side?
もともとガリガリだったのを貴方に寄せる為に頑張って筋肉をつけた、苦手だった会話も貴方みたいになるために大きな声を出せるように努力をした、不細工だったのを貴方そっくりの顔にした、なんでも焦がすような人だった料理も貴方みたいにうまく出来るよう頑張って作った、表情も豊かになるようにした、もともと好きだった園芸はもっと詳しくなれるように本を読み漁った
僕は貴方の代わりにいろいろなところに行ったりして貴方の負担を減らしているしきっと喜んでくれているだろう、大きな声を出せるようになったと言っても喉が痛くなりやすいのでしょっちゅう喉に効く薬を買っているけれどいつかこんなの要らなくなるように頑張ります。
なんでこんなに辛いことをしているのか、それは貴方になりたいから。貴方になれば貴方の辛いことも肩代わり出来るし汚い世界を見せなくて済むでしょう?けど成りかわるとしても貴方の仲間の2人、恵美と神柴はいらない、貴方に危害を加えるだけだし貴方の変化に気づいていない。
貴方をこんなに見ているのは僕しかいないんですよ、踏分誠一さん僕の神さま
僕が貴方の代わりに貴方の身の回りのことをします、貴方は眠っているだけでいいのです
貴方の笑顔が僕の希望だから
これからもずっと笑顔でいてください
side S
最近、やけに視線を感じる気がする、家に帰ったらなぜか掃除がされていたり風呂が沸いていたり、行きつけのスーパーで『さっきもきてましたよね』何てことを言われたりすることも増えた。知り合いが風邪をひいたのどが痛いと言うので喉に効くとパッケージに書いてある薬を買おうとしたらそのお薬に依存していませんか?と聞かれたりしたこともあった、気味が悪いがこんなこと、2人に相談するわけにもいかないからホテルに泊まって過ごす日もあった、今日もいつも通り家には帰らずホテルに来ているのだがそろそろ家の植物たちのことが心配だから帰らなければ、栄養剤も切れそうだったから買いに行くか、なんて考えていた。
家にいるオレ以外の誰かがどんな目的でこんなことをしているのか確かめない限りは怖くて眠ることもできない、最近は寝不足のせいでミスをすることも増えたし早く対処をしなければいけないと危機感を持っている、だがそう思えばそう思うほど焦りが出てきてさらにミスが増えて恵美に
「 誠一は休んでて 」とか「 誠一の代わりに健三が色々やってくれるから心配しなくてもいいよ 」 って言われることが増えた、オレを気遣ってのことだとはわかるが“ 誠一がいなくいても大丈夫 ”と言われているようにしか感じられなかったし健三は嫌味を言いながらも心配してくれているのがわかって迷惑をかけているんだなと罪悪感で押しつぶされそうだった。
オレが何をしたと言うのだ、悪いことをしたなら謝るから
こんな毎日から早く解放してほしい。そう毎日祈るがそれが叶うことはなかった
side M
最近誠一の様子がおかしい、寝不足のせいか目の下にクマもできてるしミスをするようになってきている、あの誠一のことだ、何か悩みがあるとしても相談したりしないだろう、だとしたら僕が原因を探るしかない。健三に協力をするように言ったらあっさりokをくれたし、誠一のために動こうとするなんてめずらしいねと僕が言うと健三はまどかさんのためなので、とどこか元気がないようにも見える笑みを浮かべていたが彼のその後の様子がいつもと変わらないことから僕はそのことをあまり気にしないようにした、この件が解決したら休みを取って3人で寝てやろう、そう思っていたらなんだか眠くなってきたので寝ることとする。
sideK
まどかさんや誠一くんには言えていない秘密が増えた。とても伝えるのが難しいと言うわけでもないが言ったら誠一くんに追い打ちをかけてしまうのではないかと不安に感じる、だって言えるわけないじゃないか、誠一くんそっくりの誰かが誠一くんのフリをして花屋に行っているのを見たなんて、その何かを見かけたのは一回だけではない、誠一くんが手を離せる状況じゃないからと私に買出しを頼んできたときのスーパーや喉の調子が悪くて薬を買おうとした時のドラッグストアにもその何かはいた。
周りの人間はあまりにもその何かが誠一くんに似ているから間違えてしまうことも多いらしく、誠一くんが
「 なんか最近よく誰かと間違われるわ……… 」
とため息をつきながら言っていたのを覚えている。
NO side
この日依頼は恵美からしたらとても簡単なものでかなり早く片付いたので3人で
「早く終わってよかった」「犯人のやつ本当ヤバいやつだった」「誰も怪我をしないでよかった」なんて他愛もない話をしながら事務所に向かって歩いていた、誠一におぶられているまどかはいつの間にかスヤスヤと寝ていてその様子を見て怒る誠一と
「 まぁいいじゃないですか、まどかさんも疲れているのですから 」と相変わらずの様子の健三、この光景はスワロウテイルにとってはいつも通りのものであり特に不思議なこともないはずだったのだが事務所に入った時、3人は違和感を感じた。キッチンから匂いがする、もちろん誠一は朝ごはんを作っていたし前日も三食分の食事を作っていたのだからある程度の匂いはして当然だが匂いが濃すぎるのだ、朝早くからの依頼で夕飯を朝に作っておくなんてとてもじゃないが誠一もできなかったはずなのに、その匂いはまるでさっきまで誰かが事務所にいて何か料理をして帰っていったとしか考えられないほどだった、その予感は当たっていてキッチンには3人の好きな料理が並んでいたのだが誰も誰が作っていてなにが入っているかわからないような怪しいものを食べる気にはならなかったし危ないから捨てようと言うことになり、その日は結局誠一が夕食として麻婆豆腐をつくりそれを3人で食べた。
