テラーノベル
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数日後の夜。仕事が遅くに終わり、仁人は自宅でシャワーを浴びていた。
髪を乾かしリビングに戻ると徐ろにガチャ、と鍵が開く音がした。
合鍵を使って入ってきたのは勇斗だった。
勇「お、ちょうど上がったとこ?」
勇斗は自分の家かのように自然にソファに腰掛け、上着を脱ぎ捨てる。そんな姿を見るだけで仁人の心臓は小さく跳ねた。
仁「来るなら連絡しろよ。何も食べるもんないし」
勇「飯は食ってきた。……お前の顔、見に来ただけ」
そう言って勇斗は立ち上がり、仁人に近付く。
その身体が目の前に迫るだけで、空気が甘く染まった。
そして勇斗の指が、仁人のまだ少し湿った髪に触れる。
そのまま勇斗は仁人の首筋を優しく撫で、輪郭をなぞって顎をそっと持ち上げる。
拒む理由なんて、最初から持ち合わせていない。
どちらからともなく、唇が重なる。
いつもと変わらない、激しくて、お互いを確かめ合うような深い口付け。
勇斗の舌が仁人の口内を強く蹂躪し、呼吸を奪っていく。
仁人は勇斗の胸元をきゅっと握り、愛撫を受け取り、そのまま流れるようにベッドへと移動する。
乱暴に脱ぎ捨てられていく互いの服。
そうして、熱い夜は更けていった。
数時間後。
勇斗はいつもなら行為が終わった後、すぐにシャワーへ向かうか、自分の家へ帰る準備を始める。
それが二人の間の、暗黙のルールだった。
深入りしないための、見えない壁。
しかし、今夜は違った。
仁「勇斗…?」
行為が終わった後も、勇斗は珍しく仁人を後ろからきつく抱きしめたまま微動だにしない。
仁人の背中に、勇斗の規則正しくて少し早い鼓動が伝わってくる。
仁「……珍しいな、どうした?」
不思議に思って声をかけるが、勇斗からの返事はない。
ただ腰に回された腕に、ぎゅっと力が込もった。
勇斗は仁人の項に顔を埋め、深く息を吸い込む。
勇「……仁人。お前、こないだの楽屋でもさ、今日もさ、ずっと何か考えてるだろ」
仁「へ?」
勇「柔太朗と舜太のこと、羨ましそうな目で見て…俺といる時も、たまに凄く寂しそうな顔してる。その顔見るとさ…胸が締めつけられるんだよな」
仁人は身体を強張らせ、言葉を詰まらせる。
仁「そんなこと、ない…ただ、あいつら仲良いな、微笑ましいなって思って見てただけで……」
勇「違うだろ。お前のこと何年見てきてると思ってんだよ。」
勇斗は仁人の身体をくるりと反転させ、正面から向き合わせた。
至近距離で見つめ合う。
勇斗の瞳はいつになく真剣だった。
勇「俺さ……ずっと考えてた。今のままの関係でで良いのかなって。お前にとって、俺ってただの都合の良い相手?もしそうなら…」
仁「ち、違う…!!」
勇「…なぁ、仁人。身体だけの関係なんて、もう止めようぜ。」
仁人の心臓が、ドクンと大きく波打つ。
この関係を止める。
その言葉に視界が滲む。
涙が溢れ落ちそうになるのを、必死に堪える。
やっぱり終わりが来たんだ。
そう思って俯こうとした仁人の両頬を、勇斗の手が優しく包み込んだ。
勇「お前が柔太朗たちを羨ましそうに見てるの、めちゃくちゃ悔しかった。あいつらはちゃんと恋人なのに、俺らは何なんだよって…その時にやっと気付いた、お前のこと好きだわ。」
仁「……へ?」
勇「身体だけじゃなくて、お前の心も全部俺のものにしたい。お前の全部を大切にしたい。手を繋いで、抱き締めて、キスして、恋人らしいこと沢山したいし、お前が寂しい時は真っ先に抱きしめたい。……仁人、俺と付き合って。俺の恋人になって欲しい」
仁人は耳を疑った。
勇斗の口から出たのは、拒絶ではなく、ずっとずっと夢にまで見た告白だった。
堪えていた涙が一気に頬を伝って流れ落ちる。
仁「勇斗……」
勇「言うのが遅くなって悪かった。ビビってたんだよ…お前に断られたら、今までの関係すら壊れると思って」
仁「断るわけ、ないだろ……! 俺も、ずっと勇斗が好きだった。身体だけじゃなくて、ちゃんと勇斗の特別になりたかった…」
仁人は思わず勇斗に抱きつき、その胸に顔を埋めて子供のように泣いた。
勇斗は愛おしげにふっと笑うと、仁人の涙を優しく指で拭い、今度は先ほどまでの激しいものとは違う、慈しむようなキスを落とした。
何度も何度も唇を重ね、互いの温もりを噛み締める。
都合の良い関係を脱ぎ捨て、恋人として深く心が繋がった瞬間だった。
#❤️🤍
しらす
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コメント
1件
コメント失礼します!更新ありがとうございます🙇♀️身体だけの関係から"恋人"という関係に変わるのすごくいい展開で好きです💕💕💕💕