!うれしい!!」
彼女はギルドカードを嬉しそうに見せてくる。
「やったね。
僕たち、結構頑張ったからね」
「ふふ、当然でしょ。
あなたの召喚と、私の防御があれば最強よ。怖いものなんてないわ。」
そう言って笑う彼女の横顔は、
一か月前よりずっと頼もしく見えた。
「と…言いたいところだけれど…実際はそろそろ限界かもね」
「え?」
「Dランク以上の依頼って、
アタッカーがいないと厳しいのよ」
確かに、僕の式神はまだ不完全。
彼女の魔法は防御・回復が中心。
アタッカーが足りない。
「じゃあ……メンバー募集する?」
「そうね。
私たちのパーティーに合う子、来てくれるといいけど」
二人でギルドの掲示板に向かい、
空いているスペースに紙を貼った。
【パーティーメンバー募集】
Dランクパーティー《未定》
・アタッカー(魔法・武器どちらでも可)
・協調性のある方
・初心者歓迎
※危険依頼あり
「……なんか地味じゃない?」
「いや、これくらいでいいよ。
変に盛ると怪しいし」
「確かに」
二人で笑っていると――
「……あ、あの……」
背後から、蚊の鳴くような声がした。
振り向くと、
赤い髪の少女が立っていた。
年は僕たちと同じくらい。
瞳は琥珀色で惚れてしまうぐらい綺麗だ。
「こ、これ……アタッカー……まだ……ぼ、募集……してますか……?」
「えっと……君は?」
少女は一瞬固まり、
顔を真っ赤にして、
蚊の鳴くような声で名乗った。
「ひ、火ノ宮……
火ノ宮 灼……です……
え、炎属性……の……ま、魔法……使い……で……
アタッカー……やりたい……です……」
「炎属性……!」
もう一人の凛が目を輝かせる。
「アタッカーとしては良さそうじゃない?」
灼はさらに小さく首をすくめた。
「で、でも……
こ、ここで……じ、実演は……む、無理……です……
ひ、人前……苦手で……」
「なるほど、コミュ障なんだね」
僕が言うと、灼はさらに真っ赤になった。
「ご、ごめんなさい……
で、でも……戦うのは……す、好き……です……
ひ、人と話すのが……む、無理……なだけで……」
「いや、それで十分だよ!」
「むしろ最高じゃない!」
灼はびくっとしながらも、
こちらを見上げた。
「……わ、私……
を……仲間……に入れてくれませんか……」
その声は震えていたけれど、
瞳の奥には確かな意志があった。
僕は迷わず言った。
「ぜひ!!大歓迎だよ!!」
灼は一瞬固まった後、
小さく、でも確かに微笑んだ。
「……よ、よろしく……お願いします……!」
僕たちは声をそろえて言う
「よろしく!!」
「よろしく!!」
こうして――
僕たちのパーティーは三人になった。
炎属性のコミュ障少女、火ノ宮 灼。
この時の僕たちはまだ知らなかった。
彼女が、後に“とんでもないアタッカー”だと判明することを。
コメント
2件
コミュ障つよつよちゃんか…?最高か…!?