第3章
公園に着くと、阿部がすでにベンチに座っていた。彼は普段の元気な姿とは少し違って、どこか緊張した表情を浮かべていた。
「亮平、どうしたんだよ。なんか、緊張してるみたいだね。」
大介は冗談を交えて声をかけたが、阿部は深いため息をついて、真剣な表情を崩さなかった。
「大介、実はさ…」
「うん、何?」
阿部は少し言葉を詰まらせた後、しっかりと大介の目を見て言った。
「俺、大介のことが好きなんだ。」
その一言が、大介の胸に突き刺さった。驚きと共に、心臓が激しく跳ねるのを感じた。何も言えないまま、ただ阿部の顔を見つめることしかできなかった。
「亮平…」
大介は言葉を絞り出し、震える手を握りしめた。ずっと心の中で感じていた想いが、今、確かに形になったことを実感した。
「俺も、亮平のことが大事だよ。」
その言葉が、阿部に届いた瞬間、彼の顔が少し柔らかくなり、肩の力が抜けたように見えた。
「ありがとう、大介。」阿部は静かに言った。その瞬間、大介は全てを受け入れたような気がした。
二人はそのまま、公園の静けさの中でしばらく言葉を交わすことなく、ただ隣に座っていた。
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