花垣武道はヒーローだった

なんだか嫌な予感がしてタケミッチの家に行こうとした時、

｢たけみっちが自殺した。｣

ケンちんからそう伝えられた。

何かの冗談だと思った。だから、｢そんな笑えない事冗談でも言うのやめろよ｣と言った。

そしたら、｢冗談でこんな事俺が言うかよ｣と震えた声でそう返ってきた。

＿＿＿嘘だ。嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ！！！

たけみっちが自殺するわけない！

だって！あいつはいつも笑顔で！

犬みたいで可愛くて！

俺達にふわふわと笑って！

喧嘩弱い癖にいつも喧嘩して負けて！

よく泣くけど絶対屈しないあいつが！

自殺なんてするわけない！！！

たけみっちはそんな事しない！

自分で命を放り投げる事なんて絶対にしない！

そう叫んで暴れる俺をケンちんが抑える。

＿＿＿＿いつもなら。

いつもならそうするのに。

呆れた表情でもない。

めんどくせぇなって表情でもない。

何、その顔。

なんでそんな顔してんの。

なんでイラついた顔してんの。

怒ってんのはこっちなんだけど。

｢現実を受け入れろ。他でもないおばさんから来てんだぞ｣

｢……おら、早く支度しろ。葬式に出んだから｣

…………………嗚呼、誰か嘘だと言ってくれ。