コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
今日は初のエビライの日。
いつも以上に人が多く、少し俯きながら歩いていた。
「仁人〜胸張れって!」
「そうは言っても…」
「仁ちゃんの人見知り発動してるね笑」
「もう、早く楽屋に入りましょ」
「笑笑笑」
通りすがる人たちに会釈をしながら、なんとか楽屋についた。
どうやら今日の楽屋はBUDDiiSと一緒らしい。
「じゃあ、私少し離れるから、仁人メイクお願いね!」
「分かりました。」
「じゃあ曽野さんから、こちらへ」
「おっけー!」
今日のライブで着る衣装を確認してからメイクを始めた。
今日もまた、今まで以上の最高のビジュアルになるようにと思いながら。
楽屋には2グループいるからか、いつも以上に盛り上がっていて、勇斗とBUDDiiSの小川史記が仲良く話していた。
『初めて見る子だね』
「新しく入ったマネージャーで、あいつほんと凄いやつなんすよ」
『そうなの?』
「メイクはもちろん、裁縫とか整体とか…とにかく凄いんす」
『えー!?うちにも欲しいなぁ』
「俺らのなんで、ふみくんたちにはあげません。」
『けちー』
すると、鏡越しで勇斗と目が合った。
気になってもう一度視線を向けると変顔をしていて、思わず笑ってしまった。
「あ、笑った笑」
『笑うと可愛いねあの子』
「ですよね!入った当初は全く笑わなくて、最近になってやっとって感じっすよ。」
『そうなんだ』
「勇ちゃんたちの会話聞こえるね笑」
「ほんと、恥ずかしい」
「笑笑てか、仁ちゃんってメイクするとき顔近くなるんやね」
「あ、すみません。無意識で… 」
「いや、全然大丈夫よ!目開けるとたまにビックリするけど笑」
「…よし、終わりました!」
「いつもありがとう!」
「いえ、次佐野さんお願いします。」
そう言うと、向こうで話していた勇斗が椅子に座った。
「仁ちゃん、さっき笑ってたべ」
「笑ってません。」
「いや、笑ってました」
「笑ってないです。もう、メイク始めますよ!」
そして、黙々とメイクを始めた。
「仁人って集中するとき顔つき変わるよね」
「そうですか?」
「うん。目付きが変わるというか…結構好きだよその顔。あ、あと顔が近くなる笑」
「それ曽野さんにも言われました…すみません、無意識なんです…」
「いやいいのよ!俺は嬉しいから」
「…はい?」
「ん?」
「…メイク終わりです。」
「よし、どう?かっこいい?」
「今までで最高のビジュですよ」
「そう?ありがと」
勇斗のメイクが終わると、他グループのマネージャーの声が聞こえた。
どうやら人手不足らしい。
それを聞いた勇斗がなにやら声をかけた。
「俺、今メイク終わったんで、M!LKの最高マネ貸しますよー」
『本当ですか!?』
「はい!…ごめん仁人勝手に決めちゃって。頼んでもいい?」
「もちろん、全然大丈夫です。」
「ありがと」
そう言って俺の頭を撫でた。
怖がらなくなってからか、最近俺の頭を撫でることが多くなった。
俺も撫でられることは嫌じゃないし、むしろ安心する。
『吉田さん、でしたっけ?BUDDiiSのふみやです!ほんとすみません、』
「全然大丈夫ですよ、こちらにどうぞ。」
「勇斗ありがと助かる。」
「いや、全然。ふみくん、これから凄いの見れますよ」
「何が?」
「見ててくださいって、うちのマネ」
「ふみやさんの衣装ってこちらですか?」
『そうです!』
衣装を見る限り、シックで落ち着いている。
一度楽屋を見回し、他のBUDDiiSメンバーのメイクを目に入れてから、コンセプトを考えメイクを始めた。
メイクに集中していると、後ろから訴えかける勇斗の声が聞こえた。
「仁人!顔近い!ふみやも硬直してる」
「あ、すみません…癖で」
『全然、大丈夫ですよ、笑』
「ちょっと勇斗、嫉妬丸出し笑」
「きせおじは黙ってください。」
「きせおじ言うな!」
数十分してメイクを終えた。
「終わりました。」
『いや、ほんと凄いですね!ありがとうございます!』
「いえ、間に合って良かったです。」
「え、ふみやのメイク超かっこいい…目に付いてるストーン?とか…すご…いいね」
「ね、言ったっしょ、俺らのマネ凄いって。衣装と他のメンバーのメイクみて、浮かない程度の最上級にしてくれんの」
「いいなぁ欲しい。」
「だからあげませんって。」
しばらくするとM!LKの順番が回ってきた。
"M!LKさん、そろそろスタンバイお願いします!"
「了解です!」
すると、いつものように円陣が始まる。
空気が一変して気が引き締まるこの感じがいい。
いつからか、円陣が終わると一度俺を抱きしめてからステージに向かうようになった。
今日も、柔太朗、舜太、太智、そして勇斗の順で。
「仁ちゃん、今日もありがとう」
「いえ、頑張ってくださいね」
「仁ちゃん、みててな!」
「ちゃんと見てますよ」
「仁ちゃん、頑張るよぉー」
「頑張ってください」
「仁人、行ってきます。」
「行ってらっしゃい。」
そして大きな歓声と共にステージに立った。
俺の大好きな景色がみれて、思わず口元が緩む。
「佐藤さん、吉田くんでしたっけ?凄い愛されてますね笑」
「あれはもう溺愛だよ笑きせおじも頑張らないとね!」
「きせおじ言うな!!笑」