その日からだっただろうか、事務所でも正体のわからぬ誰かが動くようになったのは。
事務所にある花に水を上げようと見てみたらもう既に誰かが水やりをしていたり、勝手に食材が買い足されていたり事務所が掃除をしていないのに異様に綺麗だったり、それで恵美が監視カメラを購入しその映像を確認しようと2人に提案をした、2人はそれに賛成し事務所の数カ所に監視カメラを設置した
「 これで暫く様子見すれば犯人も映るやろうし安心やなぁ…… 」
「 ですが、我々の事務所に何度も出入りをしているようなやつですよ?簡単に姿を見せるとは思えませんけど… 」
「 大丈夫だよ、このカメラ結構小さいでしょ、高い分バレにくいものを用意したからそれに…犯人の行動パターンも読めてきたしね。あそうだ誠一、今日は一緒に事務所に泊まろうか、そうすれば多分犯人は簡単に動き出すと思うよ。 」
「 えっ、ずるいですよ誠一くん!私もまどかさんと一緒に… 」
「 嫌だよ、寝顔とか録画されそうで怖いし 」
「 らしいで健三〜、残念やったなぁ 」
「 処されるか死ぬか土に還るか選んでください 」
「 全部死ぬやんそれ…あ、オレ家に忘れもんあるからそれ一旦取り入ってくるわ! 」
そういうと誠一は事務所から出ていってしまった。
「 ……逃げられましたね、これ… 」
「 どんまい健三、もう少し優しく接してあげればいいのに…… 」
「 私の優しさは誠一くんとまどかさんのことを害す奴ら以外限定のものなので… 」
「 誠一にも少し優しくそてあげれば一緒に泊まるのに… 」
「 ………………………どうしましょう、私にはどちらを選ぶべきかわかりません… 」
と言う風な会話をしていると誠一が帰ってきた、正確には誠一のような何かが、だが。まどかは健三に急いでベッドの中に入るように指示し、まどかもベッドの中に入り扉を閉めた。健三はなぜこんな指示を…とでも言うかのような顔をしていたが誠一のような何かが持っているものを見て納得したような様子だ。
side S
ホテルをチェックアウトして家に荷物を置いて、事務所に行こうとした時オレは不思議なものを見た。ドッペルゲンガーか⁇と思うほど似ている何かが事務所を覗き込み、まるで誰かを探すかのように事務所を見るとその人がいるのを確認したのか事務所に入ろうとしていた、銀色に光るナイフを手に持ってだ、オレはそいつのことを止めようと急いで事務所の方まで走り、そいつの腕を掴んだ。
「 ……誠一さん? 」
その声はどこか聞き覚えのある声だった、オレの記憶を必死に遡ると昔花屋の常連だったやつと声が酷似していることに気づいた、よく仕事仲間から2人は声が似ているわね、と言われていたのがとても印象に残っていた。
「 ……お前、花屋の常連やった奴か?オレの真似してスワロウテイルに何の用や 」
「 …ぇ…………す……ぃ…た……で… 」
「 はぁ⁇自分もっと大きな声出せんのか⁇ 」
「 僕はただ誠一さんを助けたいだけです‼︎ 」
一瞬、こいつがいっていることの意味がわからなかった、そしてオレが呆然としていた間に事務所の中に入っていったようでオレは急いで事務所の中の入る、幸い恵美と健三は恵美のベッドにいるから無事だった、安心したのも束の間オレはオレそっくりの犯人と思わしき人物にナイフを首元に当てられいつ殺されてもおかしくない状況になってしまった。
「 誠一さん、最近眠れないの?睡眠薬結構な頻度で買ってるよね。もしかして精神的に疲れてる?だとしたら僕が……… 」
「 余計なお世話や‼︎オレはそんなこと望んどらんし睡眠薬買っとるのは勝手に食事とかが作られてる恐怖のせいで眠れんから使っとるだけや‼︎ 」
「 ……恐怖⁇そんなはずないでしょ、誠一さんが喜ぶと思って僕今までずっと…… 」
そういうと犯人は相当ショックなようで膝から崩れ落ちた、そこをオレはすかさず取り押さえる
「 そんなことで誠一が喜ぶはずないでしょ、誠一は世話焼いたりするのが大好きなんだから 」
「 大好きなわけないやろ‼︎自分がずっと怠けとるからオレが仕方なく… 」
そんな話をしていたらパトカーのサイレンが聞こえてきた、おそらく恵美か健三が呼んでくれたのだろう
「 自分、前見た時と随分変わったな、相当努力したんやろ…そんなに努力できるならそんなオレもどきみたいにするんじゃなくて自分らしくやったらよかったのに…… 一回自分のこと見つめなおすためにお縄にかかっとくんやな 」
オレはなるべく冷たく聞こえるようにそういうと警察に犯人を引き渡し無事平和に解決することができた。
それ以降勝手に飯が作られたり見間違われたりすることはなくなったしこれからは今まで通りの日常を送れそうだ。
ただ一つ、ずっと恵美か健三がそばにいることを除いては。
本人たち曰く今回みたいなことがないように見守ってるだけらしいが少しというかかなり気になる。まぁしばらくは2人の好きにさせてやる気だ。
ここから2人がが誠一に告白をするのはまた別のお話。
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