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tg視点
tg(俺、……ほんとは、ずっと前から……)
あっとくんが、自分の気持ちを言ってくれたあの瞬間から、
頭がずっと、ぽーっとしてる。
tg(こんなに、好きなのに……)
あっとくんの「好きだよ」って言葉が、何回も頭をぐるぐる回る。
本当は、すぐにでも返したかった。俺も、って。ずっと前から好きだったよ、って――。
だけど、言えなかった。
“あっとくんの気持ち”が、現実になったことで、急に怖くなった。
期待してたはずなのに、胸の奥が苦しくなった。
tg(……俺の「850」が、重すぎたらどうしよう)
どんどん増えていく、あっとくんの数字。
今は「7」。きっと、俺のせいで。
でもその「7」と、「850」じゃ、釣り合わない。
だから怖い。伝えたら、壊れてしまいそうで――
at …ちぐってさ
急に名前を呼ばれて、びくっと肩が跳ねた。
tg な、なに……?
あっとくんは、俺の顔をじっと見つめてから、スマホを指でとん、と叩いた。
at さっき、画面に数字映ってただろ。見てた?
tg っ、!?
言葉に詰まる。
見てた ……それどころか、そこからずっと、目が離せなかった。
tg …7って、出てた」
at うん
at たぶん、もっと上がると思う
その言葉に、心臓が跳ねた。
at 俺さ、今まで数字が動くのって、他人事だったんだ。ずっと0だったから
tg …うん
at でも、ちぐを見てるとさ…知らない感情が、どんどん増えてくるんだよ
あっとくんが、俺のほうにほんの少し身を乗り出した。
at だから、知りたい……ちぐの気持ち
tg(っ――!)
頭が、真っ白になる。
でも、体は正直で、鼓動の早さで気持ちがバレそうだった。
at ねえ、ちぐ
tg …な、なに…?
at 俺の“7”、上がると思う?
その声が、やけに近くて。
気づけば、手がほんの少し、触れ合っていた。
tg それって、俺に聞く……?
at うん。ちぐにしか、わかんないことだから
tg(……やばい、顔、見れない……)
俺の数字は「850」。
あっとくんの数字は、今「7」。
でも、そんなの関係ないくらい――
tg(俺の“好き”、……止まらない)
tg 俺、ほんとは……
声が、喉の奥で震える。
今言ったら、全部変わるかもしれない。
でも――そのとき。
「あっと、ちぐさ! お前ら、ここにいたのか!」
突然、図書委員の先輩がドアを開けて入ってきた。
「図書室の時間、終わってるぞー」
tg あ…っ
一気に現実に引き戻される。
あっとくんも、すっと手を引っ込めた。
at …行こっか
そう言ったあっとくんの目が、少しだけ、寂しそうに見えた。
tg(今、言えなかった――)
でも、次はきっと。
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