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──ふらっと落ちる感覚。私の目にはこちらに向かって走ってくる翔太が映った。
立ち上がる時にめまいと頭痛が襲って上手く立てなかっただけだけれど、このまま海に流されてしまうのもいいかもしれない。
大嫌いなこの世界だけど最後に翔太が見れたのは良かったな。
落ちたところから記憶はないが、翔太が泣きそうになりながら私を呼ぶ声が聞こえたような気がした。
どうやら私は目が覚めてしまったらしい。私の周りには泣き狂っているママと、期限の悪そうなパパと、めんどくさそうな顔をしているお姉ちゃんと妹がいた。
「翔太くんのお母さんに叩かれて海に落ちたんでしょう。」
そうだけど、そうじゃない。私の言葉を聞いて。
「ママ、違う。私、体調が悪くて、ふらついちゃっただけなの。」
「翔太くんのお母さんとはもう関わらないようにしようね。ごめんね。ママがあんな子の親と関わったから。」
「あんな子?」
「翔太くんが優ちゃんを海なんかに連れていったんでしょう?優ちゃんは勉強しに行ったのに。」
「違う。私が誘ったんだよ。」
「翔太くんのお母さんに言われたのね。そんなこと気にしなくていいのよ。優ちゃんは勉強をしに行ったの。いい子なの。」
「ママ、聞いて!違うの!私が誘って海に行って!私は体調が悪くて!落ちたの!」
私は久しぶりに泣いた。
もうなんか何もかもがどうでも良くて、嫌になってきて、涙が止まらなくなった。