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tnzm
ケーキバース
◇
「・・・・・・何が引き金やったんやろな」
ぎしりと軋むベッドの上。隣には、微かに寝息を立てるゾムの姿。
無防備に眠る背中に、赤い華がいくつも咲いている。
手を伸ばして、でも、それを撫でることができなかった。
──────自分がゾムにしたことは、決して愛故のものではないだろう。
けれど、確かにあの時、自分は本能のままに味わったのだ。
遡ること、数日前。
◇
それはとある夜のこと。
格納庫に向かう途中、灯りが切れかけた通路で、ふと鼻をついた匂いがあった。
甘い。とにかく甘い。
熟した果実と、焦がし砂糖を煮詰めたような、こってりした匂い。
訓練帰りの疲れが一気に吹き飛ぶような、誘いの匂いだった。
「・・・・・・なんやこれ」
その匂いを辿って行くと、それは基地の裏手にある森に続いている。
ふらふらと釣られるようにその香をたどり、小さな洞に行き着いた。
「・・・・・・ゾム・・・?」
「・・・やっぱトントンかあ。足音が重たかったわ。どしたん急に」
「や、どうしたも何も・・・、」
そこにいたのは、珍しくフードを外したゾムだった。
すん、とより一層、鼻をくすぐる芳醇な香りが広がる。
「お前・・・・・・肩、怪我しとるやんか」
「あー。はは、ちょっと引っかけてしもただけや。大丈夫、縫うほどちゃうし・・・・・・」
普段にもまして青白い肌、暗がりに紛れててかりと赤に濡れた黄緑のパーカー。
いつもは軽々と任務を成功させてくるから、久々のゾムの怪我に少し動揺してしまった。
「・・・お前、まさか隠すつもりじゃ無かったんやろな。」
「え?・・・いやいや、普通に痛いし、ぺ神に痛み止めぐらいはもらおーと思ってましたよ」
いや、嘘で草。
今思いついたであろうセリフを口に並べて笑うゾムは、確かに昔もこんな感じだった。
最初はほんまに大変やったな・・・。まさに手負の獣、ってエーミールが笑っとったんを覚えてる。
「じゃあトントン、俺もう行くわ」
その時だった。
ゾムが少しみじろいだ瞬間、シャツの襟から覗いた首筋。
滲んだ汗と血の混ざった液体が、一滴、白い肌を伝って流れ落ちた。
なぜか、自分の喉が、ごくりと鳴った。
見ているだけなのに、口の中に甘さが広がっていくような、脳まで犯す芳しい香り。
今までよりもさらに強烈で、脳が痺れるような、うっとりする味覚の幻。
「・・・・・お前、今日なんか、甘い・・・?」
「・・・・・・は?」
ゾムが怪訝な顔をしても、もう止められなかった。
次の瞬間には、彼の腕を掴んでいた。
「ちょ、とんとん・・・?」
「ちょっとだけ、確認させろ。なあ・・・・・・頼む、」
理性では止められなかった。
ただ、喉が渇いていた。
味を、香りで知ってしまったから。
◇
いつか続き書きます。
なんか他にも嫌なこと重なっててガチめに一日動けんかったんすけど、皆さんのコメントが優しすぎて勝手に嬉しくなりました。
作品消えちゃったのは悲しいけど、仲良くしてくれる(多分)方がいっぱいいて、改めて繋がりの大切さ感じてます。
本当にありがとうございます・・・!
コメント
2件
言葉で言い表せるのむずぃけど 最高ではある✨ 続き楽しみ✨️(´。✪ω✪。 ` )