彼が旅立ってから1ヶ月
寒い日々が続く中、街の復興は着々と進んでいった
あれ以降大きな自然の変動はなく、街の人々も
未来へ希望を持つ人も増えてきた
でも今回の大災害は今まで経験した中で史上最悪の被害が出た
総死者数は4600人。行方不明者は1800人
重軽傷者は合わせて60000人
家々は20万棟が被害を受け、国家予算20兆円分が消し飛んだ
それに加え、精神面でも傷が残った
俺たちは再びインドネシア率いる救助隊に参加したが、被災者を助けるたびに君を思い出し、
時々気持ち悪くなってしまうこともあった
いわゆる…PTSDってやつかな
時々なんであいつらが死んで俺なんかが生きてるんだなんて思うこともあった
それでも周りのみんなは優しくフォローしてくれた
「苦しかったらいつでも相談しろ」
「俺たちはいつでもお前の味方だ」
とても嬉しくなった、奴らに言われるのが一番の心の支えだった
やがて街の復旧も終わり、俺たちはボランティアをやめ、元の仕事へと戻り始めた
前勤めてた会社のビルは完全に倒壊してしまい、今は近くにあった頑丈なビルに移転した
寂しい。日本、ロシア、ドイツの3人の空席を見ると感じる
彼らが亡くなって以降、俺たちはより仕事に励むようになった。特にイタリア
あいつはいつもドイツに任せっぱなしであったからか彼の同じように仕事に集中している
🇬🇧「…イタリアさんもやるじゃないですか」
🇮🇹「ioは大切な幼馴染を救えなかったんね…
せめてもの自戒として…」
上司「しかしー…人手不足になっちまったもんだな…」
“人手不足”
その言葉に俺は心底腹が立った
俺たちにとってあいつらは…あいつらは家族同等なものだったのに
所詮お前らは道具とてしか見てないということに
🇺🇸「おい」
勢い余って俺は上司の胸ぐらを掴んだ
上司「おい…アメリカ?コーラの飲み過ぎでおかしくなったか…?」
🇺🇸「ふざけんなよ…なんでお前は奴らをそんな目でしか見てないんだよ…俺たちの気も知らずに!」
怒りのあまり、俺は上司を殴り飛ばしてしまった
🇫🇷「アメリカ!やめるんだ!」
🇨🇳「アメリカ…ここは抑えるんね」
両腕を2人に抑えられる
上司は呆然としていた
しばらく抑えられていると俺の怒りは自然と消えた
🇺🇸「す、すみません…」
上司「…俺こそ…悪かった、少し頭を冷やしてくる。お前、あいつらのこと好きだったもんな」
少し笑って上司は部屋を出て行った
正直終わったと思った。クビにされる可能性も
なくはない
🇬🇧「…アメリカ」
🇺🇸「…気をつける」
それから数日後、俺は上司に呼び出された
いよいよクビの宣告かと俺は息を呑んだ
上司「今度、俺たちで墓参りに行かないか?」
クビの宣告ではなかった。でも墓参りという言葉に俺は引きつけられた
安心と驚きが俺の心を埋めた
🇺🇸「は、墓参り…?」
上司「最近××丘陵公園に、被災者を弔う墓地ができたんだ。お前達も行くか?俺も…上司として責任を取りたいんだ」
🇺🇸「…はい!喜んで!」
思わず立ってしまった
上司「よし、明日天気が良いらしいから午後3 時、会社前に集合な。俺が車を出すから」
🇺🇸「ありがとうございます!」
🇮🇹「とてもいいこと聞いたんね!」
🇫🇷「クビじゃなくてよかったよ…」
彼らはドアの前で盗み聞きをしていた
すると
ガチャッ
「うわああ!」
🇺🇸「な、なんだ…え?」
全員でドアに寄っていたため、ドアを開けた瞬間、吹っ飛ばされてしまったのだ
🇺🇸「なにやってんだよ…」
🇮🇹「話は聞かせてもらったんね!」
上司「フフッ…面白いやつだな。いい同僚をもったなお前は」
翌日
上司「お前ら準備いいかー?」
🇨🇳「もちろんです!」
🇺🇸「コミーがアルを使ってない?明日は雨が降りそうだ」
ドゴッ(ゲンコツの音)
