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その後も各々でソロをこなし、次回の新曲に取りかかることになった。新曲をだすときひは、その曲の世界観などを大森さんから直接関係者に説明する機会が設けられ、今日はその日。
事務所の会議室で、先にソロの仕事を終えた若井さんと全員が集まるのを待っていた。
若「んー…ねぇねぇ、マネさん」
『ん?』
若「涼ちゃんに最近会った?」
『藤澤さん?いや、前に集まった時以来だけど。 なんで?』
若「最近なんか変なんだよね」
『変、とは?』
若「なんか、疲れてる。』
『皆んな忙しいですからね』
若「それもあるけど、いつもの疲れじゃない気がする。よくうとうとして、この間も本番前に楽屋で寝てメイク直されてた」
『それは珍しい…』
藤澤さんはメイクやヘアメイクが崩れたら嫌だからと言って、メイク後あまり楽屋とかで寝ることはしない。
若「それに、元貴がビジュアルもまだイメージに到達してないって言ってた」
彼らに近しい関係者にはすでに新曲の説明はされており、曲によってビジュアルを変えるため、各自間に合うよう準備に取り掛かっていることが多い。特に藤澤さんは雰囲気からガラッと一新することもあり、ヘアケアやスキンケアを念入りに準備しているため、この時期にはほぼ完成に近いことが多かった。
『演奏とかそのあたりはどうなんです?』
若「そこは完璧なんだよね、怖いくらいに。
だから逆に何かあったのかなって。」
『担当マネからは何も聞いてないけど。』
若「ソロ仕事も共有してある通りだよね?」
彼らのスケジュールは全員がわかるようマネ含め共有し、随時更新されている。
『うん、変更は聞いてない』
若「なら、本当にただの疲れなのかな〜」
『バンド集中期間に入るから、合間の休みで疲れ取れればいいんですけどね』
若「うん、今度ご飯誘ってみよーっと」
その後、大森さん、藤澤さん達が合流したため会話も自然と終了した。
大「ーーー、じゃあそういう世界観でいくということで。よろしくお願いします」
若・藤「お願いします」
制作者の大森さん中心に話し合いは順調に進む。
藤澤さんもいつも通りに見えるが確かに身内だったら分かる程度には少し疲れているように見える。
まぁバンド活動に集中できるよう、ソロ仕事を詰めてるのもあるから様子見だと結論付けた。
話し合い後、メイクさんやスタイリストさん、MV担当の方などが帰り、事務所関係者だけになる。
今日の仕事は全員これで終わりということもあり帰ってもいいのだが、珍しく1週間ほど全員が揃わなかったこともあり、3人とも嬉しそうに近況を語り合ってる。
特に藤澤さんはロケで出かけていることもあり、2人ともお土産をもらいながら嬉しそうに話を聞いている。
藤「それでね、そこの特産物がすごく美味しくて。2人にも食べてほしいって思ってそれにしたんだ」
若「話聞くだけで美味しそう」
大「本場のも食べに行きたいね」
藤「行こうよ!おすすめのお店も聞いてきたよ!」
大「涼ちゃんの奢りね」
藤「いいよ!」
若「いいんだ(笑)」
和やかな会話と雰囲気にこっちも自然と笑顔になる。
大「移動とか結構大変だったよね。眠れてる?」
藤「移動時間に寝てるし大丈夫。ごめんね、
ビジュもちゃんと間に合わせるから」
大「そこは心配してないんだけど。よかったらだけど、今度夕方からのRECの日、早めに始めて早めに終わらせる?」
若「いいね!俺も予定入れてないし、そうしようよ!なんならそのあと久々にご飯行こうよ!」
新「え!?」
若「ん?新人くんどうしたの?」
新「いや、その日は、その…」
『どうした?』
大「…なんかあるの?」
新「いや、えっと…」
藤「ごめん、元貴。その日はプライベートの予定入れたから、予定通りにしてくれた方が嬉しいかな」
大「…そうなの?」
藤「うん」
若「じゃあ仕方ないね」
藤「僕のこと考えてくれたのに、ごめんね?」
大「ううん、大丈夫。じゃあそれまでしっかり休んで、ビジュもなるべく整えてきてね」
藤「任せて」
新「……。」
なんとなく新人の態度に違和感を覚えたまま、その日はお開きになった。
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