テラーノベル
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働き始めてから半年が経った。
M!LKの対応はというと、
「仁ちゃ〜ん!これお土産どーぞ」
「ありがとうございます。美味しくいただきます。」
「仁ちゃんこれどうしよ…ボタン取れちゃった…」
「大丈夫ですよ、少し借りてもいいですか?」
「うん」
いつの間にか"仁人"から"仁ちゃん"になって、みんなの対応も、まぁ…だいぶね。
カバンから裁縫道具をとりだし、外れたボタンを縫い付けていく。
「え、仁ちゃん裁縫もできるん!?」
「まぁ、一通りは」
「ほんま凄いなぁ…」
「はい、これで大丈夫だと思いますよ」
「ん、ありがとう!」
最近よくメンバー間でコソコソ話しているのを見かける。
別に凄く知りたい訳では無いが、まあ少し気になる。
「なぁ、仁人の笑顔って見たことある?」
「ない。」
「あんま笑わんよな…俺たちのせい?」
「…」
「お前気まずいこと言うなよ」
「でも、まぁ間違いではない。」
「…」
「どうやったら笑ってくれっかなぁ」
「なーに話してんの!」
「あ、さとちゃん!さとちゃんはさ、仁人の笑顔見たことある?」
「そりゃあるよ、昔から仁人見てんだから。っていっても最後に見たのはだいぶ前だけどね」
「なにで笑ってた?」
「えー?私がマネージャーの仕事紹介した時かな。久しぶりにみたーって思ったよ」
「…どうする、」
「特に何かある訳でもないしな」
「あ、明明後日仁人の誕生日だよ」
「…え」
「…え」
「それいいやん!みんなでサプライズしよ!」
それからというもの、各々誕生日プレゼントを用意したり、ケーキを注文したりした。
誕生日当日になり、みんながソワソワし始めた。
「誰がケーキもってくの」
「それは勇ちゃんじゃない?」
「俺?まぁわかった。んじゃ、みんな準備いい? 」
「おっけーよ」
「じゃあ電気消します!」
一方吉田と佐藤は今後の予定の確認をしている。
「佐藤さん、明日って何時くらいに集まればいいですか?」
「明日は8時くらいかなぁ…ちょっと早いんだよね」
「分かりました。 」
「最近どうよ?メンバーと」
「仲良くしていただけてますよ」
「ほんとにー?よかった」
そんな話をしているといきなり電気が消えた。
すると間もなく扉から歌とともにケーキが運ばれてきた。
「え…?」
「ハッピーバースデー仁ちゃん!」
「仁ちゃん誕生日おめでとう!」
「…忘れてた、、」
「はい、プレゼント…って、え!?」
気づけば勝手に涙が流れていた。
迷惑かけてばかりの自分が、こんなにも笑顔で祝ってくれる人がいることに素直に感動した。
周りに迷惑かけている分、自分に何か出来ることはないかと必死に勉強していたが、必死になりすぎて結局また倒れてしまって…
こんな迷惑かけるやつの成長なんて誰が喜ぶのだといつも脳裏にあった。
「仁ちゃん大丈夫…?」
「…、ありがとっ、」
「…」
「仁ちゃんが笑った!」
「可愛い…」
「元々綺麗な顔してると思ってたけど、笑うと可愛いね」
久しぶりに涙が頬を伝う感触を味わう。
すると涙拭う俺の前に勇斗が立った。
「仁人、誕生日おめでとう。これからもよろしく。」
そういって俺の頭に手を伸ばし、優しく撫でた。
「ありがとっ、ございます…、」
「もう、大丈夫だな」
「大丈夫ですよ、笑ほら、」
俺は頭に優しく置かれた手をとって、自分の顔に触れさせた。
「ほんとだ笑よかった…」
「みなさん、ありがとうございます。これからも一生懸命頑張りますので、よろしくお願いします。」
これからこの人たちと歩んでいく未来が何よりも尊く思う。
この先の未来に期待を込めて、信頼するこの人達のために頑張りたい。
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