テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#snjn
なゆ
825
#ご本人様には関係ありません
𝕔𝕠𝕔𝕠
5,139
#さのじん
自分夢の中
7,378
#そのじん
吉田:えっと、「お忙しい中返信ありがとうございます。それでは、今から給料を受け取りに行きます」っと
この前は色々ありすぎて、お給料受け取るのすっかり忘れてた。まぁ、ついでに佐野さんはいないらしいけどマフラー預かって貰えるしいっか。もう洗濯して綺麗になった紺色のマフラーを手に取る。顔を近付けると俺がいつも使う柔軟剤の香りがほとんどで、微かに佐野さんの匂いがする。名残惜しくて巻いたまま寝ちゃったなぁ。すぐに眠りにつけて最高だった
吉田:替えのマスクも持ったし、うん、大丈夫
クリスマスが終わり街中は一気に年末気分に包まれていた。お店ではお節に使うであろう食材が大量に積まれているし、元旦休みのお店が多いからか普段より賑わっている気がする。つまり、俺にとってはあまり良くない。マスクしてるけどやっぱり辛い。ダメだ、落ち着け俺。とりあえずイヤホンして外部からの情報を遮断しないと
吉田:すみません、先日単発バイトした吉田です
店長:あ!吉田君…ちょっと待ってね
店長が来るまでの間、俺は店舗の中でもいちばん隅っこに佇んだ。なんか、お客さんに見られてる気がする。そりゃそうか、男1人がケーキも買わずに壁と同化してるなんて、マジできっしょい。てか、お客さん多いな。こんなに人気店だったっけ。まぁ、みんな休みだから買う人も多いのかな
店長:先日は本当に申し訳ない
吉田:いえいえ、こちらこそ勝手に帰ってすみませんでした
店長:体調悪かったんだって?佐野から聞いたよ。いやぁ、悪いことした。ほんとごめんな。はい、お給料
吉田:ありがとうございます……ん?
店長:どうした
吉田:なんか、多くないですか?
店長:だってな、今、 吉田君のお陰で商品すごく売れてるから。そのお礼も含めて
吉田:俺の、おかげ?
店長:え?当の本人が知らんのか?サンタがトナカイをおんぶして救った店でバズってんの
吉田:……はぁ?
動画を見せてもらうと、女の子2人から絡まれているところから佐野さんに助けてもらうまでの一部始終をSNSに載せられていた。その時いた野次馬の1人が撮ったのだろう。え、俺の肖像権は無いってことで合ってる??
店長:いやぁ、参ったよ。そんなバズり方があんのかって!トナカイさんはいないのかサンタさんはいないのかって、あの日からわんさか人が来て下さって。そこで、吉田君、相談なんだけど
吉田:……はい
店長:ここで、バイト続けないか?
吉田:えぇ、、
嬉しいよ、嬉しいけど。この人は、俺というよりトナカイであった俺が必要なんだろうな。まぁ、経営する上でそういう戦略も大事なんだろう。手伝えるなら手伝いたかったけど、なんせ俺は……
吉田:…すみません、俺、外に出るの辛くて
店長:そこをなんとか!!
うーん、こういう時、まじで断るの苦手なんだよな…どうしよ……
佐野:ちょっと、仁人困ってるじゃないですか
吉田:え、佐野さん?
スタッフルームから顔を出したのは、今日いないはずだった佐野さんだった。なんで?店長はメールで今日いないって
店長:佐野、最近シフト無くてもなんでいるんだ?俺は助かるし嬉しいけど
佐野:…マフラー直接返してもらいたくて
吉田:…… はっ!!すみませんでした!!
俺は急いでマフラーが入った紙袋を手渡した。シフト無いのにバ先に来てたなんて、きっとめっちゃ大事なマフラーだったんだ…
そんなやり取りをしていると、周りにいたお客さんも俺たちに気づいたんだと思う。ザワザワし始めて、終いにはスマホを構える人も現れ始めた。人が増えると匂いの混ざりも強くなる。香水、体臭、柔軟剤…それに外じゃないから空気の逃げ場が少なくて、新鮮な匂いが全く無い。うわ、もう、無理だ、、
吉田:っ、、お給料、俺が働いた分だけで十分有難いので多い分は返します。バイトも迷惑かけるだけなのでやらないです。でも、良い経験になりました、ありがとうございました、失礼します
俺は早口でまくし立てて店を飛び出した。佐野さんの声が聞こえた気がしたけどそんなの聞いてる余裕は無かった。とりあえず、家に、帰らないと。なんでこうなるんだ。何の役にも立てずに、最終的にはお店にも佐野さんにも迷惑をかけてしまった。はぁ、苦しい。心も体も。マスクで走るってこんなに苦しかったっけ、でも外したらそれはそれで苦しいし、え、絶体絶命ってこういうことなのか?
俺は朦朧とする意識の中でなんとか裏道にはいり、壁にもたれかかって座り込む。マスクをずらし呼吸を整えるが、ここの空気も別にいい訳では無い。手で顔を覆い、自分自身が冷静になるまで耐える。苦しい、、頼む、、収まれ、、
?:…はぁ、やっと見つけた
どのくらい時間が経ったのか。突然、聞き覚えのある声が頭上から聞こえた。見上げると、
吉田:っ、、なんで?
