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第12話:支配されて、深く沈む
先輩に触れられるたびに、オレはどんどん自分を失っていく。
体が熱く、でも冷たく感じる。
心は先輩に引き寄せられ、でもどこかで恐れている自分もいる。
「葵、もっと俺を求めろ」
その一言が、オレの体をまた動かさせた。
心の中で抗おうとしても、先輩の手がオレを動かす。
それが嫌でも、体がそのまま反応してしまう。
「先輩……っ」
オレの声が震えながら漏れる。
先輩はそんなオレを見て、嬉しそうに微笑んだ。
「そうやって震える顔が、堪らなく可愛い」
その言葉に、オレはますます支配されていった。
自分がどう思おうが、先輩の手のひらの中で踊らされているだけだと、
思い知らされる瞬間だった。
「オレは、葵のことが欲しくてたまらない。お前の体も、心も、全部」
先輩はオレを抱きしめながら囁く。
その温もりと冷たさが入り混じって、オレの中でさらに混乱が広がる。
「お前、もう俺から逃げられない。俺がいないと、もうダメなんだろ?」
その言葉に、オレは答えたくなかった。
でも、心の中でそれが真実だということを、嫌でも感じていた。
「……うん、先輩……」
オレはただ、答えた。
心の中で反発しようとしても、もうその力が残っていなかった。
先輩の手がオレの体を優しく、しかし確実に動かす。
その手がオレを導くたびに、オレはどんどん深く沈んでいく。
「お前が俺のものになるのは、時間の問題だ」
先輩は笑った。
その笑顔に、オレはまた逆らうことができなくなった。