あれは私がまだ、小学生だった頃__
「のあ、いい? 絶対に目を開けちゃダメよ」
そういうお母さんの声は震えていた
今思えば、強がっていたのだろうか
「お母さん…救急車の音が聞こえるよ 何が起こってるの?」
私の目を隠していたお母さんの手を除けようとしたら、
「ダメ!」
お母さんの声は、震えていて、でもどこか、恐ろしくて
いつもの優しい声とは真逆の声
人は、あんなに怖い声を出せるものなのか__そう思ってしまうほどだった
あれから私は何も知ることなく、中学生になった
印象強く、今でもよみがえってくるあの出来事…
でもある日、知ってしまったあの日のこと
それは、私が通っているこの中学校の屋上で、
飛び降り自殺が起きたこと
そして、この屋上は立入禁止になった
ーーーーーーーーー
これが、先生がでっちあげた嘘の真相
だから屋上に入れはする
飛び降り自殺した人の名前は赤羽ランさんだったかな
当時14歳、中学2年生 今の私と同い年、同学年
そして、今屋上の扉の裏にいるのは赤羽レンさん、赤羽ランさんの弟
ガチャ
扉が開く音がした
「なんで、知ってる…?」
彼、赤羽レンの声は、震えていながらも、どこか恐ろしく、
あの日のお母さんのようだった
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