🇬🇧「ほんと、デリカシーのない息子ですね」
🇫🇷「ほーんと、誰が育てたらこうなるんだろうなー(棒)」
睨み合う2人
🇮🇹「早く行くんね!」
イギリスとフランスの手を引き、1番に車に乗り込んだ
🇺🇸「俺らも行くぞ」
🇨🇳「言われなくてもわかってるアル」
その墓地は会社から車で1時間ほどのところにあった
見晴らしがよく、街一帯が見渡せる
沢山のお墓が並んでいる小道を歩く
その数がこの災害の悲惨さを物語っている
小道の先に、三つ墓が並んでいた
そこにはロシア、ドイツ、日本の名前が石彫りされていた
🇺🇸「…。」
持参してきた献花をそれぞれの墓に置き、線香に火を灯す
そして手を合わせる
🇨🇳「(安らかに眠れアル…)」
🇬🇧「(今までありがとう…)」
🇫🇷「(本当に、最高の仲間だったよ…)」
🇮🇹「(日本達の分、精一杯生きるんね!)」
各々が思いを馳せ手を下ろし、目を開ける
だがアメリカだけはずっと手を合わせていた
ロシア…もう少しデリカシーには気をつけるよ
ドイツ…もっと仕事頑張るよ
日本…自分の気持ちに早く気づけるよう頑張るよ
🇺🇸「よしっ!少し寄って帰るか?」
帰ろうとしたその時
「あれ?兄さん?」
カナダとばったり出会した
彼は回復したとはいえ、まだ完治したわけではないので病院で陸と共にリハビリをしている
「げ、こいつらいたのかよ」
後ろには陸、海、空、にゃぽん、台湾、パラオ
フィンランドもいた
🇬🇧「おや、おあいこですね」
🇹🇼「大学終わった後、陸さんからみんなで行こうって誘われたんだ」
🇵🇼「パラオも学校終わりだよ!」
🇫🇷「みんな揃いに揃って…」
ヒラッ
突然、アメリカの手に一頭の黒い蝶が止まった
彼の上にも二頭の蝶々がひらひらと待っている
🇹🇼「すご…こんな真っ黒い蝶初めて見た」
🐈「ねぇ…これってもしかしてお兄ちゃんやドイツさん、ロシアさんが来てくれたんじゃない!?」
🇨🇦「どういうこと?」
🌊「黒い蝶は亡くなった人の魂や精神の象徴だって言い伝えがあるんだ。父さんの時もそうだった…」
☀️「あの時もおおきな黒い蝶が来てくれたよねー」
🇫🇮「つまり会いに来てくれたってことか」
黒い蝶達は彼らの周りをひらひらと舞い続けている
時に真横を、至近距離まで近づきながら
🇮🇹「嬉しいんね!」
🇫🇷「わざわざ姿を変えてきてまで…また来るからね」
あっという間に日は沈みかかっていた
蝶々に別れを告げようとしたその時ーー
「私たちはいつでも貴方達のそばにいますよ」
「1日1日、大切に生きろよ」
「…また来てくれよ」
そんな声が聞こえた気がした
会社に戻る頃にはもう夜になっていた
着いた時、上司が重要な連絡をすると言ったので社内に再び戻る
🇺🇸「連絡ってなんですか?」
上司「社長から連絡で…ウチの会社は副業禁止だったんだが…明日からOKとする」
一同「えぇ!?」
上司「それに…副業を優先したかったらそれを
本業にしていいとのことだ」
一同「えぇ!?」
困惑が止まらない。何を血迷ったのだろうか
確かにいいことだが、会社の利益が…
上司「驚いただろう?もうすぐ春の季節だ。
新しいスタートを切って欲しいとのことだ
安心しろ、利益はこちらが管理する。副業を
ガンガンしてもいい…でもせめて週一で顔を出してくれると嬉しい」
🇬🇧「何を言ってるんですか!こんな恩受け取っておいて🏢に行かないなんてなしです!」
🇨🇳「全くもって同感です」
🇫🇷「しかしこの上ない知らせ、ありがとうございます!」
一同「ありがとうございます!」
全員深く礼をする
上司「いやいや、俺じゃなくて社長に言って欲しいんだが…」
翌朝、窓から差し込む光でいつも俺はは目覚めている。でも今日の光はいつもとは違う
新しいスタートを切るための光だ
