俺は、膝の上で眠っている愛しい存在の髪を撫でた。
まるでミルクティーを掬い取ったかのような、淡い亜麻色。
大きく澄んだ温かな撫子色の瞳も、今は閉じられている。
俺は内心、ため息をついた。
かわいい。かわいすぎる。何でこんなにかわいいんだ。
白くて細い身体も、この綿のようにふわふわとやわらかい髪も、芍薬のように美しい瞳も、あどけない唇も、そして、花がほころんだような、あの穏やかな笑みも、全部食べてしまいたいくらいかわいくて愛おしい。
ああどうしよう。理性が壊れてしまいそうだ。
こんな無防備な姿を見せられたら、理性なんて保てるわけがない。
さっきの口づけもそうだ。
一回口づけただけで、その真っ白な愛らしいかんばせをあんなに赤らめて、困ったような、戸惑ったような表情をしているのだ。
理性なんて保てるものか。
俺はとうとう我慢できなくなり、彼女の額や頬、こめかみに口づけの雨を降らせる。
最後に、彼女のそのやわらかい唇を塞いだ。
かわいい、かわいい、俺だけのリリアーナ。
……逃がさない。
彼女が俺を拒んでも、彼女が俺から逃げ出そうとしても。
失いたくないし、誰にも渡したくない。
それが例え、王太子や他の王族だったとしても、俺が喜んで捻り潰そう。
全ては、俺だけの彼女のために。
俺は、彼女の唇を離した。
見ると彼女は、はぁっ…はぁっ…と肩で息をしていた。
にもかかわらず、未だに眠っている。
そのことにほんの少し安堵しながら、彼女の呼吸を乱せたことに満足感を得ていた。
彼女の全てを、俺で埋め尽くしたい。
染まらせてしまいたい。
彼女を俺の鳥籠に閉じ込めて、俺のことだけしか考えられないようにして。
彼女が、まっすぐ俺だけを愛してくれるように。
俺は彼女の背中に手を回し、彼女をかき抱いた。
彼女の、とくん、とくん、という心臓の音が、密着させた身体からよく伝わる。
彼女の身体は、温かかった。
まるで春のひだまりのように。
「リリアーナ」
俺は、彼女の名前を呟く。
なんて可憐な響きなのだろう。
それだけで、胸の内がほわりと温かくなった。
何度でも呟こう。
リリアーナ。リリアーナ。
俺の、大切なひと。
俺の、無二の愛しいひと。
どうか、俺から逃げないでくれ。
俺は、お前がいないと生きていけない。
どうしたらいいかわからない。
ただただ絶望だけの日々だ。
だから、ずっとそばにいてくれ。
「……愛してる」
俺は、そうそっと呟いて、再度彼女に口づけた。
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ルウィルクヤンデレ化笑