そこには呆れた顔をした佐野さんが立っていた
佐野:いきなり飛び出て行くんだもん。俺、仁人に会いたいから、あの日から毎日シフトなくてもお店に行ってたのにさ
吉田:???
は、なに、どういうこと?マフラー欲しいからじゃないの?
俺の頭の中はぐちゃぐちゃで、何も考えられない。はずなのに、佐野さんの顔を見たら一つだけ明確なことがあった
佐野:…なんも分かって無さそうな顔してんね笑、てか大丈夫?めっちゃ苦しそうだけど
吉田:、、っ、くるしい、、さの、さん
佐野:うん、分かった
俺が求めていることなんて、佐野さんはお見通しなんだ。佐野さんはしゃがむと、俺を優しく包み込んでくれた
俺は佐野さんの背中に手を回し必死に呼吸する。俺の中に取り入れることが出来る最大限の匂いを、空気を吸い込むために。やばい、視界がチカチカする。でも止まらない。こんな光景、傍から見たらカオスだろうし、佐野さんだって怖いだろう。でも、佐野さんは俺が落ち着くまで、無言で俺の頭を撫でてくれた。嬉しくて、でも申し訳なくて…
吉田:、、っ、はぁ、、ごめんなさい、、スゥ、、、ごめんな、さい、、
佐野:そんな謝らないでよ、、てか、こっちこそごめんね。さっき、辛かったでしょ
吉田:、はい、
佐野:…もう大丈夫だから
佐野:落ち着いた?
吉田:はい、本当にすみませんでした…
佐野:相変わらず堅苦しいなぁ
その後マスクを新品にリセットすることで、なんとか落ち着いた。そしてまた、俺のアパートまで送ってもらうことになった。今日はマスクをしているから1人でも大丈夫と言ったけど、万が一に備えて、らしい
吉田:それで、俺に会いたかったって、どういう…
佐野:そのままの意味だよ
吉田:は!?
佐野さんを見ると、なんでそんな驚いてんの?みたいな顔をされた。そして、まるで当たり前のことを言っているかのように淡々と言葉を並べ始まる
佐野:なんか、仁人のこと気になるんだよね。俺のことを意外とちゃんと観察してて、真面目な部分もあるのにどこか弱くて、生命維持のために必死に匂い嗅いで……そんな姿見て、仁人のこともっと知りたくなっちゃった
吉田:…俺のことそんな感じに見えてたんですか
佐野:うん。別に嗅がれるのも嫌じゃないし
吉田:…佐野さんってやっぱ変ですね
佐野:それは褒めてる?
この体質のせいで、俺の性格も周りとの関わり方も変えた。人と出来るだけ関わらないようにしてきた。だから趣味はゲームだし、バイトも家で出来るものだけを選んできた。大学も通信制にして人と会わないように生きてきた。なのに、こんな俺に、興味を持つ人間がこの世にはいるんだな。それが不思議で仕方なかった
佐野:てか、年末だから人混みえぐいね。大丈夫?
吉田:はい。佐野さんが隣にいるから
佐野さんが隣にいるから、ねぇ…あーあ、こういう無自覚なところ、ほんとに罪だな。手を繋いできた時といい、この子あざとすぎる。仁人はまるで当たり前のことを言っているかのように淡々と言葉を並べ始める
吉田:なんていうんですかね。ガードされてるみたいな感覚に近しくて、でもそれだけじゃないですよ?やっぱり佐野さんっていう存在があるから良いんだと思います。現にマフラーだけもってても多少匂いはあるけど苦しかったし
なんなのこの子…俺のこと誘ってる、訳ないよな
顔がいいとか優しいとか、そんなことを言われ、そして求められてきた。俺はそれに応えないといけないという、義務感があった。だから誰かと付き合うとその人の理想になるために必死になった。なのに、毎度「なんか違う」の一言で振られる。いつしか、俺には求められるお飾りだけが残った。
そんな中で仁人に出会った。最初はセクハラか!?って思ったけど、すげぇ必死というか、生死を賭けて匂いを嗅いでる気がして、正直嬉しかった。だってさ、匂いって俺本体に需要があるってことでしょ?元々のポテンシャルってことでしょ?
だから、仁人が補充してる時は、俺の幸福度も補充されている気がした。俺が、存在する価値を見出すことができた
そして、補充している時の仁人を見る度に、俺は考えてしまうんだ
俺の家に来たら、仁人はどうなっちゃうんだろうって
第1話に多分6話完結と書いたのですが、5話になります、というどうでもいい報告でした
家に行ったらどうなるんですかね
♥300超え次第、次いきます
コメント
5件
え!どうなっちゃうんですか!? ニヤニヤが止まりません

うわーーーー!最後の言葉やばいですね、!めっちゃ続き楽しみです!
うわー!!!!家に入ったysdさんどうなるかめっちゃ気になります!!