いつもより早く準備を固める
朝ごはんはいつもジャンキーフードだが、今日はバランスのいい食事に挑戦してみた
あまりうまく行かなかったけど
靴を履き玄関を出る
暖かい希望の光が俺を差し込む
過去のことは振り返らない。でも彼らのことは忘れない
その思いを胸にしまってーーーー
🇺🇸「よし…行くか!」
俺は新しい生活への第一歩を踏み出した
🇬🇧:副業として始めた喫茶店が大成功し、本業に転職。彼の紅茶はとてつもなく美味しいがそれ以外のメニューはまずいらしい
🇨🇳:冷静沈着な人柄を活かし、管理職に出世
新入社員から尊敬される人となる
🇫🇷:スカウトされ、モデルデビューする
彼の性格を十分に生かした写真集は数多の女性の 心を奪った
🇮🇹:明るい性格とコミュニケーションが功を生み、営業部へと転任。会社の利益に大きな変化を生み出すに至る
🌳・🌊・☀️:ボランティアのキャリアを活かし、防衛隊になる。その強靭さから
「無敵の三兄弟」と言われる
🐈:ネットで書いた小説が大ヒット
「にゃぽん先生」と親しまれるようになる
彼女が腐女子ということは誰も知らない
🇹🇼:大学卒業後、夢のIT企業に就職
より優れたAI開発に努めることになる
🇰🇷:某シューティングゲーム世界大会で優勝し、世界的ゲーマーになる
🇫🇮:ライフル射撃の世界大会に進出し、🥈獲得
市民から「白い死神」と愛称をつけられる
🇵🇼:必死に猛勉強し、市内偏差値トップの高校に進学。将来の夢は先生になるそう
🇨🇦:リハビリを乗り越え、仕事の正確性と速さを認められ、副社長に出世する
そしてアメリカをサポートすることになる
🇺🇸:会社史上最年少で社長に就任
会社の利益を歴代最高にあげつつ、長きにわたって会社の大黒柱となるのであった
The end
おまけ
🇷🇺「成功したな、奴らへのドッキリ」
🇩🇪「日本、お前の言い伝えは本当だったみたいだな」
🇯🇵「そうですね…てか私ってこんなに愛されてたんですね…」
🇷🇺・🇩🇪「今気づいたの?」
🇯🇵「えっ…(予想外)」
🇷🇺「ハァ…鈍感にも程がある」
???「そうだぞ」
🇯🇵「あ、貴方は…」
かつて自分を犯そうとし、ドイツに濡れ衣を着せたモブがそこに立っていた
🇩🇪「おーお前…いたのか…(銃を取り出す)」
🇷🇺「俺の大切な仲間を殺し…俺の日本を泣かせたクソ野郎には…天罰を与えないとだなぁ?
(鎌と槌を取り出す)」
🇯🇵「ちょっと…私もこれは…(どこからともなく刀を取り出す)」
モブ「お、おい…ここあの世だぞ?」
3人「関係ねぇ/ないです。」
🇯🇵「天誅ー!」
3人は殺意を持ってモブに向かって走り出す
この時一瞬、日本に日帝の面影が宿ったとか
モブ「ちょっ!許してくれぇぇぇ!」
🇩🇪「待ちやがれ(ドスの聞いた声)」
🇷🇺「ここはあの世だから死もない。永遠に
殺り続けよう」
あの世はしばらく騒がしくなりそうだ
というわけで「審判の日」完結となりまーす!初投稿でしたがどうでしたでしょうか?
5000を超えるいいね、応援コメントありがとうございました!
次回作をお待ちください!
コメント
4件
ちなみに黒い蝶のくだりは私の実体験をもとにしています
うわぁぁぁぁ… 最後の最後まで神すぎた✨️✨️ 笑いあり、涙ありの大好きな作品でした☺ 黒い蝶々になって会いに来てくれたところで私の涙腺は崩壊して、タオルがすごいことになっています 露、独、日、米…etc みんな幸せになれよっっ!! 本当に大好きな作品でした こんな神作品をありがとう✨️✨️✨️ 次回作楽しみにしてます!!
完結おめでとうございます!完結したばっかで申し訳ないんですけど文才はないのにいいパロが思いついてしまって...天使パロって言うんですけど主人公は日本か日帝でその他はお任せします