ぺいんとさんの誕生日ということで。
…え?それは昨日だって?いやいや、僕は今、10月8日にいますが…?
ちなみにRはないし、なんならAIちゃんに物語の構成考えてもらいましたすいません
数字に正直なので、この作品が伸びたら、または神絵を見てやる気を出したり、神から天啓が降りたらR書きます。
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時計の針が動く音と、ひたすらにキーボードを叩く音だけが響く室内。
勿論、この部屋にいるのは俺だけしかいなく。
「 ぁー… 終わんな… 」
終わらぬ作業に嫌気がさし、呟きながらも嫌々指を動かす。
そろそろ、日を跨いでしまうようだ。
まあ、日を跨ごうがこの作業が終わらぬ限り、俺は寝れないんだけど。
「 はあー…つらい、めちゃくそしんどいわ。なにこれ、なんの拷問? 」
椅子の背もたれに体を預けながら、天井を仰ぎ見て嘆く。
いや、別に編集作業が嫌いな訳ではない。むしろ好きだと言っていい。ただ単純に、量が常軌を逸しているというか。
そんな愚痴を吐きながらキーボードを叩いていると、玄関のチャイムが鳴らされる。
「 ん……? こんな時間に誰だろ、 」
重い体をひきづるように玄関にむかえば、誰か確認することもなく扉を開く。
その先にいたのは、
丁度1年前に別れた元恋人だった。
彼は、呆気に取られた俺の顔を見て、くす、と笑えば
「 誕生日、おめでと、ぺいんと 」
と、当たり前のように祝ってきた。
「 ……え?なんでここにいんの……? 」
「 いや、だから誕生日おめでとって言いに来ただけだけど?」
は?もしかしてこいつ馬鹿なの??いや、そうか馬鹿だわ…
こいつは元恋人であるらっだぁ。俺より歳上なのだが、俺よりあほな所があるというか、抜けてると言うか、
まあそんなことはどうでもいいんだけど。
「 …俺ら、別れてるよね? 」
「 うん、そうだけど。てか寒いから中入れてくれん? 」
「 図々しいったらありゃしないなお前。まあ入れるけど 」
「 やっさしー 」
彼の真意がどうもわからないが、秋の寒さは体に堪える。とりあえず、家の中に入れることにした。
「 あー、あったけえ!生き返るわ~ 」
家に入り、暖房の温度を少し上げると、彼はソファに座り込んだ。
ほんとに図々しいやつだな……と思いながらも、俺は作業に戻る。
「あ、ぺいんと作業中?」
「うん、まあね」
「……そっか。邪魔したね」
彼はそう言うと、俺の作業している机の前に来て座る。
「いや、邪魔したねって……お前、何しにきたんだよ」
「んー?だから誕生日祝おうと思って。あ、これプレゼントね。」
彼はそう言うと、紙袋を俺に渡してくる。
「え、なにこれ?」
「 開けてみ? 」
俺は彼に言われるがまま、紙袋の中身を覗くと、中には赤色の、既視感のあるマフラーが入っていた。
「……え?なんでマフラー?」
「こっから寒くなるじゃん?だから先取り」
既視感あるんだけど、と言おうしたが、彼が、あまりに寂しそうな目をしていたため断念した。
「あー、そういうことね。ありがたく貰うわ。ありがと」
「どーいたしまして」
俺がマフラーを手に持ちながら礼を言えば、彼は満足そうににへらと笑った。
「じゃ、そろそろ帰るわ」
彼はそう言うと、そそくさと立ち上がり玄関へと足を向ける。俺はそれを黙って見ていることしか出来ず、彼に少し遅れて玄関まで行く。
「 じゃあなぺいんと、編集頑張れよ~ 」
彼はそう言いながら扉を開けようとドアノブに手をかけた時だった。
「 ま、待って 」
「 …何? 」
無意識だった。
出ていってほしくなくて、思わず声が出てしまった。
その後に続く言葉も用意できていないのに。
「 な、なあらっだぁ、良かったら泊まってかない? 」
「 ……え?なに言ってんの? 」
彼は少し驚いたように目を見開く。
「 い、いや!その……ほら!もう外寒いじゃん?だから泊まってけって! 」
あたふたとしながら、必死に言い訳をする俺。
彼はそんな俺をしばらく見つめると、ふは、と吹き出すように笑い出した。
「 何笑ってんの… 」
「 んや?必死だなあって。ま、確かに外寒いだろうし、お言葉に甘えてもいい? 」
「 …らっだぁがいいなら 」
「 んじゃ、再度お邪魔しまーす 」
彼はそう言うと、Uターンして俺の部屋に戻っていった。
その背中を追うように、俺も部屋に戻る。
…てかなんで普通に受け入れてんの?コイツ、一応俺ら別れてるんだよ??なんで元カノの家にズカズカと上がり込めんの??
