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璃月郊外。とある高級温泉宿。
任務という名目で呼び出された二人――
社奉行・綾人と、その側近トーマ。
だが。
この宿の手配をしたのは――もちろん。
タ「いやぁ偶然だねぇ。部屋、ひとつしか空いてなかったみたいでさ?」
ダ「偶然なわけがないだろう」
空「(目がキラキラ)」
⸻
部屋に入った瞬間。
ト「……え、布団一組……?」
綾「ほう。これはまた……面白い配置だ」
ト「面白くないですよ!?俺、廊下で寝ますから!」
綾「主を一人にするのかい?」
ト「うっ……」
綾人、静かに笑う。
綾「安心するといい。私は寝相は悪くない」
ト「そういう問題じゃ……」
露天風呂。
当然のように鉢合わせ。
ト「……っ!?あ、綾人様!?」
綾「やぁトーマ。奇遇だね」
(※絶対奇遇ではない)
観戦席――
空「タルタリヤ……これ絶対仕組んだよね」
ダ「……温度まで計算している顔だ」
タ「いやぁ、湯気って距離バグるでしょ?」
⸻
湯気の中。
足を滑らせたトーマ。
ト「わっ――」
支えたのは、当然。
綾人。
腕を掴み、引き寄せる。
結果
顔至近距離。
ト「……すみません」
綾「いや。怪我は?」
ト「大丈夫、です……」
離れようとした瞬間――
綾人、手を離さない。
ト「……綾人様?」
綾「もう少し、このままで」
ト「……え?」
綾「君はすぐ無理をする。 こうして支えていないと、どこかへ行ってしまいそうだ」
ト「行きませんよ」
綾「本当に?」
ト「俺は、綾人様の家臣ですから」
一瞬の沈黙。
綾人の目が、わずかに揺れる。
⸻
空「今の“家臣ですから”重くない!?」
タ「いや主従ブレーキ発動したねぇ」
ダ「……だが、綾人は納得していない顔だ」
⸻
寝る準備。
布団一組。
ト「やっぱ俺、床で――」
綾「来なさい」
ト「命令口調!?」
綾「命令だ」
渋々隣へ。
距離が近い。
静寂
だが。
トーマが寝返りを打った瞬間。
腕、綾人の胸元を掴む。
無意識。
ト「……ん……綾人様……」
寝言。
綾人、固まる。
観戦席――
空「待って名前呼んだ」
タ「無意識供給だねぇ」
ダ「……理性が試されているな」
⸻
綾人、そっとトーマの手を握る。
綾「……君は、残酷だな」
眠っている相手に小さく呟く。
綾「家臣だと言いながら、
こんな顔で私の名を呼ぶ」
指先で頬に触れかけ――
止まる。
綾「……今は、まだ」
だが。
トーマ、目を覚ます。
ト「……綾人様?」
至近距離
目、合う。
ト「近……っ」
綾「起こしてしまったか」
ト「いや、その……」
沈黙
綾人、低く囁く。
綾「君は私をどう思っている?」
ト「……え?」
綾「主か。家族か。……それとも」
トーマ、顔真っ赤。
ト「それ以上言わないでください……」
綾「答えは?」
ト「……ズルいです」
綾「何が?」
ト「そうやって距離詰めるの」
⸻
観戦席
空「トーマ耐えて!!!」
タ「これは落ちるねぇ」
ダ「……時間の問題だ」
⸻
トーマ、深呼吸。
ト「……じゃあ、俺からも聞きます」
綾「?」
ト「綾人様は俺をどう思ってるんですか」
綾人、即答しない。
そして――
綾「手放す気はない」
ト「……!」
綾「家臣としても、 それ以外としても」
ト「それ以外って……」
綾「言わせるのかい?」
距離、さらに近づく。
トーマ、完全フリーズ。
⸻
観戦席。
タ「うん、今夜はここまででいいかな」
空「え!?キス未遂止まり!?」
ダ「……焦らすのが趣味か」
タ「完成は次回の任務後かなぁ?」
⸻
部屋。
二人、至近距離のまま。
ト「……寝れないんですけど」
綾「私もだよ」
ト「距離……」
綾「このままでいいだろう?」
ト「……ズルい主だなぁ……」
小さく笑う声。
布団の中、手だけがそっと重なる。