テラーノベル
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数十分後。室内には事の激しさを物語るように、脱ぎ捨てられた服が床に散らばり、甘い熱気が充満していた。
「……はぁ、ソフィア。……お前なしの人生など、もはや考えられん」
カイルは蕩けた瞳で私を見つめ、その首筋に顔を埋めて甘く囁く。
《……あんなに軽蔑していたはずの女なのに……だが、心地いい。このまま彼女に溺れてしまいたい……》
前世で「君なしでは生きられない」とプロポーズした夫が、数年後には別の女の腰を抱いて笑っていたことを、私は忘れない。愛の言葉ほど不確かなものはないのだ。
けれど、カイル殿下は威嚇して吠えながらも、結局は尻尾を振って懐いてくるワンちゃんみたいで、そこが可愛いのよね。
「私も幸せですわ、殿下……」
よしよしと彼の髪を優しく撫でる。まどろみに落ちたのを見計らい、私はソファを抜け出した。脱ぎ捨てられたドレス――一人では絶対に背中のボタンが留められない、実用性ゼロの服には目もくれず、床に放り出されていた彼の上着を勝手に拝借し、下着の上に羽織る。
執務室の中にある扉をそっと開け、「皇族専用図書室」へと滑り込んだ。
(よし、作戦開始よ)
下着の上に、男物の分厚い軍服を羽織っただけという、あられもない姿。しかし、羞恥心より魔法の正体を暴きたいという執念が勝っていた。
これまでアンナに首都の図書館を調べさせ、自分は城内の図書室を虱潰しに当たってきたが、収穫は子供騙しの童話か神話ばかり。
(……これじゃただのファンタジーよ! 私が知りたいのは、この力が逃走計画に使えるかどうかよ!!)
残る未踏の地は、この皇族専用図書室のみ。 だからこそ私は、真昼間から彼を誘惑し、三回ほど致してぐっすりとお休みいただくことにしたのである。
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