tg視点
あっとくんのスマホに映った「5」
その数字が、俺の頭から離れなかった。
tg (これ、全部……俺のせい、なの?)
あっとくんの“好き”が、俺を見て、どんどん育っていく。
わかる。目の前で。リアルタイムで。
……でも。
あっとくんの言葉を、俺は、止めてしまった。
tg …ごめん、あっとくん
at …え?
tg 俺、なんか、すぐに答えられない……かも
あっとくんが何か言いかけて、でもやめた。
表情からは、驚きと、少しの寂しさが滲んでいた。
at ……そっか。ごめん。急に、言いすぎたな
tg ち、違うの! 嫌とかじゃなくて、俺うれしいし、……でもほんとにびっくりして、!
あっとくんは、俺の言葉にかぶせるように、やわらかく笑った。
at わかってるよ。びっくり、するよな。いきなり、こんなこと
その笑顔が、少しだけ切なかった。
けど、ちゃんと優しくて。
at でもさ、俺、気づいちゃったから。もう、止まんないかも
tg えっ…?
at 今日、図書館に来たのも、ほんとは勉強が理由じゃなくて――ちぐと話したかったから
tg っ!
俺の心が、ぎゅって掴まれた気がした。
知ってる。
あっとくんは、ふだんクールで、無駄なことは言わない。
だから、こんな風に素直な気持ちを伝えてくれることが、どれだけ特別かってわかる。
at だからさ、答えとか……ゆっくりでいいよ。焦らなくていい
tg っ!
そんなふうに言われたら、
余計に、泣きそうになるじゃん――。
その時。
ふと、あっとくんのスマホがテーブルの上で傾いた。
その画面に、また映る。
「7」
俺の心臓が、ドクンと跳ねた。
tg(まだ、上がってる……)
見たくなかったはずなのに、目が離せなかった。
まるで数字が、俺の気持ちを、追い詰めてくるみたいに。
at ……ちぐ?
tg っ、な、なんでもないっ……!
手をぶんぶん振って、ごまかす。
でも、指先が、びっくりするほど震えていた。
tg(どうしよう……これ以上、ちゃんと向き合ったら――)
怖い。
でも――
“うれしい”って気持ちも、ある。
そのまま視線を落とした俺は、
自分の指の震えと、あっとくんの頭に映る「7」を見つめながら、
心の中で、どうしようもないほど揺れていた。
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コメント
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