そんな風に考え込んでいる俺を横目に、彼はまた同じ位置に座り込み、寒そうにぶるっと体を震わせた。
それをみて俺は我に帰った。
そういやコイツ冷え性か…、ココアとかあったかな。
「 ちょっと待ってて 」
そう言い残して台所へ向かい、戸棚を漁れば、なんと2個だけ丁度スティック状のココアの粉末が残っていたようだった。
俺は、自分の分と彼の分をマグカップに淹れ、部屋に戻った。
「 はい、ココア 」
「 お!さんきゅー 」
俺は彼が座ったソファの前のローテーブルにココアを置く。
彼はそれを受け取ると、ちびちびと飲み始めた。
その向かい側のソファに座りながら、俺は仕事の続きに戻る。……とは言ってももう終わっていたんだけども。
ふと彼を見れば、ココア片手に何故かこちらを見つめていた。
「 …何? 」
「 いや、懐かしーなって 」
付き合ってた頃もこんな感じだったよなーって。
そう言って、懐かしむように微笑む。
確かに、その頃もらっだぁが急に家に押しかけてきて、何かおもてなしをする…そんなことをしていた気もする。
「 ね、ぺいんと。俺さ、お前に言いたいことあるんだよね 」
彼はそう言うと、マグカップをテーブルに置いて、俺の方に体を向ける。
俺はその空気感に少し気圧されて、思わず姿勢が良くなる。
「 ……何?改まって 」
「 いや、別にそんな大層なことでもないんだけどさ 」
「 うん 」
「 別れてもう結構経つじゃん? 」
「 ……まあ、そうだね 」
「 …もうそろそろ、別れた理由言わなきゃなって 」
「 …りゆう?」
確かに、理由も言わず別れを切り出したのは彼だった。
別れたすぐの頃はなぜ別れなきゃいけなかったのかわからなくて、泣いた夜もあった。
でも、今はもう割り切っている。
「 …なんで今更?」
「 …今更だからこそだよ 」
「 どういうこと? 」
覚悟を決めた、と言わんばかりに深呼吸をした彼は、視線を下に落としながら話し出した。
「 実は、さ、俺ずっと…丁度付き合って半年…くらいの頃からストーカー被害受けてたのね? 」
「 …ぇ? 」
「 初めは付き纏われるくらいだったんだけど、どんどん過激になってってさ、このままじゃぺいんとが危ないって思って 」
知らない、知らない、何それ
「 でも、誕生日は祝いたかった。だから、だから…丁度この日に別れたんだよ 」
「 …なにそれ 」
全部、全部知らなかった。
自分に非があったんだと、飽きられたんだと思ってた。
でも、違った。全部、俺のことを考えてて、
「 …ほんと、ごめん。でも、俺ぺいんとに何かあったら死んでも詫びきれないから 」
ほんとに、ごめん。
そう言って、俺のことを抱きしめる。
久しぶりの彼の温もりが、彼の腕が、胸の中が、これほど愛おしいとは思ってもみなかった。
「 ストーカーも、逮捕されたんだよ。2日前くらいに 」
そう言って、安心させるように頭を撫でれば、そっと体を離す。
温もりが遠かったことに寂しさを感じたが、彼の、熱を持った視線に射られ、その感情さえも無くなる。
そして、彼は、あの時のように、真剣な顔で、また、同じ言葉を発する。
「だから…俺と、付き合ってくれませんか?」
「…うん、うん…付き合う、付き合うよ…」
ぼろぼろ、と自分の目から溢れる涙を無視し、彼に手を伸ばす。
そして、首に手を回し、抱き寄せる。
「 もう、絶対離さないから 」
コメント
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最高だった、、 バドエンかと思ってたから救われました、、!!!✨️😭
初コメ失礼します~! 最高すぎです…更新まってます!!!(˶'ᵕ'˶ )︎
焦っていたので誤字脱字等あっても温かい目で見守ってくださると吹っ飛びます。