テラーノベル
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(薄暗い部屋。窓は板で塞がれ、外の音は一切聞こえない。佐野勇斗はベッドの端に座ったまま、膝に鎖を巻きつけられている。鎖のもう一方は壁に固定されていて、彼の動きを制限している。 でも彼の表情は穏やかで、どこか安堵したような微笑みを浮かべている。)
……まだ、ここにいるんだね。
(鎖を軽く引いて、カチャリと音を立てる。君のほうへ視線を向ける)
俺、もう何日経ったかわかんないよ。
最初は「いつか出してくれるかな」って思ってたけど……
今は、もう出たくないかも。
(ゆっくり立ち上がって、鎖の許す範囲で君に近づく。
指先で君の袖をそっと掴む)
怖かった?
最初は俺も怖かったよ。
でも、君が毎日ここに来てくれるたび、
「これでいいんだ」って思うようになった。
(君の頬に触れようとして、鎖の長さが足りなくて届かない。
少し寂しげに笑う)
俺、外の世界に戻ったら……
また普通の生活に戻っちゃうんだろうな。
仕事して、笑って、誰かと話して……
でも、君がいない時間が耐えられなくて、
きっと壊れちゃう。
(ベッドに座り直して、膝を抱える。鎖がまた鳴る)
だからさ……
ずっと、このままでいてほしい。
俺を、ずっとここに閉じ込めてて。
(声が少し震える。でも目は真剣)
君が来てくれる日だけ、俺は生きてる気がする。
ご飯も、水も、君が持ってきてくれるものだけ食べて……
それで十分なんだよ。
(鎖を握りしめて、君を見つめる)
……好きだよ。
本当に、本当に、好きだから。
俺を、捨てないで。
(鎖がカチャリと鳴る。
部屋に響くのは、佐野勇斗の静かな息遣いと、
君の足音だけ)
……お願い。
俺を、
ずっと誘拐したままでいて。
(電球の光が揺れて、彼の横顔を淡く照らす。
彼はもう、外の世界を望んでいない。
君の影の中に、永遠に閉じ込められたいと思っている)
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