とある日のすまないスクールにて、「ん?銀さん達、何見てるの?」
と、すまない先生は背後から顔を覗かせた。
「あ、すまない先生!実は髪の毛切ろうかなぁって迷ってるんですよねぇ」
と、銀さんは笑いながら自分よ髪を弄る。
「へぇー、僕も髪の毛長くなってきたから、切ろうか迷ってるんだよねー」
「えー、すまない先生。“髪の毛長いの似合うから”伸ばしてもいいんじゃないですか?」
ふと、ブルーのこぼした言葉に、すまない先生はキョトンとした。
「・・・“僕、髪の毛長い時あったっけ?”」
「・・・“あれ?”」
ふと、ブルーも自分のこぼした言葉に首を傾げた。すまない先生とは出会った頃から短い髪、長い髪なんて“見た事がない”
3人は首を傾げた。
✵✵✵✵✵✵
ふと、すまない先生は鏡に写った自身を見た。どうしてか
“自分に似た人物に最近会った気がする”
けれど、何処であったか、どんな人だったか、全く覚えていない。
「すまない先生?」
ふと、声をかけられ、振り向いた。そこには、ブラックが立っていた。
「どうしたんだい?ブラック」
「いえ、見かけたので・・・」
そうブラックはこぼした。ブラックは軽く会釈をし、立ち去って行く
ふと、すまない先生はブラックの背に向かって声をかけた。
「・・・ブラック、もし・・・もしだよ?もし僕が、“歳を取らず、死ねない身体になったら”・・・ブラックはどうする?」
何故そんな言葉が出てきたのか、自身でも分からない。
ブラックは足を止め、振り返り、少し考え、答えた。
「・・・そうですね・・・なんとかそれを解決する方法を見つけます」
「・・・もし、君たちの寿命が来ても、見つけきれなかったら?」
「・・・・・・・」
ブラックは少し考え、そして、
「・・・そしたら、“会いに行きます”
どんな姿になっても、どんな形になっても、貴方が寂しくならないよう、私たちは、貴方に会いに行きます。そうすれば、寂しくないでしょう?」
その言葉に、すまない先生は目を丸くした。
「・・・けど、どうしましたか?」
「・・・ううん、なんでもない」
すまない先生はそう笑顔を浮かべた。泣きそうな、嬉しそうな笑顔を浮かべて。
鏡に写っていたすまない先生の姿が一瞬、長い髪の自身の姿に変わり、そして、またすまない先生の姿に変わったのは、誰も気づかなかった。
✵✵✵✵✵✵
ふと、すまない先生は目を覚ました。そして、いつものように、長い髪が絡まる。
「あーあーあー・・・」
すまない先生はそう零しながら、髪を梳く。
「もー、長いのも楽じゃないなぁ・・・短かった方がもっと・・・」
ふと、自分がこぼした言葉に、すまない先生はキョトンとした。
「・・・“僕、髪の毛短いことあったっけ?”」
髪を短かくしたことがあったか?とすまない先生は首を傾げた。
✵✵✵✵✵✵
記憶は消えた。だが、“思い出”は完全消えていない。
すまない先生は別世界、いや、“未来で起こるかもしれない可能性の自分”と出会い。これからすまない先生がどんな道を歩むかは、まだ誰も知らない。
けれどきっと、このすまない先生は“未来で起こるかもしれない可能性の自分”とは違う道を辿るだろう・・・
だって、すまない先生達の世界を守るために、双方の記憶を消したのだから。
そして、それを知っているのは、“時を司るモノ”のみであった。
コメント
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すごい~ .ᐟ.ᐟ ソーダ飴さんの作品好きです🫶♡ これからも活動頑張ってください(〟- -))