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セカイにまふゆがいたから隣に座った。それだけだ。そう、それだけ。別にまふゆは何も言ってこないし、これくらい普通のことだったはず。思い出せないけど。
私が何故こんなにも言い訳をしてるのかというと、まふゆを家に誘いたいから。そうしたら急に意識をしてしまって、いつもが分からなくなった。とりあえず、友達同士なら誘うことだって普通だろう。まふゆは友達、まふゆは友達?
考えていると、まふゆが口を開く。
「疲れた……かも」
それから、私の肩に頭を乗せた。これが私達の普通だったか。まふゆでしか確認が取れないのが難しいところだ。
「それにしても、絵名が変な用もなく隣に座るなんて」
用はあるが、変な用とはなんだ。私のイメージはどうなっているんだ。
「珍しい気がする」
──私は、普通ではない行動をしてしまったのか。
いつも通りの行動とは、なんなのか。変な用とは、なんなのか。思い返そうとしても、ここ数日はまふゆの方からしか変なことをしていない気がする。例えば少女漫画。
「珍しいかな、変な用って例えば?」
「用は無かったかな、いきなり突拍子も無いことをしてくるから。考えてるようには思えない。考えていてあれも怖いけど」
「貶してる?」
「人生気楽そうでいいなって思ったよ」
「貶してるよね」
「冗談だよ、そこまで思ってない」
そこまでではない。けど、思っていることはあるということか。全否定ではないから。
「それで、どうしたの?」
「え?」
「本当に用がないの?」
「いや、ないわけではないけど……」
言い淀む私をただ見つめるまふゆ。待ってくれるようだ。謎の緊張。私は意を決して、口を開ける。
「こ、今度、私の家に来ない?」
「いいけど」
「あ、やっぱりそんな暇じゃな……え、ほんと!?」
「やっぱり変な用だね。あとリアクションが大袈裟」
半ば呆れたようなまふゆは、目線を逸らした。
「ねえ、いつ空いてる?」
「今週ならどっちも空いてる」
「あーなら土曜に来てよ、部屋掃除しておくから」
「絵名の部屋……」
──きたなそう。
それが火種になると想像がつかなかったのか。私は持っていた熱を怒りへと変換した。