俺たちは、付き合ってからまともにデートなんてしたことなかった。ライブの準備だとか、動画撮影だとか、とにかく時間が取れないのが理由だ。
それでも俺はやっぱり二人で出掛けたいなって思う。最近、あろまの元気があんまりないのもあるし、いい機会だから誘ってみようかな。
「電話がいいか…」
場所はまだ考えていないけど、きれいな夜景が見られるところがいい。ロマンチックだとか、あいつはあんまりそういうのは好きじゃないかもしれないけど、雰囲気作りは重要だろ?
Prrrrrr…
ガチャ
『…なに』
あーあー不機嫌な声だなぁ…
「25日さ…夜空けといてほしいんだけど」
『なんでよ』
「なんでって…わかるでしょ?」
『でもその日撮影じゃん』
「知ってるよ、夜だけでいいからさ」
電話口からは、はぁ、と小さなため息が聞こえてきた。多分めんどくさがってる。でもね、俺は知ってるんだよ。意外とこういうの好きだって。急に誘っても、ちゃんとついて来てくれる。夜に出かけるのは好きみたい。
『じゃあ撮影終わったら一回帰るから、駅で待ち合わせな』
「うん、ありがと」
そう言って電話を切る。切る前の最後の声、ちょっと嬉しそうだったな。ほんと、天邪鬼なやつだ。
To Be Continued…
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