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チョロ松、そろそろ夏季大会も近いだろう、そんなにご飯少なくて大丈夫なのか?
うん、体重落とさないと速く走れないから。
大丈夫だよ、カラ松兄さん。
その言葉はまるで自分に言い聞かせているようで絵に描いたような作り笑いもあいまって心底気味が悪かったことを覚えている。
何故、震えた指先で骨ばった細い手首を掴んでいたことに気付けなかった無かったのだろう。
気付けたら、未来は変わったのだろうか、否、もっと苦しめていただろうか。結局アイツに取られていたことは変わらないのだろう。
気持ちが溢れて止まらなくなりそうな過去の思い出に蓋をして、俺は何時もと同じように空を見上げる。
あぁ、あの時も入道雲が見えたな…
夏休みの雲に杯を
ピピッと耳に馴染む音で鳴るホイッスル、夏の生暖かい風が頬を撫でる。
少し暑いなと感じていると汗が風に吹かれ冷えていくのを感じた。
___チョロ松、タイム12,8
喉がヒュッと音を鳴らし息がしずらかった、頭がぐるぐるして寒暖差に風邪を引きそうだった。
松野、最近タイムの伸び悪いな。
すいません、
別にさ、謝れって言ってる訳じゃねぇんだよ。
はい、
選抜落とされる?ここまで来たのに?
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
息が上がって行くのにも関わらず体は冷たくなるばかりで、指先が震えコーチが歪んで見えてくる。
痩せればいいんだよ。
選抜の先輩にこう言われた。
勿論先輩は痩せてて僕と同じくらいのタイムだったから確かだろうとその案にすがった。今思えば何て単純で愚かなのだろうか。
けど、あの時の僕にはその愚かさに気付けない程、余裕がなかった。
だから、カラ松兄さんに気付かれた時はびっくりした。
多分頭では痩せることが最適な方法じゃないことを分かっていたのだろう、そういう僕の手は震えていた。
本当は気付いて欲しかった。
ピピーと何時もと違う音と共にタイムが言われる。
その瞬間、頭が真っ白になった。
___チョロ松、タイム12,9
変わってない、寧ろ遅くなった…?
なんで?どうして?言う通りにしたのに?頭では痩せることが速くなることと結び付くわけないじゃんと訴える。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