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○月✕日

今日はとても嬉しい報せがある。 なんと昇進が決まった。今すぐ美弥子に伝えなければ。

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○月✕日

最近暑さにやられて倒れる者が増えている。美弥子は身体が弱いから私がしっかりと労らねば。

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○月✕日

近頃、美弥子の体調が優れない。吐き気や頭痛に苦しめられている。食事も口にする回数が減っているようだ。

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○月✕日

遂に美弥子の腹に子が宿った。念願の私達の子だ。

美弥子の体調が優れなかったのは『悪阻』が原因だった。

早速名前を決めなくては。

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○月✕日

今日、蘭方医に美弥子を診てもらった。

どうやら腹の子は男の子らしい。

名前は 『総悟』だ。

この子には私のような大人になって欲しくない。

聡明な子に育って欲しい。

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○月✕日

食事の改善をしたお陰で美弥子は食欲を取り戻しつつある。

美弥子の顔色もだいぶ良くなってきた。

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栞「?!。総悟さんここから出産時の日記です」



○月✕日

今日、美弥子が子を産む。

産むのは美弥子なのに何故か緊張で汗が止まらない。

そんな私を見て美弥子は笑うがきっと私以上に緊張している筈なのに。

無事に子が産まれて来ますように。

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(あれ?ここから続きがない。一体どこに…)


次のページをめくるが続きは書かれていない。

そして最後のページをめくると文の続きが書かれていた。

しかし、ページには殴り書きに書かれた文字と濡れた跡のようなシミが残っていた。



美弥子が死んだ。

出産した直後に握っていた手が痙攣し始め苦しみだした。

急いで医者を呼びに行ったが戻った頃には既に息をひきとっていた。

私が傍から離れなければ、私が手を離さなければ。

一人にしてすまなかった。

許してくれ美弥子。

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最後まで読んで心苦しくなった。

大切な人の最期を看取れなかった事への罪悪感ともっと傍に居てあげれば良かったという後悔がこの文字から伝わってくる。


総悟「こんなにシミができるくらい泣いたんだな…」


栞「泣かない人なんていませんよ」ズズッ


総悟「なんでお前が泣いてんだよ(笑)」


栞「泣くでしょうが!こんなの泣いちゃうでしょうが!」


総悟「帰ろう栞」


栞「はいぃ」グスッ


それまでの険しかった総悟さんの顔は長年の憑き物が去ったかのような柔らかい顔をしていた。

屋敷の外に出ると帰蝶さんが蒋済家の人と話していた。


帰蝶「お願いします。あと少しだけ待ってはくれませんか」


栞「帰蝶さーん!」


帰蝶「栞様!総悟様!

随分と遅かったので心配してたんです」


栞「待っててくれたんですか?!すみません心配をかけてしまって」


帰蝶「いえいえ、 なんともなくて良かったです。 それでは私はここで失礼致します。

栞様・総悟様、またお会いしましょう 」


栞「はい! 気を付けて!」


その後、私達は無事に団子屋まで帰り着くことができた。

久しぶりに桜町の湯に行くことになったが 今回は総悟さんも連れて四人で行くことに。


佳代「栞大丈夫だった?

帰って来た時凄いボロボロだったからさ心配したよ」


栞「今日が私の人生の中で一番の出来事だったよ」


佳代「後でゆっくり聞かせてよ!」


栞「うん!」


湯屋に着き、早速二人で湯に浸かる。

溜まっていた疲れがスーっと消えて行く。

佳代に一連の出来事を話した。


佳代「そっか、総悟さんにそんな過去があったなんて…」


栞「私も初めて知った時はびっくりしたよ。

父親を自害に追い込んだ人がまさか近くに居たとはね」


佳代「私だったら直ぐに斬ってたかもしれない。

それでも総悟さんが傍で仕えていたのは父親が遺してくれた居場所を守るためだったのかな 」


栞「そうかもしれないね」


佳代は先に上がり、私はもう少しお湯に浸かる事にした。

お湯に浸かりながら目を閉じた。

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