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そこに立っていたのは柔太朗と、舜太だった。
「……」
「……」
「……」
数秒、完全な静寂。
先に口を開いたのは舜太だった。
「え?」
柔太朗も珍しく目を丸くしている。
そして次の瞬間。
「お前ら何してんの!?」
勇斗が叫んだ。
「それこっちのセリフなんだけど」
柔太朗が冷静に返す。
その間にも、勇斗と仁人の手はしっかり繋がったままだ。
終わった。
完全に終わった。
勇斗の脳内で警報が鳴り響く。
「いやこれは!! 違くて!!」
「何が違うの」
舜太がにやにやしながら二人の手を見る。
「その繋ぎ方で?」
「うわぁぁぁ!!」
勇斗は慌てて手を離そうとした。
だが。
ぎゅっ。
「……え?」
仁人が離さなかった。
勇斗は目を見開く。
仁人は妙に落ち着いた顔で、柔太朗たちを見る。
「デートだけど?」
勇斗の思考が停止した。
「……仁人?」
「ん?」
「ん?じゃない」
舜太が吹き出す。
「ははっ、やば! マジだったんだ!」
「待って舜太、だったって何!?」
「いやなんか、距離感おかしくね?って前から柔太朗と話してて」
「観察されてたの!?」
柔太朗が小さく笑う。
「分かりやすすぎんだよ、勇斗」
「うそだろ……」
俺はその場にしゃがみ込みたくなった。
顔が熱い。
絶対真っ赤だ。
しかも仁人だけはなぜか平然としている。
「そっちは?」
「え?」
「二人もデートでしょ」
その瞬間。
今度は舜太が固まった。
柔太朗は静かに目を逸らした。
「……」
「……」
俺はゆっくり顔を上げた。
「……え?」
舜太の耳が赤い。
「いや、これは、その……」
「まさか」
「違っ……違くはないけど!」
「は!?」
一気に情報量が増えた。
勇斗は混乱する。
「え!? え!? いつから!?」
「最近……」
「聞いてないんだけど!?」
「お前らもだろ!」
確かに。
それはそう。
四人でわちゃわちゃ騒いでいると、周囲の視線が少し集まり始める。
柔太朗が小さくため息をついた。
「とりあえず静かにしろ」
「お前が一番冷静なの腹立つ!」
「慣れてるから」
「何に!?」
「舜太がうるさいのに」
「柔太朗それ今言う!?」
舜太が抗議して、柔太朗が少し笑う。
その空気感が妙に自然で。
勇斗はぽかんと二人を見た。
「……なんか、いいな」
「何が?」
仁人が聞く。
「いや……普通に付き合ってる感じする」
すると柔太朗が少しだけ目を細めた。
「お前らの方が初々しい」
「っ……!」
「クラゲ前で恋人繋ぎしてたし」
「見てたの!?」
「舜太が騒いだから」
「だってめっちゃ青春だった!」
勇斗は顔を覆った。
もう帰りたい。
しかし仁人は隣で楽しそうに笑っている。
「勇斗」
「……何」
「バレたね」
「仁人のせいだろ絶対!」
「でも隠す気なかったし」
「俺はあったの!!」
「え、そうなの?」
「そうだよ!」
仁人は少し意外そうな顔をしたあと、ふっと笑った。
「でもまあ、柔太朗たちならいっか」
その言い方が妙に優しくて、勇斗は少しだけ力が抜けた。
柔太朗も静かに頷く。
「別に誰にも言わない」
「当たり前だろ!」
「でもネタにはする」
「やめろ!!」
舜太がまた笑い出す。
「いやー、でも安心した! なんか最近の勇斗、ずっとそわそわしてたし」
「してない!」
「してた」
仁人が即答する。
「仁人まで!?」
「かわいかったよ」
「っ……」
もう無理だ。
勇斗は再び顔を覆う。
そんな勇斗を見て、仁人が小さく肩を揺らした。
そのあと結局、四人で少しだけ館内を回ることになった。
だが問題は――
舜太が異常にうるさいことだった。
「え、待って待って、仁人って普段どんな感じ!? 勇斗に甘い!?」
「うるさい!」
「気になるじゃん!」
「普通」
仁人が答える。
柔太朗がぼそっと言った。
「いや結構甘い」
「柔太朗!?」
「事実だろ」
勇斗はゆっくり仁人を見る。
「……甘いの?」
「勇斗には」
さらっと返ってきて、勇斗は無言になる。
舜太が爆笑した。
「勇斗また固まってる!」
「うるっさい!!」
館内に笑い声が響く。
でも。
そんな騒がしい時間が、勇斗には少し嬉しかった。
秘密を知ってる仲間がいる。
それだけで、不思議と安心したから。
――ただ。
勇斗にはまだ一つ、大きな問題が残っていた。
今日、このあと。
仁人の家に泊まる。
その事実を思い出した瞬間。
「……無理かもしれん」
「何が?」
「お泊まり」
仁人が吹き出した。
「今さら?」
勇斗は真っ赤な顔で叫ぶ。
「だって意識するだろ普通!!」
𝓉ℴ 𝒷ℯ 𝒸ℴ𝓃𝓉𝒾𝓃𝓊ℯ𝒹
コメント
1件
わあああ第3話も尊すぎる!!😭💕 もう冒頭から「デートだけど?」って仁人がサラッと言い放つとか強すぎん??勇斗が固まるの分かるよ〜〜!! しかも柔太朗&舜太カップルも発覚してダブルデート状態になるのエモすぎる…「クラゲ前で恋人繋ぎ」って細かいとこ見られてたの恥ずかしいけど微笑ましい(笑) 最後に「お泊まり」ってワード出てきて勇斗の焦り方が可愛くてたまらない!続きが気になりすぎるよ〜〜!!🌸✨